コロナ禍で存在を消された私たち コロナ後遺症疑い、長期体調不良の日々

検査難民
発症月:2020年4月
ペンネーム:なな
居住地:東京都

はじめに

私は、もともと、一人暮らしのオタクでした。2020年4月に発症し、それからずっと微熱と倦怠感等が続きました。発症前は、オタク用アカウントでTwitterを使っていましたが、発症後、Twitter上で同じような微熱続きの方が多いと知り、情報収集、体調記録用で別アカウントを作りました。このnoteに記載した記録は、そのツイートしたものの中から一部を抜粋したものです。

2020年

4月~症状:発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、倦怠感、呼吸苦、咳等

〈4月〉
*発症後4日目。午前、発熱外来を受診。レントゲンの結果異常なし。風邪という診断結果で薬をもらう。

*発症後7日目。熱が下がらないので再度、同じ病院へ。

「7日間発熱が続いているということで100%コロナではないとは言い切れない」

と言われるが、PCR検査の手配はしてもらえず。

「重症化はしない。
 咳の薬を出すので様子を見て。
 週末で良くなると思う。」
「気持ちの問題もある。
 病いは気からって言うから」

と言われる。
気にして具合が悪くなることもあるかもだけど、こんなに大勢、長期に治らないものじゃないでしょ。。だったら、みんな基本的に「治りたい」って思ってるなら、良くなるのでは?と思った。

*保健所に電話。一度で繋がる。対応は丁寧。症状を説明すると、

「どうしたいか?検査を受けたいか?」

と聞かれる。

「熱がずっと下がらないので、治療なり検査なり、可能なことはお願いしたい」

と伝えると、

「治療はできないので引き続き自宅にいてもらうことになります」
「その病院から検査するようにとは言われてないんですよね?」

と言われ、検査を断られた。

パリでのコロナ患者さんの手記を見た。そこでは、PCR検査を受けなくても、37.5度以上の熱が4日以上とかじゃなくても、微熱で原因不明の体調不良が続いていると、コロナと診断して自宅でオンラインでの自宅診療が受けられるようになってた。日本ではなんで、謎の規定を設けたんだろう。可能性がある人を認めてしまうと、感染者数がかなりの数になるからだろうか。

*隣駅の病院に電話したら、すぐに

「コロナの可能性があるから、PCR検査手配します」

と、その日のうちに検査できるよう手配してもらえた。やっぱり、検査するかしないかは、病院とか医師によるのかな。

〈5月〉
*発症から3週間後のPCR検査は、陰性だった。医師から、

「偽陰性の可能性がある。
新型コロナに感染していても、PCR検査は何回かやらないと陽性が出なかったりする」
「偽陰性で、今はウィルスの後遺症で免疫異常を起こしている可能性がある。
37度台の熱は続くと思うけど、重症化はしづらい」

と言われた。

*毎日、何もしてないのに丸一日働いた時の何倍も疲れる。

*このアカウントを更新しなくて良い世の中になって欲しい。

〈6月〉
*コロナ感染者数のニュース等に対して、「もうそんなに騒がなくていいんじゃないか?」って書かれているツイートを見た。全然そんなことないのにって思うんだけど、ハッと気付いた。当たり前だけど、

「知らされてないから知らないんだ」

自分や周りの人が感染したか、感染の疑惑症状がなければ、宣言解除後は、経済や学校をなんとかしようという方向に進んでいて、

・未だ検査してもらえない
・陰性なのに体調不良が続いてる
・後遺症が治らず元の生活に戻れない
・軽症から回復しない

そんな人がたくさんいるなんて、知らない人にとっては本当に

「なんでそんなに騒いでいるか分からないもの」

なんだ。私は発熱してからすぐに、気になってTwitterで調べて、同じような人がたくさんいることを知ったし、情報収集してるんだけど、同じような状況の人で、Twitterをしてない人はどうだろう?
検査を受けられなかったり、陰性だったのに、体調不良が続いている人が他にもたくさんいると知らなかったり、診てくれた病院が偽陰性の可能性等をちゃんと示してくれなければ、「自分だけなんでおかしいんだろう?」って苦しむことになると思う。
だから、軽症や後遺症も大変なこと、なかなか元に戻れないこの状況を正しく伝えられて欲しい。

*似たような症状の人がたくさんいながらも、皆どんな検査をしても異常は見当たらず、当たった医師により見解が違う。風邪や心因性と言われることが多く、長期間、不調に苦しんで元に戻れない。

そんなことがあることをほとんど当事者しか知らない。

〈7月〉
「線維筋痛症」と診断がついた。
電流が流れる機械で痛みの測定、問診、触診。
診療後の帰り道、脚が全然動かせなくて、傘を杖代わりにしてゆっくり歩いた。
乗り換えに慣れてたはずの駅で乗換出口忘れてるし、東京駅の美味しそうな店も、今は目に入らなくて悲しい。
でも、とりあえず診断がついて、治療が出来そうなことでだいぶ安心した。
これから通院して、合う治療や薬を探すことになるけど、昨日までこのまま原因不明のまま続くのかもしれないとかなり不安だった状態から少し進めた。

線維筋痛症で音や振動に敏感になるというのは読んだけど、昨夜遅くにそれがはっきり出てた。袋を開けたり、食器を置いたり、自分が出したちょっとした音や振動が響いて頭や体が痛かった。

〈8月〉
コロナみたいな存在は、この国ではうやむやにされやすい気がする。誤魔化され、隠され、運悪く罹って体調不良を起こし、検査も医療も受けられない人は切り捨てられ、周りにいないと思い、知ることがない人は本当に怖れる必要があるのかと疑いを持つ。それがウィズコロナということか。

〈9月〉
このアカウントで、長期不調で退職された方や、ひどい体調不良でも休めず、働き続けている方を何人か見かけた。私も、体を動かす仕事には戻れず、在宅の仕事を探すことにした。

〈10月〉
一人暮らしで、体調崩してからずっと一人でいるけど、4月まで元気に働いていた人が、まさか立ったり歩いたりするのが不自由で、これでも悪い時よりは、大分良いとは知り合いには想像もつかないだろうな。
7月にクリニックに通い始めてからはだいぶ良いけど、前のように身体を動かし続ける仕事には未だ復帰できない。自分でも信じられないような状態がずっと続いていて、信じてもらえないのが辛い。

〈11月〉
さっき仕事先の社員さんから電話があった。ずっと休職扱いにしてもらっていたけれど、「私は、こんな体調なのでいつ復帰できるか分からないのでいったん退職させてもらった方が良いか」と相談した。籍は残して立ち仕事に入らないか?とのお誘いがあったが、立って動いているのも出来なくて、家で内職するのが精一杯なのでお断りさせてもらった。

〈12月〉
今日、クリニックで慢性疲労症候群も言われる。
コロナ後遺症の人、そのクリニックで2.3人いるみたいだけど、

みんな今6ヶ月くらいで、それがこの後どうなるのか、まだわからない

と先生は言っていた。

頑張って情報収集していて良かったと思う。ウィルス感染後の後遺症として、慢性疲労症候群になることがあるのを知らなければ、検査では異常なしのまま身体の不調を訴え続け、周りから理解されず、治療もできず、今よりも苦しんでいたと思う。実際、コロナ疑い症状が出て、病院と保健所のたらい回しにあったが、しばらくしてやっと理解してくれる医師に出会えたのは良かった。

2021年

〈1月〉
微熱、身体の痛み、倦怠感、吐き気、胸痛、頭痛が今も続いてる。

〈2月〉
時間がかかっても、元の仕事に戻りたいと思うけど、ずっとほとんど親からの仕送りで過ごしているので収入が不安定。医師には、

今の状態だと障害年金がおりるのは難しい

と言われる。

〈3月〉
「変形性膝関節症」と診断された。
散歩してたのが裏目に出たみたい。
このまま歩けるようになって立ち仕事に復帰と思ってたのが、遠ざかった。
でも、今日わかってよかった。わからなかったらさらに歩き続けてた。
散歩は間違った運動らしい。水中ウォーキングやエアロバイクもいいらしいけど、そもそもジムまで行けないな。教えてもらった家でできる運動をしよう。あとやっぱり床に座ってるのは良くないみたい。

*先日、電話で診察してもらって、平畑先生にいろいろ聞けた。
一年くらいずっと寝てて復職できた方もいるというのが聞けて、休むことに対して少し気が楽になった。自分ではそんなでもないと思ってたけど、やっぱり無理してたのかな。もう、できるだけ休もうかと。

〈4月〉
発熱してから一年が経った。
発熱から数週間後に受けられたPCR検査で陰性。検査のタイミングでコロナだった可能性もあると言われ、コロナ疑いという状態で、ウイルス感染後の後遺症による線維筋痛症、慢性疲労症候群等と診断がつき、ずっと治療中。

少し良くなったと思って少し頑張るとぶり返すのくりかえし。

コロナ疑いでも数週間で治るのでは、せめて診断がついて治療ができれば数ヶ月で、と思ってたけど、想像以上に長いです。今も復職はできていない。

回復には個人差はあると思うけど。
とりあえず一年経ったけど、生きてた。よかった。

〈6月〉
今、いちばんつらい時間は寝起き。だるいというより、全身、とくに関節が重く痛くて、目が覚めても起き上がるのに時間かかるし、起き上がってももう一度横になりがち。

〈7月〉
*慢性疲労症候群といっても、いろんな原因の積み重ねがあり、治療の合う合わないも人によると思う。私がこれで良くなったと書いても他の人に合うとは限らないけど、治療の可能性は広がるのかな。

*何かして、ありがたさを感じるのは大事。今まで通りの体じゃないと、逆にちょっとしたことができた時が、嬉しかったりする。

〈8月〉
*去年、一人で死ぬかと思った。
今は、少しずつ家事が出来るようになってきた。

*去年発症してからは、体調って上がり下がりそれだけじゃなく、こっちが良くなったのにこっちは悪くなったとかあるから、上下幅の他に横幅もある感じ。
このうまく言い表せない感じってLongCOVIDの人共通かな。

「診察の時に何を話すか」って、「今どういう症状で困ってて、何を改善したいか」だと思うけど、同じ症状がだらだらと長引いたり、上がり下がりが激しくて、自分の体なのに自分で戸惑ってて、どう言ったらいいんだ?って悩む人、結構いる気がする。

〈9月〉
自分が感じている不調は、心因性や気のせいじゃないというのは、ちょっと動いてみると分かる。大丈夫な時は気にならないけど、やっぱりダメだなって時は息が切れたり、ずっと横になって休みたくなり、家事もなかなか続かない。

2022年

〈1月〉
*ここ数日ずっとわりと良い調子が続いている。胸焼け吐き気はまだあるけど、手足に力を入れても体がつらくならなくて、毎日外出してみてもぶり返しなく6日間連続で外出できた。
以前これくらいまで治ってもまた悪化して半寝たきりになったので、このまま好転することを期待していいかわからないけど

好転の原因になったかもしれないこと。
・ノイロトロピンを1日6錠から8錠にした。
・EATを生食でやってもらってる。喉からのEATを綿棒じゃなく金属の器具でしっかり目にやってもらってる。
・ミサトールリノローションを始めた。
・耳鼻科で肉、魚、卵をしっかり摂るように言われて、そうしている。

*このまま良くなってまた働けたらそれが良いんだけど、上がり下がりあるし、とりあえず線維筋痛症の診断がついてからこの1月で1年半になるので障害年金の申請ができるか、あらためて社労士さんに相談しようと思う。

*ちょっと最近また体調下降気味...
年末に急に良くなって、何かが効いた!と思ったけどキープはできなかった。
でも、少し前まであった、水が入った手鍋ややかんを持ったり、スプレーを押すとか、それくらいで全身がつらくなるというのは今はないまま。
倦怠感、疲労感、吐気、胸焼け、落ち込みはひどい

*今日通院があり、先日、社労士さんに言われたように、慢性疲労症候群と診断された日の確認をしたかったのだが、結論から言うと、

「医師の観点からは現状では障害年金の対象にはならない」

とのこと。

最後に

コロナ疑いという状態から始まり、それでもすぐに治るだろうと思ってから、日常生活にも支障があるような生活が2年近くになりました。すぐに回復された方は良かったと思いますが、こうして長く日常もままならないような人はたくさんいます。
現在私はだいぶ体調が落ち着いていますが、記録にもあるように、体調の上がり下がりが激しく、これがいつまで続くかわかりません。
心身ともに不安定な状態が続いています。
これくらいの状態では生活の保障などがされづらないなどの問題も知ることになりました。
コロナ禍の中、本当に何をどうしていくのが正しいのかは未だにわかっていない気がします。
こうした人がいるということが伝わり、そんな人が増えないことや、コロナ以外で、もし、病気になっても安心して治療、療養、その後の生活の保障などが見直される社会になってほしいと願っています。

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