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スポーツ語るシス!何度見ても泣ける名シーン「田中将大投手」編
映画やドラマなどで「何度見ても泣けるシーン」ってありますよね?
セリフも展開も全部わかっているのになぜか泣けてくる、いわば“鉄板”の名シーン。
誰にでも1つや2つはあるはず。
そんな名シーンが映画やドラマ以上に多いのが、スポーツの世界。
筋書きのない展開に、いつ見ても、何度見ても、思わず涙してしまう。
ということで、今回はスポーツ大好きの筆者が、涙活したい人たちにオススメする”スポーツの名シーン”をご紹介していきます。
なお、選んだシーンにおける涙腺の決壊ポイントは完全に私個人の価値によるものなので、これでは泣けないという人がいてもそこはご容赦ください。
では、 行きましょう!
【構成作家T プロフィール】
主にラジオやテレビの台本を書いている40代の構成作家。
趣味はスポーツ観戦。特に野球が好き。カープファン。高校野球ファン。
まさかの2日連続登板!ファンモン『あとひとつ』の大合唱!
2013年11月3日。
雨が降りしきる中、日本製紙クリネックススタジアム宮城(現在の楽天モバイルパーク宮城)で行われた、楽天と巨人の日本シリーズ第7戦のこと。
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この年、悲願だった初のリーグ優勝を果たした楽天。
レギュラーシーズンでは、エースの田中将大投手が前人未到となる無傷の24連勝を記録するという、もはや神がかり的な活躍を見せていた。
そして、迎えた日本シリーズでは、先に王手をかけた楽天だったが、セ・リーグ覇者の巨人に3勝3敗で並ばれ、第7戦に勝った方が日本一となる大一番を迎えていた。
震災から2年。
立ち上がるための元気と勇気を東北に届けたい――彼らはそう思っていたはずだ。
この日、楽天ベンチには異例の事態が起こっていた。
前日の第6戦で160球を投げ、本来であればベンチに入るはずのない田中将大の姿があったのだ。
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一般的に、プロ野球の先発ピッチャーというのは、一度投げたら5日~6日ほど間隔をあけるが当たり前となっている。
いくら短期決戦の日本シリーズとはいえ、前日の先発ピッチャー(しかも160球も投げている!)を翌日のベンチに入れるなんてことは、常識では考えられない。
しかし、当時の星野仙一監督は迷わず田中将大をベンチに入れた。
そして、田中自身も2日連続でマウンドに上がる覚悟で試合に臨んでいた。
試合は楽天の先発・美馬学、7回から継投した新人の則本昂大が好投。
打線は牧田明久の本塁打などで小刻みに点を加えていき、8回が終わった時点で3-0と楽天がリードしていた。
そして、その瞬間はやってくる。
8回裏の楽天の攻撃が終わると、星野監督がベンチから出てきて、球審のもとへ。
何やら一言二言交わした後、テレビの中継を見ていてもわかるほどハッキリとした口元の動きでこう告げた。
「田中」
この日、田中がベンチに入っていることを知っている観客たちは、星野監督が飛び出した瞬間から、もうわかっていたのだ。
ついに来た!
スタジアムに選手交代を告げるアナウンスが流れる。
「田中将大」の名前がコールされると、球場のボルテージは最高潮に達した。
そして、登場曲であるファンキーモンキーベイビーズの『あとひとつ』と共に、田中がマウンドへと上がると、一斉に大合唱が始まった。
昨日も見た、田中投手である。
その表情には覚悟がみなぎっていた。必ず勝つと。
そう、この瞬間が筆者にとっての泣けるポイントなのだ。
楽天ファンではない筆者だが、この場面は何度見ても涙が止まらなくなる。
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球場がひとつになり、東北が沸いた。
みんなの願いがひとりの男に宿ったかのようだった。
試合のほうは、しっかりと田中が締め、星野監督としても悲願だった日本一に輝くこととなる。
![](https://assets.st-note.com/img/1725182010789-XLMM5C18vy.jpg?width=1200)
東日本大震災からの復興という側面もあったが、闘将・星野仙一と稀代のエース・田中将大の想いが一致し、この日その試合は伝説になった。
機会があれば、ぜひ当時のVTRをご覧になってみてください。
泣けます!
(つづく)