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折々のチェスのレシピ(457)少しだけ高度な知識をあなたに
いかにも白が優勢な局面です。
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実際にそうなのですが、
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クイーンを当てられて逃げることができますか?、と黒は白に尋ねてくるでしょう。取らないで逃げると形勢は互角になってしまいます。よって交換するしかないのですが、
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質駒になっているビショップを逃した隙にb3のポーンを取られてしまいます。それでもまだ白が優勢なことに変わりはないのですが、ではここから白は勝ち切れるかというと実戦的にはそれなりに難しいと思います。もう黒は勝ちを断念しているのであとは守るだけだからです。白もさらにポーンを取られないようにしなくてはならず、ほぼドローの展開です。
よって第1図では、ルークを出すのではなく、
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後々、質駒になってしまうビショップを安全なところに引いておくのが正解です。この一手を指しておけばほぼ白の勝ちです。
どのような序盤戦術であっても、あるいはどんな中盤の局面であっても、質駒や浮き駒を作らないように手を伸ばしていくのが基本中の基本です(いつもそんなにうまくはいかないですが・・・)。因数分解ができないのに代数学をやりたいと言っても一蹴されてしまうように、それ(上の太線)は基本的なチェスの思想です。
以下雑談です。下の雑誌にチェスの王者マグヌス・カールセンの特集記事があるというので何年か前におそらく出版社から直接購入したことがあります。それが古本ですが安く買えることを発見。興味のある人はどうぞ。