マーケターはGoogleアナリティクスを使うのをもう止めて新しい方法を取り入れる時期
Googleアナリティクスの限界
Googleアナリティクスは長年、ウェブサイトやアプリの分析に不可欠な存在でした。
しかし、近年の動向を見ると、Cookieベースの計測手法に大きな課題が生じており、特に問題なのが、iPhoneからのアクセス計測です。
Googleはその問題に決定的な打開策を見出すことができていません。
Appleが2020年にSafariのデフォルトのCookieポリシーを変更し、サードパーティCookieの使用を制限したことで、Googleアナリティクスによるトラッキングが困難になっています。
日本は世界的に見てもiOSの普及率が高い国の一つとして知られています。
ここ数年の傾向として、iOSのシェアは着実に増加しており、2024年2月の統計では日本のiPhoneのシェアは65%を超えています。
つまり、7割近いデータが欠損することとなり、データ分析をする際、残りの3割程度のデータでそのサイト全体の傾向を判断しなければいけないことになります。
欠損したデータで分析するリスク
例えば、日本全体のタピオカの調査をしたいと思ったとする。
渋谷駅前で1万人に調査をしたとします。
これは、信憑性があるでしょうか?
日本全体のタピオカの調査結果として信憑性がありますか?
当然あるとはいえないですよね。
あくまで傾向です。
しかし、このデータを信じて、
全国的なプロモーションを掛けたとしましょう。
これは成功するでしょうか?
当然、確度が低く、
販売数が少なくなる可能性を含んだプロモーションになる。
成功確率が低くなるということは容易に想像できるでしょう。
では、具体的には何が制限されるのでしょうか?
iPhoneからのユーザー情報が制限される仕様
iPhoneからGoogleアナリティクスでデータが取れないのは、主にSafariの制限によるものです。Safariの「インテリジェント・トラッキング防止(ITP)」機能が、クッキーを制限しているためです。
Safariのクッキーの寿命が7日間に制限されているため、以下の指標でのデータ取得に影響があります。
各指標での影響と、データ取得可能日数
セッション
正確に取得できる日数: 7日間
7日を超えると、同一ユーザーが新規ユーザーとしてカウントされる。
イベント
正確に取得できる日数: 7日間
7日を超えると、イベントトラッキングが不完全になる。
コンバージョン
正確に取得できる日数: 7日間
7日を超えると、コンバージョンの追跡が途切れる。
平均滞在時間
正確に取得できる日数: 7日間
セッションが分断されると、滞在時間の計測が不正確になる。
地域情報
影響: IPアドレスの匿名化により、常に正確な地域情報が取得できない場合がある。
クロスサイトトラッキング
影響: 「_gl」パラメータを使用してドメイン間でユーザーを追跡できるものの、ITPの制限により、JavaScriptで設定されたファーストパーティCookieの有効期限が7日間に制限される。クロスサイトトラッキングと判断された場合、トラッキングパラメータが削除される可能性がある。
※IPアドレスの匿名化とは
Googleアナリティクスでは、IPv4アドレスの最後のオクテットをゼロにします(例: 192.168.1.1 → 192.168.1.0)。IPv6の場合は、最後の80ビットをゼロにします[4][7]。
IPアドレスの匿名化とその影響
匿名化により、特定のユーザーを識別することはできませんが、地域情報(国や都市レベル)は取得可能です。ただし、都市レベルのデータは約30%の精度低下があるとされています[4]。
匿名化はデータがGoogleアナリティクスに送信される直前に行われ、完全なIPアドレスはディスクに保存されません[2][5]。
匿名化されたIPアドレスは、特定のユーザーの正確な位置情報を提供できないため、地域ターゲティングやローカルマーケット分析には影響があります[4][7]。
この匿名化は、GDPRなどのプライバシー規制に準拠するために実施されています[3][9]。
実際には、7日を過ぎても多少データは取れているようですが、原則正確ではないと考えたほうが良いでしょう。
参照
[1] https://support.google.com/analytics/answer/2763052?hl=en
[2] https://www.iubenda.com/en/help/1184-how-to-anonymize-ip-addresses-and-avoid-the-cross-referencing-of-data-in-google-analytics
[3] https://datadrivenu.com/gdpr-ip-addresses-google-analytics/
[4] https://www.optimizesmart.com/how-to-turn-on-ip-anonymization-in-google-analytics-and-google-tag-manager/
[5] https://www.cookielawinfo.com/anonymize-ip-in-google-analytics/
[6] https://www.blobr.io/how-to-guides/can-google-analytics-track-ip-addresses-and-what-does-it-mean-for-your-website
[7] https://en.ryte.com/wiki/Anonymizing_Google_Analytics/
[8] https://cookie-script.com/blog/ip-anonymization
[9] https://ppl-ai-code-interpreter-files.s3.amazonaws.com/web/direct-files/23074963/97590290-d4d6-4095-afae-e4738922e46d/image.png
どう対応すべきか?
仕様を見ての通り、シンプルではありません。
分析をする時には、これを包含した上で分析しなければなりません。
そのiPhoneのユーザーは全体の7割。
また、基本的にiPhoneからのアクセスは7日間しか記録されない。
つまり、正しく判断できるのは7日間。
以降は、7割が信憑性が薄いデータで分析しなければならない。
まともなアナリストなら、
このデータで分析したいと思う人はひとりもいないだろう。
代替する方法
アクセス解析ツールは長くGoogleアナリティクスが主流でした。
Webビーコン型というデータ取得方法が主流になったわけです。
Googleアナリティクスが主流になる前は、実は3つのデータ取得方法があった。
アクセス解析ツールのデータ取得方法には主に3つある。
Webビーコン型(タグ型)
サーバーログ型
パケットキャプチャリング型
それぞれの特徴とメリット・デメリットは以下の通りです:
Webビーコン型(タグ型)
説明: WebページにJavaScriptタグを埋め込んでデータを収集
メリット: リアルタイム分析が可能、詳細なユーザー行動の追跡が可能
デメリット: JavaScriptが無効の場合データ収集不可、ページの読み込み速度に影響する可能性
サーバーログ型
説明: Webサーバーのアクセスログを分析
メリット: 全てのリクエストを記録、過去データの分析が可能
デメリット: リアルタイム分析が難しい、ボットのアクセスも含まれる
パケットキャプチャリング型
説明: ネットワーク上のデータ通信を直接キャプチャして分析
メリット: 最も詳細なデータ収集が可能、暗号化されたデータも分析可能
デメリット: 導入コストが高い、プライバシーの問題がある可能性
これらの方法は、それぞれ異なる特性を持っており、目的や予算、技術的要件に応じて選択されていた。
しかし、Googleアナリティクスのユーザーが増え、主流になった事から、サーバーログ型とパケットキャプチャリング型は、ひっそりと残っていく形になりました。
問題の本質はデータ取得方法に制限が掛けられている事
ITPの制限は、このWebビーコン型に制限が掛けられています。
つまり、それ以外のデータ取得方式では、iPhoneからのアクセスも、いまも変わらず問題なくデータ取得ができているわけです。
ではどちらを選ぶべきか?
サーバーログ型、パケットキャプチャリング型、2つあるわけだが、どちらを検討すべきか?
パケットキャプチャリング型は、コストが非常に高い。
数百万かかるでしょう。
サーバーログ型は、コストが非常に安い。
サーバーアクセスログ解析の有用性
サーバーログ型はコストが非常に安い。
サーバーアクセスログ解析は、Cookieに頼らないため、iPhoneのアクセスからのデータも取得できる。また、ユーザープライバシーへの配慮も強化されています。ブラウザ側の設定変更による影響を受けにくく、より安定した計測が可能になる。
また、サーバーアクセスログは、もともとサーバーがダウンしないように「監視」を目的としたもので、Webビーコン型とはそもそも成り立ちが違う。
もし、サーバーアクセスログがなければ、サーバーの保守をしているエンジニアは、何が起こっているのかを把握するものがなくなってしまうため、これを規制で制限することは難しいものでもある。
データ取得方法
サーバーログ型のデータ取得方法について技術的に解説します。
ログの記録
Webサーバー(Apache, Nginxなど)がリクエストを受け取るたびに、アクセスログを生成します。
ログには通常、IPアドレス、アクセス日時、リクエストメソッド、URL、ステータスコード、ユーザーエージェントなどの情報が含まれます。
アクセスログは通常、サーバー上のファイルシステムに保存されます。
ユーザー識別
IPアドレスやユーザーエージェントの組み合わせでユーザーを識別します。
より正確な識別には、サーバーサイドでセッションIDやCookieを発行し、ログに記録する必要があります。
この方式の利点は、サーバー側で完結するため、JavaScriptが無効な環境でも動作し、過去のデータも分析できること。
また、ユーザーのブラウザに依存せずにアクセス情報を収集できるため、iPhoneユーザーを含む全てのユーザーの行動を正確に把握できる。
あなただけ他社競合と差が付けられる
見ての通り、サーバーアクセスログ解析であれば、ウェブサイト、LPにアクセスしたユーザーの行動データが取得できる。
この記事を書いている2024年8月10日現在では、ほぼ9割以上のユーザーはGoogleアナリティクスを使っており、誤った判断をしているところに、あなただけは正確に判断ができる事になる。
iPhonユーザーの行動が判断できる価値は高い
スマホユーザーにはiPhonユーザーとAndroidユーザーの2種類がいる。
この2つのユーザーを同じセグメントで分析すると面白いことがわかってくる。
それは、
iPhoneユーザーは購入単価や獲得率が高い傾向がある。
ということだ。
考えてみると、至極当たり前の事だ。
iPhone端末とAndroid端末では端末の価格が違う。
スマホを買い替える時に、
iPhoneかAndroidかの選択肢がある。
当然、その2つで端末価格に差があるが、
iPhoneの方が端末価格が高い事になる。
※もちろん、端末によって金額は異なりますがiPhoneの方は高い傾向になる。
iPhoneユーザーの方が所得が多いユーザー
GAからは所得が多いかどうかまでは知る術がない。
しかし、ウェブサイトを分析してみると、iPhoneユーザーの方が高額商品を購入していたり、獲得単価が高い傾向があることがわかる。
これからすると
「AndroidユーザーよりiPhoneユーザーの方が所得が高い」
と言う事が分析者の中では知られている。
※もちろん、コモディティ商品で、低単価のラインナップだとこの傾向はでにくい。
Googleアナリティクスに代わるサーバーアクセスログツール
ここからはウェブサイト分析やLP分析だけではなく、プロモーションには当然ながら広告も使われるのが一般的なので、広告のことにも詳しく解説する。
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