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ショートショート
友達と喧嘩しちゃった。悪いのは私じゃない。
そう思いながら、足は自然といつも
友達のなっちゃんと遊んでる公園に。
あれ?
なっちゃんと私がいつも座っておしゃべりしてるベンチに、おじさんが1人腰掛けていて、スマホをジッと見つめながら画面を指で一生懸命に突いている。不思議に思って
こんにちは。
おじさん、何してるの?
と話しかけてみた。
普段学校やママから、知らないおじさんに話しかけてはいけないって言われてるんだけど、そのおじさんは、絶対に悪い人じゃない感じだから話しかけてみた。
ショートショートを書いてるんです。
ショートショート??
あ、読み聞かせの時間に、たっくんのお母さんが読んでくれたやつかな。
おじさん、星なんとかって人?
え?違いますよ。
おじさんは慌てて否定した。
私の作品、良かったら、聞いてくれる?
そう言うとおじさんは、小さなロボットネズミが
出てくるお話を読んでくれた。主人公とロボットネズミのやり取りが面白くて、私は笑いながら聞いていた。
そんなに喜んでもらえて嬉しいな。
おじさんも嬉しそうにそういった。
感想を聞かれたので、ロボットネズミがかわいいとかそんな話しをした後、
あとね、おじさんの・・・
と言いかけて、
やっぱり、なんでもないです。
と、私は言うのをやめた。
ホントはおじさんの、ロボットネズミの口真似が可愛くって良かったって言いたかったのだけど、なんだかちょっと恥ずかしくなって、言うのをやめた。
そして気がつくと、空はすっかりオレンジ色の夕焼け空。突然、公園の隣にあるマンションの明かりが一斉にパパパパーって点いた。
するとおじさんは、
あ!もう帰らないと。ではさよなら。
と、慌てて足速に帰って行ってしまった。不思議なおじさん。だけど今日は楽しかったな、って思いながら、私も家に帰った。
次の日、学校が終わって公園に行くと
またおじさんがいた。そして今日は、
別のお話しを読んでくれた。
おじさんのお話し面白いね。
私もお話し書けたら楽しいかな?
と、私が言うとおじさんは、
楽しいよ。一緒に書こう。
と言ってくれて、
それから私達は、毎日お互いの作品を
読み聞かせし合うようになった。
おじさんはスマホ、私はメモ帳に
せっせと作品を書き溜めた。
そして、読みながら私達はケラケラ笑った。
そして気がつくと、仲間は少しずつ増えて、ある日は、ステキな声のおばさんが私達の作品を読んでくれたり、大学生のお兄さんが、自分の飼い猫を主人公にしたお話しを読んでくれることもあった。
そして、マンションの明かりが
パパパパーって点くと、ショートショートおじさんは、大慌てでうちに帰って行くのだった。
ある日、いつものようにおじさんと
ショートショートを読み合っていると、
あの・・・
と話しかけてくる子がいた。
なっちゃんだった。私はなんかドキドキしちゃって、下を向いてしまった。
おじさんが、なっちゃんに
良かったらここに来て、私のお話し聞きますか?
と言って、私とおじさんの間に座る場所を作って、なっちゃんを座らせた。
今日のショートショート
題名は、仲直り。
おじさんがショートショートを
読んでいるときに、私はなっちゃんに
ごめんなさい
と内緒話しした。
なっちゃんも
ごめんなさい
と、私に内緒話ししてきた。
おじさんがショートショートを読み終えたと同時に、パパパパーとマンションの灯りが点いて、おじさんは、いつものように大慌てで帰って行った。
そして、私となっちゃんも手を繋いで
おじさんの後を追っかけて行った。