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【日記】松戸ノスタルジー

 久しぶりに帰省すると、
 駅から実家までの十数分の街並みが、
 少しずつ変わっている。

 すると、地元にいながらにして、
 郷愁が胸を打つ。

 その日、大学生の弟と、
 部屋でだらだらと会話していた。

「地元は徐々に様相を変えていくな」

 弟は頷く。けど……。と続けた。

「俺はさ、松戸が良い街だと思うんだ」

「なぜだ」

「人が多過ぎないし、栄え過ぎて無いし、自然が多過ぎない」

「聞こえは良くないが」

「都会すぎると、自然の中で遊ぶような子供時代の無邪気な思い出が生まれない。かと言って、自然が豊かすぎて不便だと、そもそも嫌な思い出が多くなる。松戸はちょうど良いんだよ」

 私は疑問を呈した。

「そもそもお前、松戸以外に住んだことないだろ」

「うん」

「他の街の良さ、知らないだろ」

「いや、松戸が1番だね。少年時代を過ごすなら尚のこと」

「説得力ないな」

 私は正直である。

「松戸より、代々木公園駅付近が好きだ」

「薄情者だね」

 地元愛というより、
 地元への偏愛、という方が正しい。
 弟の今後が少し気になった。

「貴様は大学卒業したら、一人暮らしするのか」

「おう」

「松戸に住むのか」

「飽きたから、他の街にする」

「薄情者じゃねえか」

 とても住みやすく、良い街だとは思う。


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