日中舞台用語対照ーー基礎用語から覚えましょう
海外公演において、スムーズかつ正確なコミュニケーションは、演出の成功に欠かせない要素です。2023年以降、中国における日本イベント経済は、徐々に回復しつつあります。国際的な舞台に携わる方々にとって、公演対象国の舞台用語を正確に理解することは、コミュニケーションの向上に繋がります。今回は、日中両国で使用される舞台用語について、基本的な構造を図解しながら解説します。
1. 舞台の基本構造と用語
センターライン(中线・中心线):舞台の中央を指し、舞台全体の基準となります。中国語では「中线」(zhōng xiàn じょんしぇん)か、「中心线」(zhōng xīn xiàn じょんしんしぇん)と呼ばれます。
可動プロセニアム(假台口):舞台の間口や高さを調整できる可動式の構造で、演目に合わせて舞台の見え方を自由に変更できる装置です。中国語では「假台口」(jiǎ tái kǒu じゃたいこう)と呼ばれます。
オーケストラピット(乐池):音楽が演奏される場所で、多くの場合、舞台の前方にあります。中国語では「乐池」(yuè chí いうぇちぃ)と呼ばれます。
客席(观众席):観客が座るための席を指します。中国語では「观众席」(guān zhòng xí ぐぁんじょんし)と呼ばれます。
2. 舞台の重要なエリア
舞台は、前後左右に分けられ、それぞれが異なる役割を持っています。
上手(下场门):観客から見て右側の部分。日本語では「上手」、中国語では「下场门」(xià chǎng mén しゃちゃんめん) と呼ばれます。
下手(上场门):観客から見て左側の部分。こちらも「下手」で、中国語では「上场门」(shàng chǎng mén しゃんちゃんめん)と呼ばれます
ツラ・前(台前):舞台の前方部分で、俳優が観客に向かって立つ位置です。日本語では「ツラ・前」、中国語では「台前(tái qián たいちぇん)」と呼ばれます。あるいは「舞台前面(wǔ tái qián miànうたい ちぇんめん )」と呼もばれます。
奥(台后):舞台の奥側。日本語では「奥」、中国語では「台后」(tái hòu たいほう)として知られます。 あるいは「舞台后面(wǔ tái hòu miànうたい ほうめん )」と呼もばれます。
お気づきでしょうか。そうなんです。日本と中国、舞台の上下は逆です。舞台にとって一番大事な言葉と言っても過言ではない「上、下」という表現が、一番紛らわしくて間違いやすいです。私自身もお仕事中の時、何回か間違えてしまい、日本の方々に「上手」を「下手」と伝えてしまったことがあります。そのあとすぐ自分の間違いに気づき、言い直しましたが…一番大事なところでミスるなんて?!という気持ちが大きかったです。
そういえばこの前のお仕事で思ったことがあります。いつも「上下上下」を言ってますが、これは日本舞台の基準です。世界共通語である「STAGE RIGHT / STAGE LEFT」という英語の表現は、果たしてどの国でどれほど通じるのでしょうか…
3. 舞台用語の理解が国際舞台での活躍を後押しする
国際的な舞台プロジェクトに携わると、言語の壁がトラブルにつながる理由のひとつになりかねません。しかし、基本的な舞台用語を正確に理解することで、円滑なコミュニケーションが可能になります。
この日中舞台用語対照図は、演出家、俳優、アーティスト、スタッフにとって、中国での公演に役立つ資料になると思います。これらの基本的な用語を押さえておくと、現場もより話しやすい雰囲気になるでしょう。
いかがでしたか?今回の内容では、舞台用語について日中両方の視点から解説しましたが、まだ私自身も学びの途中であり、誤りや補足が必要なところがあるかもしれません。気づいた点や疑問があればぜひコメント欄にお寄せください。皆さんと交流しながら、より良い情報を提供していきたいと思っています。お互いに学び合える場として、このブログが役立つことを願っています。どうぞよろしくお願いします。
・自己紹介
李李・リリ・Lilyと申します。中国出身で、日本留学中に多摩美術大学で舞台を学び、その後、上海戏剧学院で研修を受けました。現在上海と東京を拠点に、日本と中国においての舞台公演、イベント、コンサート、ライブ、文化交流などを中心に活動しております。
お仕事用個人サイト作りましたので興味のある方はぜひご覧ください!後々自分の写真集サイトも作る予定です。
Lighting Up the Stage リリの舞台仕事記録 | 中国舞台専門用語 (lightupstagerecordfromlily.com)
これからも中国の舞台文化、グローバルプロジェクト裏方の視点から、いろんな情報を発信していきたいと思います!
お仕事はさておき、私はいろいろ趣味があります!写真撮影(RICOH GR3&CANON M6)、旅行、観劇、料理、漫画、J-POP、K-POP、VTuber、ゲーム(主にNINTENDO SWITCHとSTEAM)、グローバルコミュニケーション(中国語と日本語はもちろん、英語は日常会話程度で、韓国語は読めないんですがすこしだけ喋れます。最近はHelloTalkやVRchatでおしゃべりすることが多いです)、シーリングワックス(最近すごくハマってます)などなど!
はじめてのノートで少し緊張しますが、どうぞよろしくお願いいたします。
久々に日本語で文章を書きました。思ったよりだいぶ時間がかかってしまって大学の期末レポートラッシュを思い出しました。はい。