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折々のチェスのレシピ(98)
かなり白が追い込まれている局面です。
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見てのとおり、白はキングが脅かされていると同時に、浮駒になっているh4のビショップも取られてしまう可能性があります。白はかなり危ない局面を迎えています。ここで白がやってはいけない手はなんでしょうか?
キングを守ろうとする変な意識です。
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ここでキャスリングしたくなる人は多いかと思います。しかし、キャスリングしてしまっては、d2のマスに効いている駒がクイーンのひとつだけになってしまいます。これでは、タダでd2のナイトを差し出すだけにしかなりません。
当たり前ですがキングは一番大切な駒です。しかしながら、ピンチの時には自ら守りにも参加しないといけません。もちろん、そうならないように駒組みを進めるのが絶対条件ですが、そうならなかった時には逃げるのではなく、自らの陣地を守る必要も出てきます。
今回の例では逃げなかったとしてもどこまで守り切れるか甚だ心もとないですが、逃げてしまっては(キャスリングしてしまっては)、自らの死期を早めることにしかなりません。
第1図の局面では、Rb1などと相手の大切な駒を狙う手を指しておき、相手のミスを待つぐらいしか白には手がありませんが、投了しないのであれば、できるだけ粘ることが可能な手を諦めずに指し続けるしかないのです。