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【ショート映画】剣神#1



      〜あらすじ〜 


旧世界の戦国時代…。映画「七人の侍」では貧しい農民たちは、野武士からの襲撃に備え侍を雇ったが、本作に登場する小さな村では、侍を雇うのではなく自ら戦っていた。農民の息子たちは幼い頃から、村の守護神として育成され、野武士や盗賊と戦う自警団「剣手(けんしゅ)」が存在した。
だが、剣手は侍ほどの権威はなく、いざとなれば命を捧げる影の薄い存在だった。

幼少期に両親を野武士に殺された悟丸は、剣手として村の育成学校で修行を積み、剣神と呼ばれる伝説の称号を得る。剣神は他の剣手たちを束ね、野武士たちの襲撃から幾度となく村を守り救ってきた…。
確して、村の英雄となり、剣手としての地位も引き上げた剣神だったが、ある日、村の長から呼び出され…。
旧世界の戦国時代を、剣手と呼ばれる刹那を描く。


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首都から遠く離れた出羽の国、その山奥の小さな村にて。



悟丸は、村長から呼び出された。

村長「悟丸、いつも剣手の仕事ご苦労。心から礼を言う。おかげで、この村も野武士や盗賊どもに襲撃されなくなった」

悟丸は頷くように会釈した

村長「うん、それでな剣神、実はお前の腕を見込んで頼みたい事があるんじゃよ…」

悟丸「何でしょう?」

村長「実はだな、剣手としての経験を活かして、都で警護の仕事をしてみる気はないか?」

「ここではお前は謂わば、井の中の蛙。もっと広い世間に出て、剣手としてさらに腕を磨いてほしいんだ」

「もちろん、報酬として礼金は出すし、仕事が終われば、また村へ戻ってきて剣手として村を守ってほしい」

悟丸「分かりました、それでどのような仕事で、どんな人物を護衛すれば良いのですか?」

村長「都の大名のお嬢様だ、結婚のため、首都まで旅をするんでな、その間、盗賊やら野武士から嫁入り前のお嬢さんを護って欲しいんだ…」

「それから、お前一人で出張するのは何かと大変だろうから、一人だけ他の剣手の同行を認めよう、お前が選べ」

悟丸「それは助かります」

村長「誰にする?」

悟丸「…そうですね、同い年の流木矢を…」

村長「流木矢は邪剣手だぞ、闇討ち専門の剣手だ、それでもいいのか?」

悟丸「ええ、確かに邪道ですが、敵に回わすと厄介な奴ほど味方に付ければ強い戦力になるはずです」

村長「よろしい、それでは早速頼むぞ」


悟丸と流木矢が合流



流木矢「よう悟丸、久しぶりだな」

悟丸「俺とお前は幼い時から剣手としての修練場で一緒だったからな」

流木矢「まあ途中から、俺は闇討ち専門になっちまったがな」

悟丸「暗殺者としてすっかり陰りが様になってきたな、顔に出てるよ」

流木矢「お前は、大それた剣神としてのエリート街道まっしぐらって感じだな、でも俺なんかで本当にいいのか?俺は悪党だぜ」

悟丸「いいんだ、お前の力が必要だ」

「頼りにしてるぜ」

流木矢「そうか…いいだろう」

「とっておきの道具を揃えておく」



2人は馬で都へと出発した。


大都・鶴雅


わいわい、ガヤガヤ…、馬車や荷車、人力車などが行き交う…。

流木矢「いや〜、さすがは都会だな、田舎とは大違いだぜ。おい、悟丸!ちょっと寄っていくか、一杯飲ろうぜ!」

流木矢は悟丸を酒場へと誘う

悟丸「おいおい、一杯だけだぜ」

流木矢「お前も相変わらず堅いな」

店へ入る2人


店主「らっしゃい」
2人を睨む店主

流木矢「座ろうぜ」

カウンターに座る2人

流木矢「とりあえず麦酒2つ」

店主は黙って了解したようだ



そこへ人相、ガラの悪い男が絡んできた

男「おいっ、お前ら見かけねぇツラだな」
「どこのもんだ?」

悟丸「ただの通りすがりですよ…」

男「ざけんな!ここへ何しにきた?一丁前に刀なんぞぶらさげてよ。お前ら侍にしては胡散臭いな、何門だ?」

悟丸「いいえ、うちらは剣手でして、護衛の仕事で来ました」

男「剣手…、はははは…(笑)なんだ、お前ら剣手かよ、あの底辺の捨て駒の剣手かよ…」

「俺はな15の村や都で賞金を賭けられてるお尋ねものなんだ」
「俺とやんのかてめぇ?まあ、剣手相手じゃ話しになんねぇけどな…ははは(笑)」

あざ笑う男

流木矢「やめといた方が…」

男「なんだと!!」

悟丸「お尋ねものなんですか?じゃ、賞金貰えるんですか、斬られると痛いですよ」

男「この野郎!」


男は刀を抜いた!


その瞬間…それに反応した剣神は物凄い早さで男の刀を斬ってみせた、刀で刀を斬ったのだった。


男は呆気にとられ一瞬何が起こったのか分からず固まったまま、やがて状況が分かると戦意喪失した男は、その場から逃げ去った。

カチンっと

悟丸は刀を鞘に収めた。



流木矢「なあ、今回俺たち剣手が、なぜよそへ行って護衛の仕事してるか分かるか?」

悟丸「ああ、村の情勢が厳しいからだ、小さな村は財政も人口も乏しい、自己の収益だけでは困難だから、村長は護衛の仕事を請け負った。俺たち剣手は侍とは違う。品格は、ずっと下だ…。村の守り手と言ったって、聞こえはいいけど、さっきの男が言ったようにいざとなれば命を捨てなければならない…」

流木矢「虚しいよな、剣手ってのは、実際死んでいった仲間たちはいるしな、俺たちも例外じゃない…。だけど村長は、結構いい金で受けたみたいだぜ、俺たちはスズメの涙だけどよ」

悟丸「ああ、戦死した時の事も考えてくれてるからな…」

流木矢「いつかはその時が来るかもしれないな…」


2人は、雇い主の大名、白鳥一家の旅宿へ泊まる事になった。




       つづく











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