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マスクしないで外に出る~一歩だけ

喉が弱い私は、防寒も兼ねて冬場はたいがいマスクをつける。そう考えると、かれこれもう1年以上マスク生活をしていることになる。

1年って単位はいろんな意味でキリが良いから、よく振り返る機会に使われる。その度に「この1年あという間だった」なんてことをよく言うけれど、実は結構、長い。人間の体に習慣を植え付けるには十分すぎるほどに。

もう外出する際には、車のカギと、財布、その次くらいにマスクだ。私の場合は車で出かけるにしても家の中からマスクをつけて出る。振り返ると、最後にマスクを着けずに堂々と外を歩いたのはいったいいつのことだろう。きっと瞬間的にはマスクを外している場面なんてあったんだろうけれど、意識してそれをするのは、今のご時世難しいものがある。

でも今日は、意識してマスクをしないで外に出てみることにした。玄関の外に1歩だけ。外の空気を、風を、顔いっぱいに浴びて、感じたかった。

今日は運よく、寒波も休憩中のようで、昼間は春を感じさせるようなほろ温かい陽気だった。心なしか、空気も少ししっとりしているよう。

ちゃんと、マスクをしないで1歩外に出て、そんな空気を肺いっぱいに吸い込む。これ以上ないくらい、深く、堂々と。

空気って、こんなに美味しかったっけ?

それくらい、体に染みわたってきて、心もすごく健全だった。本来あたりまえに吸収できるはずの純度の高い外の空気。今、大げさじゃなく人類丸ごとマスクを通さなければいけないような状況になっている。

人は意識しないうちにたくさん、幸せを享受している。自由に動く元気な体とか、健康なんて分かりやすい。普段元気に過ごしている間は特に気にも留めないのに、怪我をして、風邪をひいて、初めて不自由を感じる。当たり前に出来ていたことが出来なくなって感じるありがたみは、昨年から今まで数えきれないくらいある。

そして外で堂々と深呼吸をすることも、私は今日まで失ったことすら忘れていた。

マスクは家からつけて行くものになっていたけれど、たまにはわざわざ時間をとって、玄関の一歩外に出て、思い切り深呼吸することを忘れたくない。

また堂々と、マスクなんてしないで外出できるその日までは。

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