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使用済みEVバッテリーの生まれ変わり先。環境保全とBCP推進につながるRebglo.製品の裏側を紹介

災害大国である日本では有事の際、社員の安全確保はもちろん、経済活動をストップさせないためにも、BCP対策が喫緊の課題となっています。また、2050年のカーボンニュートラル実現やSDGsに向け、社会課題に対する企業のビリーフ・ドリブンな姿勢は消費者や投資家の判断基準として重視されています。
 
そんな中、モノの価値を再定義することでさまざまな社会課題の解決を目指す、環境エネルギーベンチャーRebglo.(リブグロ)が製品として提供するのは、国産のEV(電気自動車)で使用されたバッテリーをリフレッシュした、高性能・高信頼な環境配慮型の事業用電源。今回は、Rebglo.が展開する製品の特長や強み、活用シーンなどについて、代表の村越誠(むらこし・まこと)に話を聞きました。


高性能・長寿命、圧倒的にエコなバッテリーを提供

Rebglo.が使用するバッテリーは、国産EVで使われていたバッテリーユニット。このバッテリーは、過酷なEV利用環境を想定して作られているため、耐久性や蓄電能力などにおける性能が非常に高く、これまでにバッテリーを起因とした事故は1件も起きていないことから高い信頼性も誇っています。
 
Rebglo.の事業内容についてご紹介した記事でも述べたように、日本のEVバッテリーは、蓄電可能容量が70%を切るとディーラーによって回収・交換されます。しかし、このバッテリーは業務用途としてはまだ十分使える容量がある状態。一方で、画期的なリユース・リサイクル方法はなかなか確立できておらず、これを無駄にしてしまうことは非常にもったいない状況です。
 
そこでRebglo.では、高い電源管理技術によってこのバッテリーをリフレッシュして製品化。事業用BCP電源として生まれ変わらせることに成功しました。このように、資源の回収と適切な管理を通じてバッテリーの使用可能期間を延ばし、環境負荷の低減につなげるよう尽力しています。


国産EV (電気自動車)で使用されたバッテリーをリフレッシュして再使用しているため環境負荷ゼロ
国産EV (電気自動車)で使用されたバッテリーをリフレッシュして再使用しているため環境負荷ゼロ

BCPとは
「Business Continuity Plan(事業継続計画)」の略。⾃然災害や感染症あるいはテロなどが原因で緊急事態に陥った場合に、事業資産への損害を最⼩限にとどめ、主幹ビジネスを継続しつつ早期に復旧できるようにするための計画。

Rebglo.が現在提供する主力の製品・サービスは、「リブグロBCPバッテリー」「ミルミルワーカー」「リブグロ発電池システム」など。いずれも製造から廃棄までのLCA(Life Cycle Assessmentの略:ある製品・サービスの環境負荷を定量的に評価する手法)が賦課されたEVバッテリーをリユースしていることから、生産工程でのCO2排出量はゼロ。そのため、バッテリー製造時にかかる環境への負荷が非常に低いことが大きな特長であり、結果として2050年のカーボンニュートラル実現やSDGsにも貢献しています。

環境配慮型の事業用BCP電源「リブグロBCPバッテリー」

事業用BCP電源「リブグロBCPバッテリー」は、バッテリーのモジュール数、最大出力などが異なる4つのタイプがあり、いずれも一枚一枚精査され、「UL1974」という信頼評価規格を通過したバッテリーのみを使用しているため高性能・高信頼。また、Rebglo.独自のノウハウを活用した高度なバッテリー制御技術によって安定した電源の出力を可能とするため、停電時の強い味方となります。

3個のバッテリーモジュールが内蔵された「リブグロBCPバッテリー D2」の内部。容量と最大出力は、リブグロBCPバッテリーシリーズのラインナップ4種類の中で2番目に大きい
3個のバッテリーモジュールが内蔵された「リブグロBCPバッテリー D2」の内部。容量と最大出力は、リブグロBCPバッテリーシリーズのラインナップ4種類の中で2番目に大きい
熟練した技術者たちによる緻密な設計&丁寧な手作業で回路が組み立てられている
熟練した技術者たちによる緻密な設計&丁寧な手作業で回路が組み立てられている

あらゆるシーンに溶け込むポータブル蓄電池「ミルミルワーカー」

「ミルミルワーカー」は、「リブグロBCPバッテリー」の精度はそのままに、利用シーンに特化してデザイン性をより追求した蓄電池です。アウトドアタイプとインテリアタイプの2種類、4パターンで展開していて、いずれも環境負荷が低く、低コスト・高性能、安定した出力で利用できます。

「ミルミルワーカー(インテリアタイプ)」

長時間、安定した電力供給を叶える「リブグロ発電池システム」

「リブグロ発電池システム」は、長時間・大容量の電力供給が可能なガス発電機と停電時でも瞬時に高出力が供給可能な高性能バッテリーをシステム化した製品。簡単に言えば、電気をつくる「発電機」と電気を溜める「蓄電池」を組み合わせたもので、電気をつくると同時に、溜めながら使用することができます。
 
また、ガス発電機は、化石燃料発電機と比べてCO2や大気汚染物質であるSOx(硫黄酸化物)・NOx(窒素酸化物)などの温室効果ガス排出量が抑えられるため、環境への負荷も大きく低減されています。
 

長時間、安定した電力供給を叶える「リブグロ発電池システム」

電力の使用状況に合わせてシステムAIが最適な出入力を構成するので、電力を使いすぎたり、逆に使わなすぎたりすることもありません。経済合理性を兼ね備えたBCP電源だといえるでしょう。

「リブグロ発電池システム」の発電機(左)と蓄電器(右)。それぞれ出力・容量などの異なる2種類を用途によって組み合わせる
「リブグロ発電池システム」の発電機(左)と蓄電器(右)。それぞれ出力・容量などの異なる2種類を用途によって組み合わせる
Rebglo.社屋では、風力・太陽光による自家発電の実証実験も行っている
Rebglo.社屋では、風力・太陽光による自家発電の実証実験も行っている

村越「中小企業などでのBCP対策があまり浸透しない理由の一つとして、金銭面でのハードルの高さがあると思います。やはり、いつ起こるか分からない災害に対して、なかなかお金をかけられないという事情を多くの企業が抱えているのではないでしょうか。Rebglo.ではBCP対策を少しでも身近に感じてもらえるよう、製品の『導入のしやすさ』を重視しており、基本的に長期レンタル制で、配送・設置費以外の初期費用なし、月額費用のみでの設置を可能にしています」

建設現場の防災備蓄やオフィスのBCP用途として広く活用

性能の高さとエコを両立し、経済性も兼ね備え、さらには導入しやすく高い費用対効果が見込めるのが、Rebglo.製品の大きな強み。電力を必要とするあらゆる場所での使用が想定されていますが、事業展開の第1フェーズとして、まずは「低環境負荷な電力供給を行う」という事業コンセプトに共感し、同じ未来を共創したいと考えてくださる企業などでの導入が進んでいます。
 
──Rebglo.の製品は具体的にどのような業界やシーンで使われていますか?
 
村越「現時点では、老健施設さんで導入していただくケースが多いですね。老健施設は2024年のBCP策定義務化に向けて迅速な対応を迫られている状況で、特に介護の現場は電力の停止が命に直結するケースも少なくないことから、停電時も安定した電力供給を可能とする高信頼な電力システムをお求めのようです。

Rebglo.発電地システムは性能や環境への配慮も然ることながら、先ほどお話しした金銭面でのハードルの低さも兼ね備えているため、こういった事業者の方々から多くのお引き合いをいただいています」

2024年までに介護事業所でのBCP策定が義務化
厚生労働省は、2021年4月に「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」を施行。この中で、2024年までに介護事業所でのBCP策定と研修・訓練の実施を義務づけた。これは、介護サービスは利用者の方々やその家族にとって欠かせないものであり、自然災害などが発生した場合においても安定的・継続的に提供される必要があるという考えのもと策定されており、有事の際も必要な介護サービスが行き渡る体制の構築を目指している。

「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」(厚生労働省)

村越「また、BCPへの意識が高い物流系や建設系の企業さまにも多数導入していただいています。例えば、建設業界で先んじて『RE100(企業が自らの事業の使用電力を100%再エネで賄うことを目指す国際的イニシアチブ)』に参加している戸田建設さまは各現場で防災設備を整えていて、全国約350カ所の作業所で『リブグロBCPバッテリー』を緊急時のサブ電源として装備されています」

戸田建設さまが設置している「リブグロBCPバッテリー D4」。Rebglo.が展開する強力なBCPバッテリーで、最大で3,000Wの出力が可能
戸田建設さまが設置している「リブグロBCPバッテリー D4」。Rebglo.が展開する強力なBCPバッテリーで、最大で3,000Wの出力が可能

水や食料といった命に関わる備えの次に重要なのが電力の確保。一般のオフィスにおいても、停電時、主なサーバーや通信機器を守り企業活動に支障をきたさないために、あるいはもはや我々のライフラインともいえるスマホを緊急時に充電する用途のために、「リブグロBCPバッテリー」が導入されています。
 
村越「停電して最初に皆さんが不安になるのはやはりスマホのようです。スマホの電池がなければ誰かと連絡を取ることもできないですし、今どんな状況にあるのか、どんな物資が送られてきているのかといった情報収集もできないので、心配するのも無理はないですよね。

『リブグロBCPバッテリー D2』は一般的なオフィスの1フロア全員のスマホを充電できるほどの蓄電容量があり、『D4』なら中小ビル1棟で働く全員やマンション1棟にいる全入居者のスマホを充電できるレベルです。停電時の安心材料として、少しでもRebglo.の製品が機能してくれればさいわいです。

オフィスのデスク下に置かれた「リブグロBCPバッテリー D2」
オフィスのデスク下に置かれた「リブグロBCPバッテリー D2」

Rebglo.が展開するバッテリーは、災害時などの移動電源のほか、僻地や島しょ部といった電力脆弱地域でのセカンド電源、さらには農地や牧場に設置する監視カメラのような、電力が必要なものの電線を引くのが難しい場所での利用まで、さまざまなケースでの対応も可能としています」

機能美へのこだわり。そこに置きたいと思えるスタイリッシュなデザインを

Rebglo.のバッテリーや発電地システムのもう一つの特長は、そのスタイリッシュな見た目

Rebglo.のバッテリーや発電地システムのもう一つの特長は、そのスタイリッシュな見た目です。「普通のメーカーらしくないことをやりたい」と村越が言う通り、一見しただけでは業務用電源だと認識できないかもしれません。
 
──どの製品も、デザインが特徴的でこだわりがあるように見えます。
 
村越
「デザインにはとてもこだわっています。世の中に出回っている蓄電池は、いかにも蓄電池というようなシンプルなデザインが多く、やや不恰好だと感じる人もいるのではないでしょうか。BCP蓄電池は通常時はあまり使わないもので、何なら一度も使われないことが理想かもしれない。そう考えると、無造作に置いていても違和感がない方がいい気がします。もしも蓄電池がインテリアに馴染む見た目だったら、オブジェとして使ったり、テーブルや家具として使ったりもできるかもしれません。

利用者の生活に馴染むよう、さまざまなバリエーションのデザインを展開している
利用者の生活に馴染むよう、さまざまなバリエーションのデザインを展開している

我々は、“スペースを取ってでもそこに置きたい”と思えるものを目指しています。そのため、『ミルミルワーカー』はアウトドアタイプとインテリアタイプの2種類を作り、さらにその中で数種類のカラーバリエーションを展開することに決めました。ちなみにミルミルワーカーは形を変えることもできるようになっており、こうしたデザインは元々 某自動車メーカーで車体デザインをしていた工業デザイナーにお願いしています。デザイン性を重視している蓄電池は、業界的にもあまりないのではないでしょうか」

余分な装飾を極力排除した「ミルミルワーカー」のインターフェース
余分な装飾を極力排除した「ミルミルワーカー」のインターフェース

製品は全て、環境保全に貢献する手段(ソリューション)

老健施設や物流・建設現場、BCP対策に前向きなオフィスなどで導入されているRebglo.のバッテリーや発電池システム。BCPに関する議論の高まりや国内での災害の増加などから、民間だけでなく、自治体でも導入例が増えています。今のところは国内での展開がメインですが、将来的にはその範囲を広げていくと村越は言います。
 
村越「EVバッテリーから原料をうまく抜き出すなどの画期的なリサイクル方法は、実は今のところまだないんです。実験上ではそうしたことも一部できていますが、採算が取れるほどにはなかなか至っていない。つまり、現時点だと世に販売されたEVバッテリーはどうしても最終的に産業廃棄物になってしまうということで、それはEVが売れれば売れるほど、世界にゴミが増えてしまうことにもつながります。
 
では、事業者はどうすればいいのか? それはやはり、バッテリーをリユースしてより長く使うこと、要するに、なるべくバッテリーの寿命を延ばすこと、これがもっとも環境保全には効果的だろうと我々は考えています。ですから、Rebglo.の事業目的は電池を売ることではなく、EVで使用されたバッテリーをリユースすることで寿命を延ばし、その行く末を考えながら、大きな環境保全のサイクルを回していくこととなるのです」

環境保全の大きなサイクルを回し、地球環境に貢献する。そうしたコンセプトがRebglo.の由来でもある「Reboot Globalization」という言葉にRebglo.発想として表れています。「リブグロBCPバッテリー」「ミルミルワーカー」「リブグロ発電池システム」は、単なる蓄電池やバッテリーの枠を超えた、そうした理想を実現するためのソリューションだといえるかもしれません。

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取材・執筆・編集:Rebglo.編集部
撮影:山野一真


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