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「問いかけの作法」を読み終えた
アジャイルでチーム開発するとデイリーやプランニングやレトロスペクティヴといったイベントが発生する。
そのときにファシリテートしていく必要があります。
進行するということをここ最近行なっているのだけど、なかなかうまくいかないことがあって悩んでいる。
慣れの問題と言ってしまえばそれまでなんだけど、うまくできないままではまずいとおもって今の課題を考えた中で、うまい問いかけができてないと感じた。
問いかけが上手く回らなければ無駄に無言な時間になってしまい結論まで至るまで時間がかかる。
そのために「問いかけの作法」を読んで勉強して実践していこうと思い手に取った。
悩んでる問いかけ方法
本書にも書いてる問いかけにおけるお通夜ミーティングは良く起きる。
これは相手が悪いのではなく、自分の進め方・問いかけの方法に問題があるという悩みを抱えている。
主体的にチーム全体で、意見を出し合えるようにしたいというのが自分の目標である。ファシリテートの工夫をしたいと考えている。
良かった部分
この本は、実践的な例をもとに工夫について良く書かれていた。
章ごとに明日から実践できる内容になっている。
とくに平日のようにチームと会話する立場なので、実践していきたい内容だった。
ファクトリー型とワークショップ型
日本の企業の多くは、ファクトリー型の仕事の技術と習性に磨きをかけてきた背景がある。
言わる経営者起点のトップダウン式で、経営層が定めた「問題」に、現場メンバーが「解決策」を推進していくスタイルになります。
自分の中では、ファクトリー型はウォーターフォールな組織をイメージしている。学校教育カリキュラムからファクトリー型の人材を育ててきた背景が大きい。
昨今では、環境や働き方が変わってきたことからワークショップ型への移行を阻害する、あしき慣習となっています。
アジャイルをやるとボトムアップで物事を考えていくことから、大きな違いはここにあると私は思っている。
共存はできるのかというと難しい部分はたくさんある。
ファクトリー型への環境適応による「4つの現代病」
判断の自動化による、認識の固定化
部分的な分業による、関係性の固定化
逸脱の抑止による、衝動の枯渇
手段への没頭による、目的の形骸化
判断の自動化については、普段の物事が「こういうものだ」になっている。本書では青信号は渡る・赤信号は止まるといった考えなくても判断できるものだ。
仕事においても、ファクトリー型は、なるべく早く・効率的に作業を進めることが求められる。
それが効率化どうかは判断が難しいが、「こういうものだ」と決めつけてしまうと作業のさらなる効率化の発展はないと私は思った。
固定概念をいかに壊すことで、柔軟に物事を考えていきたい。
人間の驚くべき能力は、互いのことを深く理解していない他者でもコミュニティを形成して協力できる力を持っている。
たしかにいろいろなチームや仕事をすると相手を深く知らなくても、仕事は可能な点においては、人間には互いを理解していなくても物事は進められているなと思った。
ただチームにおいて深く理解しなければいけないことはたくさんある。
例えば仕様がお互いの認識とズレが生じていることはたくさんある。
なにかを一緒に作るときに、認識の齟齬で進んでしまうと物事はうまくいかないことはたくさん経験した。
議論と対話の違い
アジャイルでも「対話」の話は出てくる。
書でもワークショップ型のチームに切り替えるうえで「対話的な関係性」が何を表すのかが書かれていた。
議論
議論とはチームの合意結成や意思決定をするための建設的な話し合い
対話
対話は比較的自由な雰囲気で行われる。議論と明確に異なる点は、論理や正しさの観点から「チームにとっての最適な結論」を出そうとしない点にある
対話は、結論を出すという点よりも意見の背後に、それぞれのメンバーがどんな意味付けをしているのかお互いに理解することを重点においてる。
この理解は合っていた。自分は議論よりも対話のほうが好きだったりする。
自由に発言して、互いを理解して考えていくスタイルが合っている。
なぜ、このひとが反対しているのか。その背景や考えを知ることを大事にしていきたい。
ファクトリー型は、なるべくミスを犯さないように設計・仕事を進める必要がある。
失敗をしてはいけないというのは、学びがないと感じてしまってる。
アジャイルは学びの連続であって、失敗を恐れていたら何もできない。個人的にはこの考えのため、ミスしてはいけないというのは萎縮してしまうと思っている。
ミスをしないようにすることに意識してしまうのは、学びという点で半減する。メンバーの主体性が下がってしまう。
手段への没頭におて、ファクトリー型では、最初に設計した通りに計画をして淡々とすす得ていく。
目的の形骸化はかなり大きい。
ここでは、3人のレンガ職人のエピソードが書かれていた。
レンガ職人A:ただひたすらにレンガを積んでいます
レンガ職人B:壁を作っています。これで家族を養っています
レンガ職人C:歴史に残る偉大な大聖堂を建てています
作業の内容に着目している・業務の目的に着目している・仕事の理念に着目している。
この話は面白かったし、自分は作業よりも仕事の理念のほうを重視している。
たしかに工程のなかで目的・作業という点はあるが、もっと大きいコンテキストで仕事をするほうが楽しい。歴史に残したいわけではないが知らない人にも自分が作ったものを利用してほしいと思っている。
目的の形骸化は、目的と手段がずれたまま手段が自己目的化し、何のためにそれをやっているのか意義が感じられなくなっている状態
この状態は、前々職でも感じてたことだった。
目的がわからないまま瞑想してたような気がする。
日々の問いかけの蓄積が、チームの状態を作る
ファクトリー型の価値観で、関係性の固定や衝動の枯渇になっている場合、打破するための工夫が必要になってくる。
日々問いかけを行うことから、ファクトリー型の問いかけはチームのポテンシャルがじわじわと抑制されている原因。よくあるケースで今の課題でもある。
無意識の問いかけがチームの関係性を悪化を招いているかもしれない。
メンバーの口を閉ざす、無自覚な問いかけ
この問いかけをよく見かける。
自分も無自覚な問いかけでチームの問いかけはしているかもしれない。
上司や部下の関係でよくみかける。
部下の提案を一蹴するような言動になってしまうと、そのあとの部下に発言は小さくなってしまう。
一蹴するにしても、言い方・発言の仕方には気をつけたほうが良さそうと感じた。
メンバーが自由な意見や考えを発言することが、チームのプラスになる。
良いか悪いかは別として意見が出ないようなことはしたくない。
元々の自分のキャラクターや芸風をあわせる
自分がどのようなタイプなのかを見極めて、そのコミュニケーションスタンスの傾向を芸風と呼んでたのは、良かった。
自分はどちらかというと感情重視や提案タイプなのような気がする。
話し方についてもすこし笑いがあったほうが、会議も楽しいと思う派だったりする。
人の性格によってしまうところだけども、自分のキャラクターを常に維持していきたいと思った。
フカボリモードとユサブリモードの使い分け
対話の深堀りはよくある。知らなかったのは揺さぶりのほうだった。
固定概念や価値観のズレなどの「とらわれ」が見えてきたときに、揺さぶりをかけて、新しい可能性を探るモードのようです。
フカボリモードの質問の型
素人質問:みんなの当たり前を確認する
ルーツ発掘:相手のこだわりの源泉を聞き込む
真善美:根底にある哲学的な価値観を探る
真善美という言葉を知らなかったので、メモしておいた。
「真」とは、嘘偽りのないまことのこと。
「善」とは、道徳的に正しいこと。
「美」とは、美しいさまのこと。
人間が理想とすべき基本的な価値概念であり、行動規範のようです。
「真善美」を体現することが人間の理想的なあり方のようです。
ユサブリモードの質問の型
パラフレイズ:別の言葉や表現に言い換えを促す
仮定法:仮想的な設定によって視点を変える
バイアス破壊:特定の固定概念に疑いをかける
フカボリモードは、コンテににあるこだわりを探るモードです。
ユサブリモードは、凝り固まったとらわれを揺さぶって新しい可能性を下がるモードです。
アジャイルは、フカボリとユサブリの連続のような気がする。
質問の型をしっかりと使いこなせるように意識していきたい。
立場と言い訳を利用して「AKY」に問いかける
空気読めないの文字からKYの派生語としては、「あえて、空気・読まない」という態度を取るようです。
この言葉自体を知らなかったけど、あえてやってるところあったなと読んでて思い出した。
この活用で場を壊すことが多々あるのだけど、解像度があがるのでよくやってる。
理解がふわふわしていることが多い中、知ってるのが前提で進められて意味がわからないまま仕事をしてしまうと乖離は起きる。
だからあえてツッコむようにしている。新人の場合は何もしらないからこそ武器でありAKYを意識したほうがよい。
まとめ
まだまだ読み応えがある本だった。
一個ずつ工夫して自分の問いにも使いこなせていきたいですね。
この本にも書いていたとおり、読んで終わりでなく実践していくことが大切なようです。
毎日チームと活動しているからこそ、問いの工夫はしていきたい。
自分のスタイルも維持しつつ、チームが主体性を持って発言できるようなチームづくりをしていきたいと思っています。
勉強になった本でした。