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vol.15 姿勢と疲労

体は連動している。


ここ最近、姿勢についてのワードをたくさん目にするようになってきました。猫背、巻き肩、反り腰、O脚、X脚、ストレートネック・・・・。姿勢改善、整体、骨盤矯正等、様々なニーズに対応するサービス・ビジネスも生まれています。

では、そもそも、なぜ良い姿勢で居る事が大切なのでしょうか。

これまでも、本連載でお伝えしてきましたが、下行性運動連鎖、上行性運動連鎖など連動性があることによって、人間の体は、手足を動かす時など重心の変化に対応して体幹部のバランスを取るようなシステムが働いています。

フィギュアの人形のオモチャを床に立たせるのは非常に難しいですよね? ですが、人間は、1mを超える身長があるにも関わらず、たかだか数10センチの足でバランスを保ち、立っています。あらゆる姿勢の制御システムや、筋肉、骨格、神経などが、ここには関係しています。

例えば、積み木を積むとき、上で均衡を保つように積まないと、積み木は倒れてしまいますが、人間の体も同じように、ズレてしまった箇所をサポートするように “他の箇所” が働きます。この際、本来必要でない働きを担う箇所が出てくると、負担が増え、筋疲労、軟部組織の損傷、骨の変形などを引き起こすことに繋がります。

脊柱と呼ばれる背骨には神経や血管が走っており、良い姿勢とされる状態では、そのシステムはストレスなく働いています。しかし、背骨が良い状態から逸脱し、それが長期間に及んだ時は圧迫されたり摩擦が起こった神経や血管はダメージを受けて痛みを発します。神経が枝分かれしていることに起因し、痛みは “悪い箇所” にダイレクトに発生するわけではなく、離れた場所に症状が出る場合もあります。

全身にめぐる神経を端的に示す図。末梢神経まで含めると、神経だけでヒトの形になるぐらい、この図よりもさらに細かく張り巡らされている。

慢性的な疲労と、姿勢の関係性

筋肉には、筋肉が最も効率良く力を発揮する長さ(至適筋節長)があります。元の長さより引き延ばされた背中の筋肉、元の長さより短くなってしまう胸の筋肉。猫背などの姿勢によって、こういった状態になった筋肉が全身の至る所に現れてくると、今まで効率良く動かしていた筋肉は、通常と同じように脳から命令をしたときに、上手く中枢神経から末梢の筋肉へ命令が行かずに、効率の悪い動きを強いられて負担が増してしまいます。これらのいくつかの要因が重なる事で脳を始めとする中枢神経系の疲労が慢性的に引き起こされてしまいます。

子供の頃のように、走り回って遊んでいない大人が何故疲労を感じるのか? ストレスや、食事、睡眠なども、もちろん、その要因になっているでしょう。ですが、このような歪みによって、慢性的な疲労、脳からの命令、手足や身体から脳への神経の連絡が上手く行われずに、神経系が疲労し、脳の疲労が起こることも、疲労の大きな要因の一つだと、私自身はそう捉えています。

歪みは、筋骨格系や見た目だけの問題では決してありません。きちんと生活を送り、仕事や遊びのパフォーマンスを最大限に引き出すためには、「姿勢を整えること」は、非常に重要だと私は思います。


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