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学者として生きていくために必要なたった一つのスキル

それは、心を強く持つことです

自分なりの研究に取り組んでいれば学級の徒を自称できますが、それを他者に認めてもらうのはまた別の話。自分の世界で完結しているだけでは、研究者と認められないのです。

“研究する”とはどういうことかというと、

① 調べる
② まとめる
③ 発表する

このサイクルをこなすことです。

それぞれの段階に、心の弱い人間を挫折させる要素がぎゅうぎゅうに詰まっています。順番に見ていきましょう。

①調べる

先行研究にあたる

自分が決めたテーマについて、調査をします。

思いついたことを自由に調べたらいいのかというと、そういうことではありません。まず、自分が調べたいと思っているテーマについて、すでにどんな研究が行われているのかを調べます。

そして、研究の手薄な部分を調べて、このテーマ設定なら新しい成果が出るかもしれない…!という角度を探します。針の穴に糸を通すような作業です。

例えば新撰組の研究がしたかったとします。
すでに有名な隊士の経歴や、会津藩との関係、戊辰戦争の経過などは研究され尽くしています。

何が残っている? 何なら調べられていないんだ?

膨大な先人たちの研究成果に向き合うことになるので、「私に何ができるっていうんだ…」という投げやりな気持ちになります。

心を強く持ちましょう。

テーマを決める

研究が手薄だからギリギリ行けるかもしれない!と設定したテーマを改めて見直すと、「これは本当に意味があるのか?」「私がやりたかったのはこれなのか?」という現実を突き付けられます。

手元に残ったテーマは、
新撰組を生んだ多摩の豪農について、大根を中心に考える」
のように狭くマニアックなものになり、往々にして当初の問題意識から大きく外れます。

心を強く持ちましょう。

いや、私はどうしても池田屋事件について思うところがある!
となると、池田屋事件に関するあらゆる研究を読んで、自説をぶつけて先人たちに反論することになりますが、当然、圧倒的な実力差と知識量でねじ伏せられ、コテンパンにされます。

心を強く持ちましょう。

②まとめる

ある程度のデータと方向性が定まったら、研究成果を取りまとめて発表します。論文として出しても、学会で発表する形でもいいのですが、自分でその機会を設定します。

そして、期日に間に合うように研究成果を仕上げます。

他の何かに気を散らさず、期日までに納得のいくように内容をまとめる作業は、完全なる自分との戦いであり、集中力と自己管理能力が求められます。

心を強く持ちましょう。

③発表する

壁に向かって話すわけではないので、多数の読み手あるいは聴衆に、あなたが取りまとめた成果を発信します。
すると、反応が返ってきます。

褒められたり、批判されたり様々ですが、自分の研究成果に対する責任として、疑問や批判に解答します。
相手は専門家ですが、容赦なく突っ込んできます。

心を強く持ちましょう。

まとめ

私は“③発表する”が本当に苦手です。

すこぶる流されやすく、他人に◯◯じゃないですか?と意見を言われると、◯◯だったように簡単に思えてくるタイプの人間。

“③発表する”で情緒を揺すぶられるのが怖くて、発信するのが怖くなりました。

だから、私は学者としてやっていくのに向いていないわけです。

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