短いけど太いご縁
ずっと欲しかった同性の飲み友達ができた。
中高の同級生たちと大勢で飲むことはたまにあるけど、気軽に、そして気兼ねなく地元で飲める女友達がずっと欲しかった。
残念ながら親友はお酒を飲まないので。
その彼女とは、昨年末に高校時代の同級生に誘われて行った永ちゃんのライブで初めて会った。
誘ってくれた高校の同級生の、彼女は中学時代の同級生。
彼女はすごくサッパリしていて、初対面なのに気楽に色々話せた。
ビールが大好きとか、郷ひろみのファンだったとか、気ままな一人暮らしだとか、友達が少ないとか、なぜか同性に嫌われやすい(笑)という共通点があって、すぐにLINEを交換してまた会おうと約束した。
本当は年明けすぐに連絡したかったのだけど、元旦に私の元に訃報が届いたせいで、しばらく連絡が取れなかった。
3月に入って、ようやく会えた。
ライブや映画などエンタメの話から親の介護や看取りまで、話しはそこそこ盛り上がっていたけど、なんで一人暮らしなのかなぁ〜と、ちょっと踏み込んだ話しもしてみたく、まずは自分の情報を開示した。
そして、もっと早く会いたかったけど、連絡が遅くなった理由である、彼の訃報を伝えた。
すると、彼女の大きな目が潤んだ。
彼女も彼を突然喪っていた。
結婚願望のない彼女と事実婚だった彼は数年前のある日、「行ってきます」と笑顔で家を出たきり、2度と帰ってくることはなかった。
事故だった。
突然の別れを受け入れられずにいた日々。
結婚を望んでいた彼に応えられなかった事への自責の念。
周りから初めて聞かされた、仕事への悩みとかの自分の知らなかった彼の別の一面への驚き。
お互いに心の扉を開いて、なかなか人には言えない辛い思いを自然に話すことができた。
そして互いの思いを深く理解できた。
しかも驚くことに、彼ら2人とも私たちよりも5つ年下。
彼らは死にたかったわけじゃないし、不本意だった筈だし、死ぬことが怖かったと思うけど、それでも…それでも、ずっと言えなかった、私たちだから言える言葉を交わした…「ズルイよね」と…。
「私たちはどんどんババアになっていくのに、彼らは年をとらないまま私たちの中に残るんだもんね」と…。
それから、他の人に言うのは憚られる不思議な現象の話しも、互いに共感できることばかりだった。
魂だからこそ伝えてくる彼らのメッセージも、気のせいとか、そう思いたいだけだというノイズを除去して、信じられた。
まだ出会って2回目なのに、こんなに深い話しができるなんて…と、別れが惜しくなったので、彼女の行きつけのスナックへ行って、同世代の常連さん達と、楽しかった永ちゃんライブを思い出して、キャロルやソロになってからの曲をカラオケで歌って大いに盛り上がった。
彼の余命宣告の頃になった声帯炎が未だに完治せずに、声が枯れていて普段は鼻歌も歌えない筈なのに、その夜はハスキーだけどちゃんと声が出て歌えた。
5時から飲み始めて11時半まで、濃い話しもできたし、久しぶりに歌えたし、めちゃくちゃ楽しい夜でした。
帰り際、「まだまだ辛いよね。無理しないでね」と、私の頭をポンポンとしてくれた。
男前だ!
人生には、不思議な出会い、素敵なご縁があるもんだ…。
先日あった同窓会運営の懇親会で皆で飲んで一緒に帰った、小中高と一緒で家も近いシングルの同級生とは、「飲み友達欲しいよね〜」と話しつつも、お互いに社交辞令でも「今度飲もうか」なんて言わなかったのに(笑)
長くて細い縁もあれば、短くて太い縁もあるもんだね!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
暖かい日が多かったせいか、ご近所の桜が咲いています。