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薄曇りの日の支援職(2):キャリコンの歴史を振り返る〜アメリカの理論家編

前回、國分先生という知の巨人の経歴を絡めてキャリコンは心理学から始まった話をしました。今回はキャリコンの生まれた本場アメリカの理論家の話をしましょう。

僕の出身養成校のテキストでは最初にロジャーズ、その後フロイトなど精神分析家をちょっと学び、カウンセリング理論→キャリア理論に進みます。理論家だけでも20人くらいは登場してきますので、相当な詰め込み教育です。まあ心理学専攻で臨床/公認心理士の場合は最低学部4年+修士2年で計6年、長い人は10年近く勉強するのでこれを半年くらいでやるのはどだい無理がありますが、キャリコンの場合はさらに労働法や、人事制度、教育なども学ぶ必要があり現在の資格取得の制度の中ではこれが限界なんでしょうね。

ところで、キャリコンで学ぶ理論家の専門課程はほとんどみなさん心理学でPhDばかりです。一応ネットで学歴調べました〜

ロジャーズはもちろん、スーパー、シャイン、サビカス、クランボルツ、シュロスバーグなどなど。ベースには心理学のプロフェッショナルな知識、実技スキルがありその上でキャリア理論に進んでいます。ここはあまり意識されていないかもですが、重要な点だと思っています。前回申し上げた通り日本の理論家もほとんどそうですね。

ロジャーズの伝記を読むと心理学の分野も簡単に立ち上がったわけではないことがわかります。ロジャーズというと傾聴の人であり写真も優しそうなので、穏やかな学者のイメージがあるかもですが実際は壮絶なバトルの中で理論を磨き上げてきた人です。

キャリアの中で一番激しかったのは精神医学界との戦いでしょう。ところで精神医学と心理学の違いってわかりますかね?どちらもクライアントが抱えている心の問題を治療する人ですが、業界内の人にとっては当たり前すぎるのでしょうが、僕も含めて外部にはわかりにくい。めちゃめちゃ平たくいうと、

  • 精神科医になるには医学部を出て医師免許を取得する必要があり、薬を処方できる。

  • 心理士になるには大学によるが文学部や教育学部で心理学を学び心理士の資格を取得、薬は処方できない。

ということになります。医者なのか非医者なのかの違いですね、、、ちなみに精神科医フロイトは医者です。ロジャーズは非医者です。
なんとなく心理学の方が文系のイメージもありますが、行動分析学などは動物実験をしますし、対象を測定するために統計学も学ぶ必要がありますので理系要素もある。

ロジャーズがアカデミズムや社会に対して大きな影響を与え始めてきた段階でも、大学の予算では精神科医に比べて心理学はとても少なかったようです。当時は精神科医が上、心理学は下と見られていた。
その構造が最もはっきり現れたのは、精神科医の業界がロジャーズを訴えた件でしょう。精神科医としてはロジャーズが医師免許なしに医療行為をしているというわけです。結果的にロジャーズは裁判に勝ち、アメリカではカウンセリングというのは社会にも完全に受け入れられていますね。場合によってはカウンセリングは保険適用にもなるし社会的認知もしっかりとされています。

逆に医者の方も心理系のカウンセリング手法や検査手法を使うケースもあり、今はどうなんでしょうか現場では相互が連携してうまくやっているのでしょうか、、、そこは現場当事者じゃないのでわかりかねますが

とにかくキャリコンとしては、成り立ちが心理学であるということはしっかり認識しておきたいですね。キャリコン資格取得後に大学に入り直すというのはなかなか現実的ではないのですがせめて本を読んで学びを継続していきたいものです。
國分先生の本はもちろん、杉原保史先生なども心理学の大家でありながらも『キャリアコンサルタントのためのカウンセリング入門』では、キャリコン視点で”使える”カウンセリング理論をやさしく教えてくれています。

キャリコンとして面談している中で案件によっては心理士にリファーするにしても心理士側がどのような人たちなのかは知っておく必要がある。

次回は、マニアックな??ネタですがキャリ協の歴史と共にキャリコン界を振り返ってみましょう。



















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