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新・チェスのレシピ #12 チェスでスコア1300点超えを目指す人のために

今回は少し抽象的な話になります。チェスの序盤定跡は、極端なものを除いて、基本的には攻めと守りのバランスがうまく取れた手順になっていることが多いです。攻守のどちらか一方に偏らないことによって、中盤まで均衡した駒組みになることを目指しています。

すぐに定跡を外れることの多いチェスですが、基本的には守りの手、攻めの手をバランスよく組み合わせて手を作っていけば、少なくとも中盤の入り口までに劣勢になっていることはないでしょう。

実戦ではそんなにうまく均衡を保つのは難しいかもしれませんが、基本はそこにあると頭の片隅に常に置いておけば、あまりに無謀で無意味な手を指すことはなくなるはずです。

これは自分が手を作って行くときに覚えておく事柄ですが、相手の手の評価にも威力を発揮します。というのは、攻めの手を続けてきたり、守りの手を続けてきた相手の駒組みはどこかに穴や瑕(キズ)があることが多いからです。

少し極端な例ですが、たまに指すプレイヤーがいる序盤です。

白は、守りの性格が強いeファイルのポーンを突いた後に、すぐにクイーンを出してきました。好戦的なプレイヤーだということがわかります。黒はcファイルのポーンを守らないといけないので、

eファイルのポーンをひとつ上げて守ります(同時にビショップとクイーンの出口を作りました)。

これに対して白は、

dファイルのポーンをひとつ上げました。これは守備的な意味ももちろんあるでしょうが、好戦的なプレイヤーのようなので、ビショップをすぐにでも活用するつもりのようです。

しかし、

黒がNf6とすると白はクイーンを逃さないといけません。どこに逃げても一手損します。これで先後の有利不利が消え、手順の中でナイトを進出させることができた黒が駒組みの点でも少し進んだことになりました。

攻めと守りのバランスが重要と書きましたが、クイーンが単独で前線に出て行ってもそれは攻めにはなりません。ただうろうろしているだけです。つまり白は攻めでも守りでもない手を指してしまったことになります。そういう手は簡単に咎められるだけでなく、相手が有利な駒組みをする手助けをしていることになってしまいます。

今回はわかりやすくすぐにNf6としましたが、

白のナイトがf3に出てくるのを待ってからNf6としたほうが効果的です。白のクイーンは可動域がかなり狭まって、取り切られてしまう可能性が出てきました。


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