恐怖の帰り道#2
これまでのストーリー
ミステリー作家のM田は故郷で講演会を行ったあと、帰りが遅くなった深夜、山奥に買った別荘アトリエへ一人、車で向かう途中、後ろから執拗に追いかけてくる車に遭遇、悪質なあおり運転だと思い、車を止めて譲るのだが、相手の車も一緒に止まってしまう…。
本編
M田にとって氷つくような瞬間だった。
M田「な、なんだよ!どういうことだ」
M田は様子を見ようと、そのまま止まってる事にした。
相手の車は、真っ黒な4輪大型SUV車だった。少し距離をおいて止まっているその車、運転手の姿も見えない。もちろんナンバーも見えなかった。
M田「行かないんだな…」
M田は思い切って、車を走らせようと考え、アクセルペダルを強く踏み込んだ。
車は勢いよく山道を駆け登った。
ミラーで後方を確認すると、その車は停まったまま動かなかった。
M田「変な車だったな…」と次の瞬間。
速いスピードでこっちへ向かってきたのだ!
しかもライトはハイ目の点灯!
M田は、眩しいだけではなく、恐怖しかなかった。
しかし、その車はM田を追い越し前へ出て、そのまま走り去っていく…。
M田「やっと行ってくれたか、何なんだったんだよ…」
M田は、ぼやきながらも安堵した。
安心したM田だったが、そのまま車を走らせると、
前方に、また、あの、黒い車が、
待ち構えていた。
M田は急ブレーキをかけ車を慌てて止めた。
いや、止めるしかなかった。
車は中央線をまたいで、前向きにこちらと対面するように止まっていたからである。
これは尋常じゃない、相手は普通じゃない、そんな事は十分承知、このままでは命も危ない状況…。
ただでさえ危険な状況だったが、
その車は、ライトを、またハイ目にし、
こちらに、ゆっくりと、
迫ってきたのである。
M田はもはやどうする事も出来なかったが、
携帯電話で警察へ助けを求めた。
つづく
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