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正式な名乗りがないうちにヤクザみたいな人の発言からそうと理解してしまった話
上記の話のつづきです
とは言っても
やはり緊張したままで
敵地感は中程度に継続
ぎこちなくタクシーに乗せられて
何やらゴージャスなお食事に連れて行って貰った気がする
円形テーブルだったから
中華料理だったのかな
とにかく緊張していて
詳しくは何も覚えていない
…と思ったけど
書いていたら色々と思い出して来た
例の小さな女の子はかなりおしゃべりなタイプだった
こんな小さいのに
上手な関西弁を話すものだなと
いたく感心した
気の向くままの彼女の発言に
皆一様に優しく笑っていて
愛されてるんだなぁと思ったのを覚えている
その合間を縫って
おばさんの夫だと紹介されたおじさんから
いくつか質問されたようだった
お肉は好きか
高校は楽しかったか
とか
そんなような世間話的な質問だったと思う
正直言って
おじさん
眼鏡の奥の目がとてもとても鋭くて
見た目は関西のヤクザだった
でも
話し方に思いやりが溢れていて
すぐに良い人だなと感じた
が
どんどん料理を勧めてくるので
お腹がいっぱいですごく苦しくなった
断るのに必死になりながら
どこかの経営者だと言う事は理解した
おじいさんは無口だったが
少ない言葉や態度から
私への気遣いみたいなものを感じる事が出来た
お腹苦しいなら私が処方した薬があるから
家に帰ったら飲みなさい
との発言で
お医者様なのだと理解した
私と歳が近いなと思った2人は
予想通り一歳下と二歳下の姉弟で
2人共顔つきが良く似ていた
一番下の子とは正反対に
ほとんど話をしない2人だった
特に弟の方は
ザ・反抗期的な匂いがプンプンしたが
それなのにこの場にいる
と言う事は
実はとても貴重な事なのではないか
と思いながら
あまりまじまじと見ないように気をつけていた
緊張は徐々に和らぎ
敵地感がだいぶ薄まったところで
そのまま家に連れて行かれた
よその家に泊まると言う経験はほとんどなかった
継母の実家や父方の本家に
数回泊まった事はあったが
それから数年が経過していた
よその家とは
妙な匂いがするんだなと感じた
もちろん嫌な匂いではないが
ああ
よその家
と言う感じの匂いだった
広そうなマンションなのに
リビングとして使っていた部屋は
キッチンの隣の
かなり狭いスペースなのも奇妙に感じた
帰った途端に
上の2人の子供は
すぐに自分の部屋にこもり
そのまま会う事はなかった
そしてその家には2匹の猫がいた
なぜかその猫達にはすぐに好かれたらしく
滅多に顔を見せないんだと説明されたタマは
振り向いたらすぐそばにいたし
リョウくんに至っては
朝になったら私の布団に一緒に寝てたので
ゆっくりそうっと撫でてみたら
気持ち良さそうに喉を鳴らしていた
あちらのおじさんとおばさん
そして小さな女の子が異様に喜び
特におじさんは
さすがやな
血は争えない
と感嘆の声を漏らし
負けました的なオーラを出して来た
聞けばおじさんは
リョウくんに毎晩マグロをあげたりして
頑張っているが
撫でる事をなかなか許されずにいるらしかった
リョウくんは
おばさんにべったりな猫ちゃんらしかった
血は争えない
その一言で
この家の人は
私よりも私について多くの事を
知っているんだな
と
理解した