藤井聡太二冠に学ぶ次の一手(8) 玉の位置って重要だよなと気づかせてくれる手
佐々木勇気 七段 vs. 藤井聡太 七段 第79期順位戦B級2組1回戦(2020年6月25日)のある局面が第1図。
第1図 37手目 ▲4五歩まで
先手が▲4五歩と4筋の歩を突いてきた場面。お互いに持ち駒は角のみ。
角換わり腰掛け銀において4筋からの仕掛けがあるのは後手の歩が4四にある場合が多いだけにやや意表を突く感じがする。後手の玉がまだ不安定なところにいるこの隙を狙ったものかもしれない。
後手の応手は第2図。
第2図 38手目 △5二玉まで
駒が当たっているところや当たりそうなところからなるべく遠くがいいだろうと3一に玉を動かす手もあったかもしれないが、第2図にしておくことで自ら4筋の歩を捌き、ついでに3三の地点に桂馬を上げておくことが可能になった。それが第3図。
第3図 44手目 △3三桂まで
見てわかるように攻守にバランスがいい。2筋が弱そうに見えるが飛車の横効きがあるので思いのほか安定しているし、先手は角を活用する場所が今のところ見つからない(先手は最後まで角が使えなかった)。
38手目で△3一玉としていたら当然この陣形は不可能なのであった。
この段階ですぐに後手勝ちとまではもちろんいえないものの、先手はこの後攻めあぐねた印象。
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