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彼女の覚醒3

子供の頃から「自分には霊感がある」という自覚があり、半透明な透き通った人もよく見ていた。

木の下で、ずっと母親を待ち続けている子供や、消えそうになりながらも、ベンチに座り続けている男性など「ここにいるよ」と、話しかけられるのが、とても怖かった。

「何も出来ないよ」
「何もしてあげられないよ」

と、必死で目を合わせないようにするのが、一杯一杯だった。

目の前で物が忽然と消えてなくなったのも見たし、友達と魔法ごっこのようなこともよくしていた。

今思うと、とても不思議だが、私が友達の身体に向かって、エネルギーを送ると、友達はきちんとそれに伴って手をあげていた。

そんな遊びを「見てみてー」と、無邪気に色んな友達に披露していた。

そして、なぜかこの世の仕組みのようなものが分かっていた。
だから、彼女に対して「生まれ変わりの回数が私より少ないのに、私の母親役の人」と、子供ながらに思っていた。

それでも、毎日のように感情をぶつけられることは耐えがたい苦しさで、一刻も早く大学に入学して、一人暮らしをすることだけを目標にしていた。

実際に、一人暮らしをしてみると、自分がいかに情緒不安定なのかを思い知らされた。

とても、寂しい。

いつも、寂しい。

心に穴が空いたまま、その穴を、どうすることも出来ず、当時付き合っていた彼氏と一緒にいても、その穴が埋まることはなかった。

解決法が見つからないまま、一人暮らしの寂しい生活を続けた。

本当は心理カウンセラーになって、自分のように繊細な人の相談に乗りたい!と思っていたが、その当時は大学院まで行かなければ心理カウンセラーにはなれず、親に「大学院に行かせて下さい」と言えずに諦めて就職した。

子供の頃からなぜか答えが分かっていたから、すべて要領よくテストや受験をこなし、学問はほとんど頭に残っていなかった私が、唯一関心があったことが「美容と健康」だった。

好きなことなら覚えられる。

好きでなければ覚えられない。

と、思い、唯一関心があって、お給料もボチボチ良い「エステティシャン」という道を選んだ。

今思えば、これも間違いなく宇宙の采配だった。

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