科学が証明するフィトンチッドの力 ストレス社会に森林浴!
イントロダクション
ストレスが多いこの社会で、人々の健康管理が大きな社会問題になっています。有効な予防対策が求められている中で、森林浴が新しい健康増進・疾病予防法として注目されているのをご存じでしょうか。
森林浴という言葉が約 40 年前に日本で生まれて以来、森林環境が心身の健 康を増進させ、予防医学として有用であることがさまざまな研究で証明されました。
そして、今「森林医学」として発展し、論文としても数多く発表され、エビデンスを有する医療の一環として世界で活用され始めています。
ここでは、その森林浴で期待できる効果についてご紹介していきます。
ストレスの軽減
森林浴は、ストレスホルモンであるコルチゾールのレベルを低下させ、心拍数を安定させる効果があります。
研究によると、都市旅行ではストレスホルモンに影響を与えないのに対し、森林浴は有意にこれらのホルモンを減少させることが明らかになりました。
出典:森林浴(森林浴)の生理効果(全国24の森での野外実験から実証)
特にメンタルストレスホルモン(アドレナリン)やフィジカルストレスホルモン(ノルアドレナリン)に顕著な効果があります。
フィトンチッドの効果
フィトンチッドをご存知でしょうか。
フィトンチッドとはロシア語の「フィトン(植物)」と「チッド(殺す)」を合わせた造語で、土に根ざして移動できない植物が、虫や病原菌などの外敵から自らの身を守るために発散している揮発性の物質のことです。
実はこのフィトンチッド。
人間にとっても多くの健康効果をもたらしてくれます。
例えば、抗菌作用や免疫力向上効果もあると言われています。
そして、森林浴のリラクゼーション効果にも大きく関わっています。
フィトンチッドの香りは、森に入った瞬間に感じる清涼感が特徴です。
特に針葉樹と呼ばれるマツやモミなどに多く含まれており、これらの樹木はフィトンチッドを多く分泌します。
そして、周囲の植物にも良い影響を与えることがあります。
フィトンチッドの分泌量は季節によって変化し、特に春と秋の移行期に多く分泌されます。これは、植物が成長期や休眠期に入るための準備をしているからと言われています。
免疫力の向上
森林浴は、免疫力の向上にも効果的です。
フィトンチッドの影響で、NK(ナチュラルキラー)細胞の活性が増強され、がんの予防効果があるとされています。
NK細胞とはリンパ球に含まれる免疫細胞の1つで、異常細胞を発見すると単独で攻撃を仕掛ける非常に重要な細胞です。
森林浴によるNK活性の効果は1ヵ月後も持続するという結果も出ています。
また、血清中のコルチゾール(全てのストレス)を減少させることで、免疫機能が向上します。
(出典:都市ではなく森林を訪れると人間のナチュラルキラー活性と抗がんタンパク質の発現が増加する)
精神的健康の改善
森林浴は、うつ病の予防にも効果があります。
自然の中で過ごすことで、心が安らぎ、精神的な健康が向上します。
特に、フィトンチッドの香りが精神的な安定に寄与し、うつ病の予防に役立つとされています。
血圧と心拍数の低下
森林浴は、血圧と心拍数を低下させる効果があります。
これにより、高血圧症や心臓病の予防効果が期待されます。
自然の中で過ごす時間が、心臓の健康を守る重要な要素となります。
(出典:α-ピネンによる嗅覚刺激が自律神経活動に及ぼす影響)
睡眠の改善
森林浴は、睡眠の質を向上させる効果もあります。
自然の音や香りに包まれながら過ごすことで、
リラクゼーションが促進され、深い眠りが得られます。
特に、フィトンチッドの香りが睡眠の質に良い影響を与えることが確認されています。
生活習慣病の予防
森林浴は、生活習慣病の予防にも役立ちます。
血圧の低下や免疫力の向上により、生活習慣病のリスクが軽減されます。
また、フィトンチッドがコロナ感染症の予防にも寄与することが示唆されています。
都市公園での森林浴の効果
都市公園での森林浴も、健康増進効果があります。都会の中でも、自然に触れることで得られる効果は大きいです。
特に、フィトンチッドの香りが健康に良い影響を与えます。
森林浴は、五感を通じて自然を感じるだけでなく、科学的にも多くの健康効果をもたらします。
また、自然の中で過ごす時間は、癒しと活力を与えてくれます。
是非、五感を感じる森林浴を行い、この素晴らしい効果を体感して下さい!
まとめ
免疫機能を増強し、がんの予防効果がある
ストレスとストレスホルモンを低下
睡眠を改善
うつ病の予防効果がある
血圧と心拍数を低下し、高血圧症と心臓病の予防効果がある
リハビリテーション医学にも応用
都市公園でも健康増進効果がある
生活習慣病の予防効果がある
森林の嗅覚成分、フィトンチッドの健康増進効果が重要である