働くって、いいもんだ。

かなり前に制作された、東京メトロの長編CMのタイトルである。
とある駅長さんの定年退職にまつわる物語なのだが、心温まるとても素晴らしい作品だ。
YouTubeで調べれば出てくるので、気になる方はぜひ。

昨日も少し書いたが、今日はレンタカー回送のバイトで色んなところを走り回っている。
細かく書きすぎると住んでいる場所がわかってしまいそうなので割愛するが、いまは愛媛県松山市にいる。
これからしまなみ海道を渡って、山口まで。
明日は三ノ宮までの工程が既に決まっている。
交通費以外の報酬はそれほど高くないし、車両に何かあるといけないので気も使う。
それでも空き時間にちょっとした観光ができたり、何より家から遠く離れることができる分、気持ちの整理にはもってこいだ。

さて、なぜ冒頭の話になったのか。
回送をしながら色んな風景や街を眺め、ときには誰かと話をするなかで、世の中には本当にたくさんの仕事があるのだと実感したことがきっかけである。
今日の工程から思いつくだけでも、駅員、運転士、清掃員、レンタカーのスタッフ、コンビニ店員、銭湯の受付、食堂のおばちゃん…(敬称略)
前後を走るトラックドライバーや営業マン、それにすれ違った観光客やいま横に座っている人たちだって、きっと自分が想像もつかないような仕事をしている。
かくいう自分だって、レンタカーを別の場所に届けている最中だ。この仕事があるからこそ、レンタカーの乗り捨てが成立する。
「世界は誰かの仕事でできている」というジョージアのCMもあったが、まさにそのキャッチコピーのとおり。
きっと誰もが大変なこと、辛いことを抱えながらも、時には嫌々ながら、でも働くことでこの社会を回している。
その仕事に貴賤などあるはずがない。

そんなことを考えていると少しだけ温かい気持ちになってくる。
もちろんそれで急に元気になれるほど、軽症ではない。
どこかそんなことを考えている自分に冷めている気持ちもあるし、このあとも落ち込んだままでハンドルを握ることにはなる。

でも、間違いなくちょっとしたリハビリにはなっている。
家にいてYouTubeやテレビから覗くよりも、ずっと色鮮やかなドラマが世界には溢れている…
外に出て働ける状態のときは、自分からそんな世界に少しだけ浸かってみるのも悪くないのかもしれない。
それで疲れてしまったら、そのときは引きこもって布団をかぶってしまえばいい。
ちょっとずつ、ちょっとずつ。

いつか自分の生み出す小さなドラマに、ちょっとした誇りを持てる日が、再びくるように。


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