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-明日の臨床に役立つ-結帯動作の評価


お疲れ様です。桑原です。

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今回は結帯動作の評価についてまとめていきたい思います。

肩関節疾患を担当する際に挙上時痛夜間痛を主訴とする方を多く経験しますが、結帯動作(体の後ろに手を回して帯を結ぶ様な動作)での痛みを主訴とする方も多く経験します。

ではここの評価や介入はどう進めるべきでしょうか??

今回はこの結帯動作についてまとめていきたいと思います。



1)結帯動作時のバイオメカニクス

まず前腕回内可動域は問題ないという前提で進めていきます。

結帯動作を理解する為にはまず肩甲上腕関節肩甲胸郭関節の2つに分解して考えることをお勧めします。

端的にまとめると肩甲上腕関節が主に序盤に動き、その可動域に限界がくると肩甲胸郭関節の動きがメインになるイメージです。

※実際は序盤に肩甲骨前傾、挙上、内転なども起こるので綺麗に局面が分かれているわけではありません。

文献の引用もしながら説明していきます↓

本田ら1)  は上腕骨の動きに関して尾骨レベルまでの内旋は 0°から 41.4°と初期に大きな動きを示し、最終的に 47°となると報告しています。

そして、尾骨から第7胸椎までは6.6°しか内旋しておらず下垂位から母指先端が尾骨に到達するまでにほぼ最大に近い内旋を行っている。と報告しています。


母指先端が 尾骨から第 7 胸椎に到達するまでに 6.6°しか内旋しておらず、下垂位から母指先端が尾骨に到達するまでにほぼ最大に近い内旋を行っている

本田俊介ら.結帯動作について- Motion Capture を用いた 3 次元的解析-.理学療法学.2004;31:513.

この情報をもとに評価へ繋げていきます。


2)結帯動作の評価


これらの情報から母指先端が尾骨レベルまで届くかどうかが一つの指標となります。

母指先端が尾骨に届く→肩甲上腕関節の内旋可動域が確保されている。
母指先端が尾骨に届かない→肩甲上腕関節の内旋可動域が確保されていない。

とななります。

ただこれだけでは肩甲胸郭関節の代償により評価が曖昧になってしまうので、肩甲骨を固定した状態で評価します。

肩関節伸展・内旋時には肩甲骨前傾内旋の代償が起こり易いので肩甲骨下角〜内側縁の固定を行います。この状態で母指先端が尾骨レベルまで届くかを評価します。


この検査でGHの制限の可能性が高いと分かっても
内旋可動域の低下か
伸展可動域の低下かは分からない状態です。


また、柔軟性不足か筋力低下か?
これも分からない状態なので評価が必要です。

この作業で介入に優先順位がついてききます。

肩甲骨の運動ですが前傾・下方回旋で上腕骨の内旋を補強する様なイメージですが上方回旋する相もあります。

痛みや制限がどの局面で起こってるかを動作時に見ていく必要があり

高見ら2)は結帯動作時の肩甲骨の動きですが以下の通りにまとめています↓

①下垂位〜開始肢位(肩関節外転・内旋位、肩甲骨内転位)→挙上・内転位・
前傾
②L5 〜Th12→ 挙上・上方回旋位・前傾
③Th12~Th7 →下方回旋位・前傾(前傾角度の増加はほとんど認めない)

となります。

個人的な意見ですが
症状のある局面で必要な肩甲骨の動きを反復練習する形で介入後改善があるかどうかで評価した方が早いかと思います。
上方回旋から下方回旋で切り替わる局面で痛みが出る際は上方回旋筋群の機能低下や下方回旋筋群の柔軟性不足が原因になっている可能性もあるのでこの部分は細分化して評価しても良いかと思います。

以上になります。

この記事のまとめです↓

・結帯動作時、母指先端が尾骨レベルまで到達するまでに上腕骨はほぼ最大に近い内旋が起こる。
・尾骨を超えてからは内旋はほとんど起こらず、肩甲骨の動きがメインになる。
・肩甲骨固定下で母指先端が尾骨に到達すれば肩甲上腕関節での問題の可能性は低い。

参考文献

1)本田俊介ら.結帯動作について- Motion Capture を用いた 3 次元的解析-.理学療法学.2004;31:513.

2)高見 武志ら.結帯動作における肩甲骨周囲筋群の筋活動について.関西理学.2011;11:65-70.





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