ギラギラ その2
午後になっても、太陽は容赦なく、ギラギラと僕の背中を照り付けている。長い上り坂を上がると、彼女のアパートが見えて来た。ベランダに下がっているギラギラした鳩避けが目印だ。
いらっしゃい!待ってたわよ。
ドアを開けると、彼女のかわいい声がした。
今日は暑いね。何?その服?サウナスーツ?
そう。ちょっと太って来ちゃったんで、これでお手軽ダイエット。
彼女はそう言って、ちょっと舌をだす。めちゃくちゃかわいい。
2人でNetflixで映画を見ていると、彼女は突然、スッと立ち上がり、キッチンから肉切り包丁を持ち出した。ギラギラ光る刃を僕に向かって、思いっきり振り下ろした。
あっという間の出来事だった。僕は呆気なく、彼女にやられてしまったのだ。
やられてしまった後、僕は思い出した。彼女の郷里では、昔食人の習慣があったことを。
ギラギラ光るサウナスーツは、僕の返り血避けの為に着ていたのだ。慣れた手つきで、僕を解体する彼女。小さなナイフを使い、手際よく作業を進める。手は僕の脂肪でギラギラしてる。
細かく切られた僕は、干し肉を作るのか、ギラギラと日差しが照りつけるベランダに並べられた。強い日差しを浴びた僕の肉片は、脂ぎっていて、ギラギラとした不気味な光沢を放っている。
カーカー!
匂いを嗅ぎつけたのか、カラスが周りを飛び回る。そこで僕は気がついた。
このギラギラした鳩避けは、本当はカラスを避けるものだったんだと。
(了)