どんな仕事でも他者と関わり続けなればならない「他者と働く」読み終えた
宇田川さんの「他者と働く」を土日で読み終えた。
気になってたけど、面白くて2日で読めました。
この本はどんな本
この本は、「ナラティヴ・アプローチ」という対話や適応課題への取り組みで、医療や臨床心理で研究された思想・方法に基づいて書かれた本です。
そのため本文には、ナラティヴという言葉が散りばめられています。
この本のテーマは「対話」(Dialogue)です。
組織や仕事をすると、必ず他者と何かをする。知識労働でも肉体労働でも。
自分は、チームにおいての対話の重要性はかなり感じていたので、この本を読むにあたって思い当たる部分多かった。
ナラティヴとは。
ナラティヴという言葉は、物語。語りを生み出す「解釈の枠組み」のことです。
よくストーリーというのが、物語としての意味に使われますが、一般的な起承転結のようなものではない。
この言葉、すきですね。何もしなければ始まらない。
他力本願にならず、自分が思ってることは言わなければ始まらないし、なにも変えることはできない。
だから自分自身で切り開かないといけない。
他人の思考は変えれることはできない。自分が変わらなければなにも変わらないと一緒だ。
本書の構成
組織の厄介な問題は「合理的」起きている
ナラティヴの溝を渡るための4つのプロセス
実践1 総論賛成・各論反対の溝に挑む
実践2 正論の届かない溝に挑む
実践3 権力が生み出す溝に挑む
対話を阻む5つの罠
ナラティヴの限界の先にあるもの
個人的に、コラムが良かった。
ナラティヴアプローチについて語られてるところは理解しやすい内容でした。
解像度が上がりました。
知識として正しいことと、実践との間には大きな隔たりがある
環境がそうなってて、本当はこうなっててほしいことができない。実践や現場ではよくあることだ。
自分もそういう状況にはよくなる。他者と働いてるから、それぞれの価値観が違うからだ。
どうやったらできるか?やってみる第一歩はどこにあるのか。ただ実際にはどのようにうまくやるか。他人を傷つけずに。
相手のうまくやっていくことで正しいことを取り入れるようにしたい。そういう意味になる。
ただ都合のいい問題はすでに解決済みで、組織や他者との間には都合の悪い問題しかない。
対話とは
対話とは、権限や立場と関係なく誰にでも、自分の中に相手を見出すこと、相手の中に自分を見出すことです。
双方を受け入れ合っていくことを意味する。
お互いが理解し合えないと対話にならず、一方的になることは避けたい。
対話は、対等に話し合うみたいな感覚でいるから若手や部下が言ってることは常に耳を傾けたい。
むしろ若い子の意見は、価値観が違うことから自分にとって新しい発見がある。
年上の意見はいかないとかではない。年上の意見も大切にして、なぜそうなってるか歴史的な背景もきけるから経験をきくことも対話でおこなっていきたい。
それが自分の価値観のアップデートにつながる。一方的に塞がるのではなく常にオープンに聞き入れていこう。
適応課題と技術的問題
この本の対話には、適応課題と技術的問題の二つの話が出てくる。
技術的問題は、既存の方法で解決できる問題に対して、既存の方法では一方的に解決できない複雑な問題を既存課題となります。
ロナルド・ハイフェッツが定義した言葉です。
喉が渇いたときに水を飲めば解決できるような問題は、知識量が増えれば解決できる。
エンジニアでも経験が浅いと解決できないが、経験や知識がついてきたら、それは技術的問題で解決できる。
一方で適応課題は、他部署に協力が必要なケースだったり横断して問題を解決しなければならないときに複雑に絡み合うときは対話が必要になる。
よくあるスクラムオブスクラムみたいなケースやチーム開発では適応課題はたくさんでてくる。本業でもそれが当たり前に起きている。
自分が思ってても、別のリスクや反対意見がでる。
組織やチームが大きくなって一つのことを成し遂げるときには特にこの問題は目に見えてくると感じてる。
誰しもが持つ「ナラティヴ」とはなにか
誰しもが「私とそれ」の関係性との間に構築していることがある。
うまくいってるときは変える必要性はない。しかし想定外の問題が生じた時や適応課題が見出されたときに、その関係性を改める必要がある。
その一歩目が、「相手を変えるのではなく、こちら側が少し変わる必要がある」ということです。
それがナラティヴということを示してた。
「上司と部下」との関係性が良い例だった。
上司が無能だからとかPMが無能だからとかでイライラすること自体が「上司たるものこうあるべきだ・部下であればこうならなければならない」という自分の物差しで解釈してるから起きる苛立ちがある。(人間だから物差しはある)
ではどうあるべきか。
どちらのナラティブが正しいということでない。
ナラティブは視点の違いにとどまらず、その人たちが置かれてる環境における「一般常識」というものです。
ようするに相手の立場でものを見なければ対話は生まれない。
もしかしたら、一方的に自分が思っていたことが間違ってる可能性もあるし上司や部下の立場にならないとみえない事柄があったりもする。
だから、自分は相手の立場側にもたってみて判断しなければならないと思っている。
若い頃は、レスポンスが遅いだけで駄目な人だなーとか思ってたりイライラしたこともたくさんあった。
歳をとるとこのあたりが寛容になったとかではなく、対話しなければ相手との関係性は築けないと思うようになったから意識するようになった。
この本を読んで改めて知識として得ることができたのは大きな学びだった。
よい解釈には「相棒」を求めよ
仕事をする上で、解釈の段階は起きる。
そうしたときに自分が思ってること感じていることなどを解釈できる「相棒」は必要だったりする。
昔も今も仕事をするときに自分が思うように伝えられず、悩んでたときにはチームの良き理解者がいてうまく立ち回ってくれてる。ありがたいことだ。
この本に限らず、自分も良き相棒になれるように努力していきたいと思うようになってる。
理解者がいなければ、仕事も楽しくないし難しい課題に1人悩まなければならなくなる。
こうした状態は良くはない。
だから、「相棒」という表現は個人的に残った内容だった。
転職したばかりでもあるから、よい「相棒」を見つけたい。
対話のプロセスは繰り返す
対話のプロセスは繰り返すことが大事。
アジャイルなプロセスになってくると、この対話がとても重要だと思っている。
準備
観察
解釈
介入
一方的に思ってるだけではだめで、何回も対話のプロセスを繰り返すことでお互いが思ってることの解像度が上がってくる。
プロセスだから、この手順ならオーケーとはならない。
人間は思ってること自体は、人それぞれ異なる。
もし観察や準備の部分で躓いたなら、もう一度準備に戻ればいいことだろう。
対話に制限なんてものはない。何度も繰り返しお互いの溝が埋まるようにしなければ物事は進まない。
つながりの再構築で孤立を解消する
人は1人では生きていけない。という言葉があったりする。
孤立はかなり辛い。孤立がいいと言ってる人もよいが、どんな環境下でもどこかで繋がってる。仕事やプライベートでも。
仕事において、孤立はかなり辛い。だからチームや組織では人が孤立しないような組織にしていきたい。
だからメンバーとも毎日対話やときには雑談でも行いたい。
フルリモートが当たり前になった時代にはとくに繋がりを強く感じるようになったように感じている。仕事面でもプライベートでも。
会社に行けば孤立も解消されていた時代に、フルリモートではこちらから能動的に動かなければ孤立する。
しかし、能動的に動ける人も動けない人もいる。
この状況では必ず孤立が生まれ、人が仕事をやめたりなどが起きる。
能動的に動きやすい環境を作ることが重要になる。あのひとと喋りたいとかそういうレベルでも問題ない。
自分からアクションできる環境を各自が持つことが自己組織化につながる。
厳しいKPIだったりをもうけたりして、わからせてやるといった心持ちでは、心理的安全は確保できない。
厳しいKPIが悪いのではなく、厳しいKPIでもチーム一丸となってクリアしていける環境そのものが大切だったりする。
この課題すごく難しいどうしよう。。相談する相手もいない。。でも話したいけど相手の時間を奪ってしまうとか考えてしまう。
相手をしるというのが一歩かもしれない。ただ業務だけをこなすだけでは良いチームは作れない。
この人は話しやすいし、理解しやすい。そういうのは雑談だったり声のトーンだったりで感じ取ることができるのが人間だったりする。
だから自分は雑談や普段好きなことだったり、どうでも良いことから生まれるイノベーションを大事している。ただ業務のことだけやるだけでは何も生まれない。
仲良しこよしチームを作りたいわけではない。もっとリラックスした状態でひらめきを共有できる環境や話したいことを話せる環境が大切です。
もしかしたら、雑談から良いアイディア・こうしたらもっと良くなるのでは?などがでてくる。人はリラックスしている状態のほうが思考を無限に広げれる。
まとめ
この本の内容は、個人的にハマったり、思ってることを言語化できてる良書でした。
対話や適応課題・ナラティブといった部分について多くを学べました。
また週明けから業務が始まるが、今まで通り対話からチームの小さいカイゼンをしていき、相手の立場のほうにも立ってみて物事をみていきたい。
コラムも面白い内容になっているので、今いるチームにも浸透させていきたいと感じた本でした。