見出し画像

アパレルや家電メーカーは自社リコマースの必要性を感じている!?ニーズや課題を深ぼってみた

こんにちは!リコマース総合研究所(リコマース総研)、主席研究員のakaneです。

EUでは昨年12月に売れ残った服や靴などの衣類を破棄することを禁止する法案や、今年2月に消費者が家電製品を「修理する権利」を認め、一つの製品をより長く使える環境整備を企業に義務付ける法案が合意するなど、サーキュラーエコノミーが規制によって推進されつつあります。

日本では衣類破棄や修理に関する規制が設けられるのはまだ先になりそうですが、アパレルメーカーや家電メーカーに従事している人たちは、リコマースについてどのように捉えているのでしょうか。

そこで、リコマース総研ではアパレルメーカーや家電メーカーなどに従事する20名に対して、自社リセールに関する調査を実施しました。


調査結果サマリー

リセールビジネスへのニーズと課題

  • 回答した20社中90%がリセールビジネスの拡大に興味があることがわかりました。

    • その理由として、ESG経営やSDGsの潮流から企業としてアクションを求められているといった社会的背景や、消費者もリユース品への抵抗感が下がっていることが上げられました。

  • 既に商品回収や買取を行っている企業は10社。その中の40%は「商品の回収量が少ないことが課題」と回答。さらに、30%は「回収量を増やしたいが人的リソースが足りない」と回答。人的リソースをかけずに、多く商品を回収する手段が求められているとがわかりました。

  • 現在商品回収や買取に取り組んでいない企業は10社。その中の40%は今後商品回収や買取に取り組む予定があると回答。

  • 商品回収や買取に取り組めていない理由上位3位は以下:

    • 1位:経済合理性(30%)

    • 2位:やり方がわからない(10%)

    • 2位:社内優先度が上がらない(10%)

リセールビジネスの必要性をアパレル・家電メーカーは感じている

アパレルメーカーや家電メーカーなどに勤務する20名に、自社によるリセールビジネスを拡大していくことに興味があるか尋ねたところ、90%の人は興味があると回答しました。

その理由については、以下のような声がありました。

このように、EUで規制が始まりつつあるアパレルや家電業界において、社会的な必要性だけでなく、消費行動の変化も後押しし、リセールビジネスの必要性を感じている人たちが多くいることがわかりました。

既に商品回収や買取に取り組めている企業は20社中10社という結果になりましたが、今後取り組む予定と回答した企業が4社あり、今後の展開も含めると、20社中14社(70%)は商品回収・買取に取り組んでいる(予定がある)ことがわかりました。

商品回収や買取を行っている目的上位3位は以下のような結果になりました。欧州、欧米などの海外と比較して、まだ自社リセールに取り組んでいるメーカーが少ない日本において、20%の企業が「新たなビジネスの拡張のために商品回収や買取を行っているという結果は予想を上回るものでした。

商品回収・買取を行う課題

既に商品回収や買取に取り組んでいる10社が課題に感じていることの上位は、「商品を回収しているという認知が低い」(50%)、「商品回収量が少ない」(40%)という結果になりました。まずは認知が高まり、回収・買取できる量が増えることが喫緊の課題ということがわかりました。

また、商品回収や買取に取り組む予定はあるが、現状取り組めていない理由は以下のような結果になりました。

おわりに

EUで規制が進んでいるアパレル、家電業界において、欧州や欧米と比較すると日本ではまだ自社リセールに取り組んでいるメーカーは少ないですが、リセールビジネスの拡大に対する興味がある企業が多くあることがわかりました。商品回収量については、いかに自宅で眠っている不要な衣類や電化製品を循環の輪に載せるかが課題になります。

フリマアプリの浸透により、スマホ1つで不要品を出品することに慣れている消費者も増えてきているため、テクノロジーによるかんたんな回収・買取体験や、既に二次流通市場に流通しているが何らかの理由で買い手がついていない商品などを、メーカー自らが買取るなど、メーカーとリセールプラットフォームが協力して回収量を増やす方法はあるのではないでしょうか。

▼主席研究員

調査概要
アンケート期間:2024年2月21日〜2月25日
アンケート対象者:アパレルメーカー(10)、小売(2)、家電メーカー(8)に勤務する20名
※事前スクリーニングにて、自社の商品回収について「興味がある」「実施検討中」「実施中」と回答した20名
アンケート方法:ネット調査


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?