
プレゼント
私は家族持ちだ。
妻と2人の子供もいて、それなりに幸せだったが、誕生日のプレゼントに何がいい?と聞かれたので、私はこう答えた。
「何も要らない、父さんは今のままで十分幸せだ」と言った。
そしたら娘からこう言わました
「じゃ、もっと家族の幸せを味わせてあげる」
「ほう〜じぁ、味あわせてもらおうかな」そう言うと娘は、
「分かった、なら父さんに一人だけの時間をプレゼントしてあげる」と言うのだ。
「えっ、一人の時間を過ごしたら幸せを感じられなくなるんじゃないの?」と言い返したら娘はこう言うんです。
「だからいいんじゃないの、一人の時間を過ごせば、改めて家族の良さを味わえるし再認識出来るんじゃない」そう言われてしまったのだ。
そうして私は、子供と妻から三ツ星ホテルのVIPルームの宿泊券をプレゼントされたのである。
………、実はここだけの話し、私には秘密があって………、私には愛人がいるのです。
私はその愛人とホテルのVIPルームで過ごしました。
まさか家族も私に愛人がいるなんて思ってもみなかっただろう、ましてやそんな事も知らずホテルの宿泊券をプレゼントしてくれたのだ……、
ちょっと申し訳ない気がした。
そうして私は家族からプレゼントされた一人の時間を愛人と過ごし、家に帰宅したのですが、私が帰宅すると温かく迎えてくれましたが、
そこで娘から言われた一言
「どうだった父さん、一人の時間は?」
「いや、愛人との時間は……」
「改めて家族との時間を再認識出来そう?」
私はビクっとして心臓が止まりそうだった。
私に愛人がいる事は家族全員知っていたのです。
一人だけの時間をプレゼントしたのは、それを炙り出すためだった。
まんまと引っ掛かった私は家族全員が見守る中、離婚届を書かされてしまったのです。
結局、その後は愛人とも別れ一人、慰謝料と養育費を支払う日々を送っている。
まさに娘の言う通り、
家族というものを再認識させられる時を過ごしている。
了