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英国バンドMansunの、残念な生き物図鑑にのってしまいそうなところが好き
90年代後半のイギリスで最も象徴的であったロック・バンド、
マンサン(Mansun)は、イギリスのチェスター出身のロックバンド。1995年結成。 ブリットポップ末期の1997年にアルバムデビュー。 デビュー・アルバム『ATTACK OF THE GREY LANTERN』は全英1位を獲得した。英国の伝統的なグラムロック、プログレッシブ・ロック、ニュー・ウェイヴ等に影響を受けた耽美的なギターロックを展開した。 3枚のアルバムを発表し、2003年5月2日に解散。
Mansunという英国バンドをご存じだろうか。
90年代、ブリットポップの終わりにひっそりと、しかし確かな存在感を放って花開いたバンドである。
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上記の通りデビューアルバムは全英1位をとるなど、玉石混淆だったブリットポップの中でもかなりの実力派だった彼ら。
しかし余りにプログレッシブで難解迷路のようなセカンドアルバムが商業的に振るわず、そこから活動は下火に。
試行錯誤の後のサードアルバムは逆に余りにメロディアスになりマンサンらしさが失われてしまうなど不器用なバンドです。惜しまれながらも2003年に解散しています。
そんなマンサンですが、良い意味で、すごく残念なんです。
残念で悲しい、でもそんなところも魅力になってしまう、マンサン、今日はこのバンドを紹介したいと思います!!
残念ポイントその一:名前
うん。まずこれ。よりによって女性の蔑称とは。ま○ことは。
最初はmansonだったらしいですけど。ゴタゴタがあって変えざるをえなかったそう。
人に勧めずらすぎるよ。
残念ポイントそのニ:実力はあるのに売れない
1stは売れたけど…という。
ポッと出っていったらそうなっちゃうんですかね?
ただコアなファンはまだ一定数いる。
ブリットポップも大分斜陽なときにでてきたからかなあ。pulpとかsuedeとかがまだ知名度あるのを見ると、出てきたタイミングがわるかったのが有るかもしれない。
だがこのブリットポップ界の伊達政宗のような孤高の存在感をみよ!!suede,pulpと続いてきた伝統、イギリスの変態知的紳士~な感じをみよ!!
素晴らしいじゃないか!!!
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残念ポイントその三:セカンドアルバム、不幸にも過小評価
2st聴いてもらえれば分かるんですけれど、本当に難解です。
プログレです。一曲一曲が長くて、一曲に何曲もの曲が入ってるような感じ。転調しまくるし。
歌詞も猛烈なカトリック批判でいっぱい。
ポール(vo)の実家が敬虔なカトリックで、彼はそれが嫌だったみたいな話をどっかで見かけた気がするんですけど、確かではないです。
ちょっとOk computer ぽい。実際トム・ヨークも影響を受けたと言っていたような。(曖昧なことばっかでゴメン)
まあ勿論こんなアルバムが大衆に好まれ商業的に売れる訳もなく。
(とはいえ収録曲legacyはかなり売れたみたいだけど。あれは確かに聴きやすい。)
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だけど「six」はじめ全ての曲がデビューアルバムに負けず劣らず、作り込まれた名曲。
ブリットポップやグラムロックのサウンドは残しつつ創られる、難解で緻密、あくまで創造的なメロディー。
生み出されては転調に向かって破滅していく音達。
厭世的な詞と、その詞に対応するアルバムジャケット。
ポールドレイパー(vo)の世界観たっぷり。彼の頭の中を覗いたらきっと青いバラに埋め尽くされてるに違いない。
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まさに、もう1つのレディオヘッドなんです。
わたしにとってはなんでmansunが売れなくてOK computer が売れたのか分からない…勿論ok computerとその後のレディへは他と一線を画してるけども。
もうちょっと認知されても良いような…。
出てきたタイミングがわるかったのか??
残念ポイントその四:解散のゴタゴタ
ポール(vo) 「ストーブ(ba)がバンドの金盗んで逃げた!!」
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ちなみにこれはポールの嘘という噂もある。真相は藪の中。
残念ポイントその五:ボーカルのその後
実はボーカルのポールドレイパーは解散後もソロで活動したりプロデューサーやったりしてます。
アルバムもいくつか出してる。来日もしてる。
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ただこの人、SNSでたまに病む。
「先に述べたように、権力者は僕の投稿を削除しま す。詳細は省きますが、音楽業界の底辺の人々による 病的な復讐のために、僕は音楽から引退します。もう 二度とオンラインもリリースもしません。彼らはこの 投稿を削除しようとするかもしれませんが、僕はこの ビジネスの卑劣な連中が不快な申し立てをDMで送っ てくることにうんざりしています。応援してくださっ た方、ありがとうございました。僕はマキャベリスト (※目的のために手段を選ばない人) や社会不適合者 には勝てません。応援してくれてありがとう。さよう ならみんな! そのうち、自分のソーシャルメディア をすべて削除するよ。Thanks xx P」
こんな風に急に意味深なこと言う。メンヘラか。
でもあんな狂った曲と陰鬱な歌詞をかく人なので納得はできる。むしろイメージ通りだ。
どこぞやのラッパーとレスバしたこともあるらしい。フォロワーの数でマウントをとっていたのだとか。オイ!!
そんなところも含めポールドレイパーっぽい。
「人生は妥協だ!!」とか「どうせ僕は君をがっかりさせることしかできないんだ。ウジウジ」とか歌う人だ。すごく人間味がある。
売れないロックンローラーの具現化がすぎる。味がある。憎めない。
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でもそんなところが…ス・キ♡
こんな感じでちょっと残念というか、あと一歩及ばずっていうか。
でもそんなところが彼らの魅力になってる所がある。
勢いで成り上がって、だけど失速して建て直せなくて。
自分たちの世界観がなかなか世間とマッチしない。「時代を先取りしすぎていた」とか言われる。
厭世的な歌詞。ずっと個性をもとめているけどスターになりきれない。
だけどそんな風に不器用に踠いてる姿が、哀愁を漂わせる。
「ロックンロールルーザー」って曲があるんだけど、自分たちのこと歌にしたのかなって思ったりもする。
自分の個性を証明したくてもがいてもがいて、結局はルーザーだけどそのルーザーであることが皮肉にも個性なんだという。
音は作り込まれてるし世界観も独特だから、ハマる人はハマると思う。
そしてこの孤独な感じに沼ると思う。
是非聴いてほしい。