学部4年生の就活と修士2年生の就活
今回は、大学院での就職活動について、お話ししたいと思います。
様々な就活
私の大学院のゼミ仲間には、4年次での教員採用試験をあきらめ、専修免許を取ることを目指している人がいました。
4年次での就職活動に失敗し、もう一度新卒での就活をするために修士課程に進学した人もいました。
同様に修士2年での就職活動を目指していた人がいましたが、その人は途中であっさり中途採用で就職を決め、退学していきました。
大学院での就活について、いくつか例をあげて説明したいと思います。
専門職につきたい場合
学芸員や大学教員になりたい場合、学部卒業では学歴が不十分です。
専門知識をいかした職につきたい場合は、修士課程・博士課程まで進学することが不可欠。
ただし、そうした専門職は博物館・美術館・史料館・自治体・大学などの数少ない求人に応募し、チャンスを得る必要があります。
修士2年~3年までという短い期間でアカデミックポストを得ることは容易ではないので、その後複数年はアルバイトや非常勤の職で食いつなぐ覚悟が必要となります。
公務員・一般企業を目指す場合
修士課程は2年間しかないので、ゼミ運営の中心的な役割を担うのは1年生後期~2年生前期。
就活の期間に平行してゼミ運営の仕事があるため、大変そうでした。
内定をもらった場合、必ず修士論文を出して修了しないと、内定がフイになります。卒論と同じではありますが、難易度は高くなるので、少し覚悟がいるかもしれません。
しかし、むしろ大きく変化するのは教授・先輩など、自分を取り巻く環境でしょう。
優しかった教授は大学院では別人になる
学部で4年間勉強、卒業して就職するというコースが現代の大学ではマジョリティなので、大学も先生も、それを後押しするシステムを作っています。
介護実習や教育実習、就活が理由の欠席には特別な配慮をしてくれたり、追試・追加課題などで単位取得をサポートしてくれたりします。
しかし、それはあくまで学部でのこと。
私が通っていた大学には「仏」と言われ、出席していれば単位をくれることで有名な先生がいましたが、それはある意味で学部生は「お客様」だと思っているから。
大学院に進んだ瞬間、「先生」は「研究者」に戻り、学生に対しても「若い研究者」として接するようになります。
手加減してくれる「仏」には、二度と会えません。
大学院は研究者育成のための場所なので、“就活”より“研究”が優先されます。
先生それぞれの考え方にもよりますが、
といったことになった場合、事情を斟酌してもらえなくても仕方がない(=最悪単位が取れない、成績が下がる)と思っておいた方がいいでしょう。
学部生のときほど、周囲が就職活動を応援・サポートしてくれる環境は期待できない、ということです。
もちろん、先生が就活の邪魔をしてくるという意味ではありませんし、協力してくれる方が大半だとは思います。
しかし、“○○学の修士号を与える”というのは重い意味のあること。先生として、実績の伴わない修士号を与えるわけにはいかないので、自然とハードルはあがるのです。
就活の難易度と、卒業・修了のための難易度。
それぞれを比較して、後悔の少ない選択をしていただきたいです。