じっくりと思い出す
今日は久しぶりにNetflixを開いて
ふと目に映ったオリジナルドラマの再生ボタンを押した。
それは「さよならのつづき」というドラマ。
これはある不慮の事故で婚約者をなくしてしまった女性と
生まれつき心臓が悪かったが
女性の婚約者の心臓を移植した男性の物語。
男性はもともとの心臓の持ち主の記憶を
感じる時があって
好きじゃなかったコーヒーが好きになって
弾けなかったピアノが弾けるようになって
少し不思議に感じながら日常を過ごしていた。
本来、ドナーとコーディネーターが
お互いを知ることはないのだけれど
お互いの為にお互いを知るべきではないのだけれど
ひょんなことから、この2人が出会ってしまった。
女性は男性の中に婚約者を感じて
男性も女性に懐かしさを感じて
どこか不思議な感覚を持っていて
そんな中、男性が婚約者の心臓の移植先であることを知って
女性が、心臓の持ち主の婚約者だったということを知る。
ドラマの中でとても印象に残っている言葉は
数年前に奥さんを亡くしたとある男性が言った言葉。
この男性の言葉はとてもとても優しく
私の深くまで刺さって
心をスッと撫でてくれる言葉が多い。
これはちょっとハッとさせられたというか
なんだか、心が軽くなったというか
心が温かくなった。
思い出していいんだって
思い出して悲しくなっていいんだって。
思い出して会いたいって思っていたんだって。
このドラマを見て
いろんなことを思い出した。
自分の恋人であれば
誰か別の人の身体でもいいから生きていてほしいと思う
誰か別の人の心臓でもいいから生きていてほしいと思う
でも、それは、本当にその人なのか
テセウスの船のパラドックスのような。
けれどどれだけ強がったって
どんな形でもいいから
傍に居て欲しいよね
って思った。
私は心臓の音を聞いて
あ、懐かしい、あなたがここにいる
って思えるだろうか
心臓の音だけであなただって見分けられるだろうか。
わからなかったとしても、それでも
誰かの中で暖かく脈打っているそれがあれば
何も問題はないと思えただろうな。
いや、嘘だ。
そのままでいられるなら
そのままが良いに決まっている。
言葉尻りにあなたが散りばめられていたなら
気付かなかったとしても
真っ先に思い出す自信はある。
そういう自信しかない。
言葉が散りばめられなくても
こんなにも思い出しているんだから。
そのままでいられるなら
そのままが良いに決まっているけれど。
それでも
どこかの誰かの身体だとしても
どこかの誰かの一部だけだとしても
暖かいそれが一拍一拍をしっかりと刻むならば
それでもいいから
何処かで欠片が、生きていたらと思っただろうか。
何処かで生かしたい気持ちと
身体を傷付けたくないという気持ちに
折り合いを付けることができるだろうか。
それでも
コーヒーが好きじゃなかったのに
コーヒーが好きになったあなたを
ピアノが弾けなかったのに
ピアノが弾けるようになったあなたを
少し違うことを言うようになったあなたを
きっと変わらずに好きで
それでもいいからそばに居て欲しいと思っていただろうな。
傍に居なくてもいいから
ただ生きていて欲しいと思っただろうな。
でも、それくらい生きていてほしいと思っていたし
正直、今も思っているのかもしれない。
実はどこかで誰かの身体の中で生きていてくれたら
どこかの誰かの身体で
その誰かとして生きていて
幸せだったらどんなにいいかって思っては
過去に浸って縋ってしまうのかもしれない。
こういう時は結構思いっきり思い出す方がいいのかしら。
今も触れたら痛みを伴う
触れなくても
ぐじゅぐじゅに膿んでいる傷も
ちょっとしっかりと感じてみる。
あの時言われた言葉も含めて
きっとあの時はああ言うしかなかったんだろうって
なんとなく理解はしているけれど
どこかで私自身も
自分の事をそう思うことがあったから
否定をすることもできなかった。
否定しないことで悲劇のヒロインで
ありたかったのかもしれない。
あのころは若かったということもあるかもしれないけれど
正直、一緒に居ればなんでもできる気になっていたし
何でも乗り越えられる気がしていた。
毎日笑って、泣いて、喧嘩して
それでも笑って
また、喧嘩してた。
毎日、どこか心が温かくて
この人だけはどんな時も味方でいてくれる
絶対的な信用があったんだと思う。
本当に絶対的な信用があった。
どんな大人になっていたんだろうか。
子供とも、大人とも言えない
難しい時期のあなたは
どんなことを経験して
どんな人と出会って
どんな大人になっていたのだろう
控えめに言って
あなたのいない世界はつまらない。
ああ、会いたいな。
風の音が時折声に感じる時がある。
声を感じたくて
風を感じたくて
外で空を見ながらコーヒーを飲むのが好き。
今、どう思っているんだろうって
ま~た、へましたのか?って笑ってるのか
よくやってんじゃんって笑ってるのか
いや、今会えたならひとまずは
大人になったな。でしょうよ。笑
そう、大人になってしまったよ、私
あなたを置いて
コートを着て
ベランダに出て
コーヒーを飲もう
いつもの笑顔を思い出して
いつもの手の大きさを
ぬくもりを、力強さを思い出して
ちょっと撫でて欲しいとか
ちょっと声が聞きたいとか
ちょっと手を握ってほしいとか
そういう叶わない願いは
叶わないけれど
今日も私は生きて行かなきゃいけないし
明日も私は生きて行かないといけない。
あなたのいない世界を
これでもかというくらい
あなたがいないことを見せつけてくる
この世界をまた生きて行かなきゃいけない。
今も、あなたは
私の事を好いてくれているのかしら。
こんなにも毎日会いに来てくれているあなたは
私の事をどう思っているんだろう。
好きでいてくれた私のままで居られているのかしら。
より良いいい大人になれているのかしら。
手放すんじゃなかったって思っているかしら。
手放されたわけじゃないけどね。
私は相も変わらず
私一人では、1日も生きていくことができなくて
周りの人に支えられながら生きている
それでも会いたくなって
会いたくなってどうしようもなくなるけれど
そっちに行ったとして会えるとは限らなくて。
もし会えた時にこっちの事
もっとたくさん話せるように
もう少し待っててほしい。
待ってないかもしれないけれど。笑
しんどいし
辛いし
どうしようもないこともたくさんあるけれど
その分人の暖かさに助けられたり
どうしようもなくこの世界が愛おしく感じられたりして
どうしようもなく綺麗に見えて
綺麗で捨てたもんじゃないなって思える
そんな話をじっくりできるように
ネタをたくさん集めておこうと思う。
明日、悲しみが少しでも
この世界から少なくなりますように
おやすみ、世界。
Lily.