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(2)日本版帰化試験問題 第48問
C 権利と義務
次のカテゴリーは権利と義務だ。日本国憲法が権利に傾きすぎているというのは指摘のあるところだが、そのへんを考慮しながら、問題を検証していこう。
【アメリカ市民権試験問題】
■第48問 合衆国憲法にある有権者についての4つの修正条項のうちのひとつを答えよ。
(答)18歳以上の市民であること。投票するために金を払う必要がないこと。すべての市民が投票できること。すべての人種の男性が投票できること。
【帰化試験問題】
★第48問 普通選挙の要件は何か。
(答)選挙において、国民が年齢以外の制限や差別を受けないこと。
【解説】
合衆国憲法には古い修正条項が残っており、それをさらに修正する条項があるという重層的な構造になっていることがわかる。古代日本の律令の修正と施行規則である格と式を思い出した。
もちろん日本ではそんな修正条項はないので、これが間接的に問うている「普通選挙」の概念について聞いてみたい。
普通選挙という言葉は、日本史では、戦前の民主化(教科書はこの言葉を嫌って使わないが、明らかに戦前の日本には民主化があった)の流れで出てくる。
普通選挙とは、狭義には、年齢以外の制限や差別が原則的にないことである。
日本が女性を含めた普通選挙を実施したのは、戦後ではあるが、実は大日本帝国憲法下でのことである。これは、フランスよりも早い実施であり、同憲法の下でも、民主化が可能であるという、当時の大方の憲法学者(そこにはあの美濃部達吉や、昭和天皇に憲法学をご進講していた枢密顧問官・清水澄が含まれる)の意見が正しかったことを部分証明している。
戦前の普通選挙には婦人参政権はなかったが、実は昭和になって衆議院では、それを認める法案を可決しているのだ。貴族院の反対で廃案になったが、それを各教科書は皆無だ。また、現役の軍人は、下士官兵であっても選挙権がなかったという事実(手前味噌ながら、これが教科書から欠落していることを筆者は修士論文ですでに指摘していた)などは、選挙権の歴史を考える上で重要な事柄だと思われる。