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その声で、名前を | エッセイ

わたしがこの世界から消えてしまうその瞬間
最後に聴こえるのは
私の名前を呼ぶあなたの声が良い

愛を伝え合う行為の間にも
朝の目覚めのその瞬間にも
あなたの声で私の名前を呼んで欲しい

私には名前がある
親からもらった大切な名前
私が私であることの証

あなたがいなくなる
私の名前を呼ばなくなる
そんな日が来ると思うだけで
私はとても辛くなる
涙が込み上げてくる

あなたの名前を私が呼んで
返事がないなんて私はきっと耐えられない
だから私は先にいきたいの
あなたを置いて先にいくのを許して欲しい

私は人に去られるのが耐えられない弱い人間
だからいつも私の方からサヨナラを告げてきた

私には支えが必要
私の名前を呼んでくれる人が必要
だけど永遠がないことも知ってるから
深入りする前にさよならするの 

だからお願い
私がいなくなるその瞬間には
あなたの声で名前を呼んで
私がこの世界から消えるその日だったとしても
いつもと変わらず名前を呼んで
それがあれば
生まれてきて幸せだったと思えるから
その声で 私の名前を呼んで


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