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【ショートStory】殺し屋「暗殺一課」


俺の職業は殺し屋だ。嘘をつくなって?いや、本当の話しさ…。じゃ、まずなぜ俺が殺し屋になったか、その経緯について簡単に説明しよう。いちいち、んな事説明すんのも面倒くせーけどよ。まあ聞けや、実は俺、刑務所に入っていたんだ、罪は殺しだ。

それで裁判になった訳だが、なんと証拠不十分で俺は無罪になっちまったんだ。
で、俺は出所出来たんだが、直前に刑務官に呼び出されて所長ところへ行ったらよ、何だか分からん連中のお偉いさんがいたんだ。
そのお偉いさんが、なんと俺にこう言ったんだ。

「殺し屋になってみないか」ってな。

ふざけた話しさ、俺は言ってやった「なんだよそりゃ、この俺をハメようってのか、俺を死刑にしたいのか?」と聞いたんだ。

そしたらよ、「ちゃんと報酬もでるし、政府公認だ」って言ったんだ。
冗談はやめてくれ、そんな馬鹿な!国が殺し屋の存在を認める訳がないだろう。
ところがだ、そのお偉いさんが言うにはよ、「世の中には死んでもらわないと困る連中もいるんだ」って言ったんだ。
じゃあ分かった、俺が仮に殺し屋を引き受けたとしよう。どうやって殺すんだ?公の場で殺っていいのか?そんな事したらすぐ警察に通報され刑務所だろって、聞いたらよ。そしたらこう言うんだ「そこは心配するな、お前が殺しやすい状況をこっちが作り出すから」だとよ。後で分かったんだが、殺る時は相手と俺一人とか、誰も見てない場所、または事故に見せ掛けての現場だから、俺が殺ったっていう証拠は残さないし、残らないようにし、証拠は揉み消し、全て隠滅されるらしい。凄い話しだろ?俺は殺しを遂行するだけだ。殺しのシナリオが出来ていて、主役の俺が殺るだけってわけさ。
銃を使う時もある、この前なんて、サイレンサー付の銃で、トイレに入って2人きりの状況を作ってもらって、ターゲットが小便している間に無防備な相手の頭に3発撃ち込んで終わりよ。あとは崖から相手を押して谷底へつき落とした事もあるよ。誰も見てないし、足を滑らせた事故って事にして処理されたよ。簡単な仕事もあれば、難しい仕事もある。時には相手が抵抗してくる場合もあるんだ、そんな時は大変さ、こっちの命が危ない時もある、もしそれでしくじって最悪俺がくたばったとする、そしたら終わりよ。なんの手助けも保証もしてくれない。当たり前だがな、いずれにしても危険な職業ってことさ…。
だが、つまり俺は公務員なんだ。殺しを請け負う役人さ、面白いだろう。
罪悪感はないかって?全くないね、罪悪感どころか、俺は任務を淡々とこなすただの役人さ、公務員業に徹するだけよ。税金で殺しを行う公務員だ。水戸黄門様も夜な夜な人斬りをやっていたし、松尾芭蕉も忍者でスパイ活動をやっていた、ああいうのと一緒さ。

どんな相手を殺るかって?犯罪人やお尋ねものの逃亡中の犯人、政府の人間もいるよ。よく政治家が自殺したニュースを耳にするだろ?実はなあれは嘘さ、本当は俺がやってる。あとは潜伏中の外国のスパイもな、探りを入れてる奴らは片っ端から消していったよ。そうやって日本の平和ってやつを俺は守ってきたんだぜ。知らなかったろ?だがな、知らない方がいいのさ、もっと言えば日本は本当に危ない時もあったんだぜ、お前らは何も知らずのうのうと生きてるがな。
外事警察の管轄だからな、俺は殺し専門。公には絶対公表出来ない国家最高機密部署それが「暗殺一課」だ。




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