ニッポン乗りもの紀行 第17回/渡辺雅史
ご無沙汰でございます。全国のいろんな乗りものに乗って、そのレポートを綴っております、放送作家&ライター集団リーゼントの渡辺雅史です。
全国のいろんな乗りものに乗って、半年に一度のペースで乗車記をあれこれと書くこのシリーズ。前身の「東京乗りもの紀行」を含めると、今回が第6期となりました。書いている自分が言うのもなんなのですが、日本各地には面白い乗りものがたくさんありますね。
で、今回乗ったのは、こちらです。
体重を前に傾けると前に、後ろに傾けると後ろに、ハンドルを左右に傾けると右へ左へと曲がる独特の操作方法から「未来の乗りもの」と注目を集めたセグウェイです。
2001年にアメリカで販売がスタート。日本では2006年から販売が始まったものの、当初は公道を走ることが出来なかったこと、最高速度が20km/h程度と自転車並みにもかかわらず価格が60万円ほどしたこと(ちなに電動アシスト自転車、電動キックボードは10万円前後です)などから普及が進まず、2020年に製造休止となりました。
私も当時「一度は乗ってみたいな」と思っていたのですが、奮発して購入したとしても自由な私有地など持っていないし、まわりに購入した人もいなかったので乗るのを諦めていました。
そんなセグウェイですが、調べてみると製造休止から4年以上経った現在もセグウェイジャパンによる『セグウェイツアー』という乗車会を国内7ヶ所で行なっていることを発見しました。「これは乗らなければ!」ということで、都内から電車に乗り、こちらの駅に降り立ちました。
東武東上線の池袋駅から急行電車でおよそ1時間。埼玉県滑川町にある森林公園駅にやってきました。この駅は名前の通り、国営武蔵丘陵森林公園の最寄駅ですが、公園のゲートまで3kmほど離れているので、駅前広場から路線バスで公園へと向かいます。
バスに乗って到着したのは、公園の南口。
ゲートの脇にはセグウェイが並べられています。
南口のそばにある案内所兼休憩所の建物の脇には「SEGWAY TOUR」の看板。
建物の中に入ると、ツアーの受付のデスクがありました。
ツアー開始10分前、デスクにスタッフの方がやってきて受付スタート。この日の参加者は6人。所定の同意書や名札に名前を記入します。
スタッフの方が「ツアー中、名札の名前で呼びかけます。ニックネームなどを記入してください」とフランクな感じで語りかけてきました。そして私は思いました。「セグウェイはアメリカで誕生したもの。このツアーも海外系の企業にある、明るい方々のざっくばらんなノリなのだ」と。
私はiPhoneを使っているので、修理の際アップルストアに出かけることがあります。ある日、フル充電されているにもかかわらず電源が勝手に落ちてしまう不具合が出てアップルストアへ行った時、スタッフの方に不具合の状況を伝えようとiPhoneを渡すと「この子、どうされましたか?」と聞かれたことがありました。その時の感じがよみがえりました。
話を戻します。書面の記入時に、走行中の写真撮影は危険なので禁止であること、園内での記念写真はスタッフが撮影することなどの説明があり、それが終わると、先ほど見たセグウェイの置いてある場所へ。まずはここで操作方法の講習を受けます。
スタッフの方の補助をいただきつつセグウェイ乗ると……車体はほんの少しずつですが後ろの方に動きます。おそらく腰が引けて体重が後ろに傾いているからでしょう。前に体重を傾けるようと意識すると、なんとか停止しました。
そしてバーを左右に傾けて90度回転。そして前進、S字カーブ走行と操作方法を参加者全員で練習します。体重を後ろに傾けると当然後ろに走り出すのですが、歩行者が多い公園内でミラーもない状況で初心者がバックするのは危険ということで、ツアーではバック走行が禁止されています。
体重を前にかける動作がアクセル、真ん中のバーがハンドルと考えると自動車の操作に似ています。自動車の運転を普段から結構しているので、操作方法はすんなり頭に入りました。
そして20分ほどの講習が終了。スタッフの方の補助でセグウェイから降りると、変な力みがあったのか、私のヒザ、ふくらはぎ、足首に痛みが……。10分の休憩の間に屈伸運動や水分補給をして体調を戻し、いざ園内へ。
里山をそのまま公園にした森林公園は、ゆるいものからきついものまで、結構な数の坂道があるのですが、セグウェイは楽々と進んでいきます。これまでもこの連載で電動キックボード、電動バイク、電動自転車に乗りましたが、パワーはセグウェイが一番です。登りがきつそうな坂道でも、体重を前方へ強めに傾ければスイスイと登ります。
参加者6人とスタッフ2人が一列になり、歩行者の邪魔にならないよう園内を走行しました。
園内にある花畑で休憩したり。
記念撮影をしながら園内を一周。
2時間弱で南口へと戻ってきました。
セグウェイを元あった場所に戻してツアーのデスクへ。
ここでセグウェイツアーの手帳をもらい、今日の乗車記録をつけました。
最後に、スタッフが撮影した写真は名札の裏にあるQRコードから1週間ダウンロード出来るとの説明や、その写真は個人のSNSなどに掲載しても問題ないかといったことを確認して2時間半のツアーが終了しました(ちなみに今回使用した写真の多くは、セグウェイツアーのスタッフの方が撮影したものです)。
先ほども少し触れましたが、自転車やキックボードのような曲がる際に体を傾けるものではないセグウェイは、運転感覚が自動車に近い乗りもの。免許証を持っていて普段から運転されている方なら、楽しく乗れるものだと感じました。
森林公園のセグウェイツアーは1回8000円(所要時間は2時間30分)、1日2回、各回定員6名で開催しています。詳しい情報、ほかの開催場所やツアーの価格はセグウェイツアーの公式ページでご確認ください。
次回は、無人運転の乗りものに遠出して乗ってきました。お楽しみに!
(つづく)