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本屋が好き

1日で4軒の本屋に行った。
本屋が目的ではない日だったのだけれど。

その日は表参道の美容院に行き、その後渋谷で友人と会う段取りだった。
美容院が終わったあと、待ち合わせまで時間があったので、のんびり寄り道しながら歩くことにした。

表参道の街はおしゃれすぎて苦手なのだけれど、歩き進めるほどに雑多な雰囲気になっていき、心が自由になりはじめる。
途中に、「漫画だけが置いてある」本屋があった。その紹介が気になって入ってみる。

大手書店くらいのたくさんの漫画がずらり並ぶ店内で、いくつかの漫画はピックアップされ、店員さんのおすすめポップが貼られていた。
その中でも「あくたの死に際」という漫画が目に止まった。物書きの漫画らしい。気になるが今買うと重荷になるので、頭のメモリに入れておく。

お店を出て、てくてくと渋谷方面に歩いていく。まだまだ時間はありそうだ。こういうとき、自分はたいてい本屋で時間を潰す。
駅近くの大きな本屋に行くことにした。

本屋に行くシチュエーションは2パターンある。目的があるときとないときだ。今日は目的がないとき。
こういうときは、とりあえず店内をぐるり一周する。
美術館や博物館を巡るのと楽しみ方は近いのかもしれない。
世の中にこんな本がある、ということを知って楽しいし、気になる本があれば買うこともできる。かなり楽しいエンタメ施設ではないだろうか。
入場料を払ってでも入りたい。本より高いとあれなので、300円くらいでどうでしょうか。

待ち合わせ時間が近くなってきたので、移動することにした。
5分前行動を心がけたい。ただし余裕があるときに限る。
友人から時間ピッタリくらいに到着する旨の連絡が来た。
私の5分前行動が徒労に終わった。

5分前行動に意味を持たせるべく、待ち合わせ場所付近をさまよっていたところ、不思議な本屋があった。
本の中身がわからず、誰かの感想だけが見える状態の本がたくさん売っている。なるほど、こういう体験型の本屋というのもあるのか。
じっくり見たかったが、5分の制約に飲まれて流し見で終わってしまった。経験者の方、どなたか感想おしえてください。

友人と会い、食事をしたあと、帰宅時間まで二人で本屋に行った。
各々好きな本を紹介し合ったり、おすすめし合ったりした。
けっきょく特段本は買っていないのだけど、これはこれで良いと思った。
本を通じてお互いの内面を知ることに意味があるのだと思う。

そんな一日を振り返った際の心残りがある。一冊も本を買っていない。
本屋が好き、というタイトルなのにお金を落とさないとはどういうことだ、と心の中の書店経営者が囁いている。
「紙の本はAmazonでなく、なるべく実店舗で買います。」
こんな誓いで許していただけないでしょうか。

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