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微生物資材の微生物に一番必要なこと。

「土壌王国、王道クエスト」シリーズの8回目。

まずは、微生物は善と悪の拮抗だ!って話。

米糠は土壌改良の材料として有効なことに間違いはありませんが、
米糠の何が、何に効いて、どういう効果があるのかが
わかっていないと、思ったような効果や結果は得られません。
というのが、前回までのお話。

今回からは「何に効いて」の「何」に当たる
微生物のお話です。

目に見えないからわかりづらいよね〜。

微生物資材の効果のわからなさというのは
有機農業の永遠のテーマかもしれません。

それは、微生物が植物の生育に一定の役割を持っているけども
なにせ数が多すぎて、
「これだ!」と言える有用な微生物をなかなか特定できないし、
特定できてるいくつかの微生物も「植物の生育を助けている」ことは
解明されていたとしても、すべての植物に有用とまでは言えないし、
その土地の土質との相性というのがあるから、
全国どこでも同じ効果が出せるというものでもないからなんだけど
戦後の学校教育に慣れきっている私たちの脳では、
全国どこでも、どんなことでも、モノでも
同じ結果や効果があるのが当たり前だと
思い込んでいるフシがありますよね。

もちろんかつての私もそうでした。
そりゃもうガッチガチにそう思っていました。

なので、微生物資材の効果のわからなさのモヤっとした思いと、
イマイチ信用のおけない感じ。
そんなあなたの素直な印象は、ものすごく正解です。

今回からは、
そのモヤっとしたものを解き明かしながら、
ほんの少し、微生物資材に対する考えを変えてもらえたらうれしいな。

正しく使えば効果は目に見える

ここまでやんわり書いたのに、
「いきなり結論かいっ!」って感じですが、
微生物資材は正しく使えばその微生物の効果はちゃんと目に見える形で
わかるものなんですよね。

ポイントは、
微生物資材が「ここに効果がある」のはどこなのか。
その微生物資材にちゃんと餌を与えているか。
そして、微生物資材を使うタイミングを間違えていないか
微生物資材を使い控えしていないかに
かかっていると言っても過言ではない。

例えば、人間の身体の特に腸に効く腸内細菌剤。
腸内細菌が増えると腸の環境が良くなって、体が丈夫になると
言われていますよね。

これを深掘ると、
腸内細菌自体が人体の腸の何かに効いているのではなくて、
小腸のひだの間に住み着いて、
人が食べた食物が、胃酸で溶かされ流れてきた
粒の荒い食べ物片を餌として分解してるだけなんですよね。
つまり、人の体も微生物に超分解してもらわないと
栄養価の高い食べ物を食べても小腸から養分を吸収できない。
たくさん養分を吸収するためにはよく働くガテン系の腸内細菌を大量に
リクルートする必要があるので、整腸剤や、乳酸菌なんかを
食べたり、錠剤や液剤で飲まなきゃいけません。
ということなんですよね。

でも、腸内細菌は腸に根っこを張っているわけではないので、
水分なんかと一緒に体から排出されがちなので、
コンスタントに摂取する必要がある。

微生物資材も同じで、何のどこに効くかはさておき、
植物の栄養吸収を助けるためのガテン系労働者として頑張ってもらうには、
常に餌と人員の補給が不可欠というわけです。

人体では整腸剤を正しく飲む、
腸内細菌をコンスタントに取り込むと、
うんさんのお通じが良くなる、健康な体になる、
病気にかかりにくくなるなどの、劇的ではないけど、
何もしない時よりは健康を実感できますよね。

ガーデニングや野菜の栽培でも、
微生物資材を正しく使い、使い控えをしなければ、
植物は病気にかかりにくく健康に育つことを実感できます。

逆に言えば、「丈夫で健康」が、最大の目に見える効果というわけです。

タイトルの回収するよ

そして、人体には人体の、植物には植物の善玉細菌がいるように、
悪玉菌、悪玉微生物というのがいます。

植物の栽培で微生物資材が効かず、
なんだか弱くて不健康に育ってしまう時の土には、肥料や土質とは別に
善玉菌や善玉微生物よりも悪玉菌や悪玉微生物の量が多くなっている
ことがあります。
この要因では、善と悪、どっちの微生物が多いかという数の論理と
善玉の餌が圧倒的に足りてないことが原因と言っても過言じゃない。

つまり、
微生物資材が効いていない状態とは
ガテン系労働者はいても食糧不足で力が出ない状態なのに
ゴミを撒き散らすオラオラ系やからさんばっかり増えてしまい、
気がつけば土の中はゴーストタウン化してしまってるみたいな感じです。

弱ったガテン系労働者はやからさんの餌になってしまうか、
飢餓でおなくなりになるだけなので、
ガテン系の食料を足すことなくガテン系だけを土に足したところで
ガテン系の犠牲者が増えるだけで、
環境の改善などできるはずがないというわけです。
むしろ暗黒の悪循環ね。

逆に、ガテン系労働者用の食料がきちんと与えられて、
数を増やせる状態にあれば、ガテン系の密度が濃くなって、
オラオラ系やからさんが追い出されるというわけ。

これぞ、善玉と悪玉のマクロの戦いですね。

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