《ジムノペディ》産神神話
ーこれは、ジムノペディに伝わる古い創造神話であるー
この世界には、
一柱の女神しかいなかった。
退屈に思った女神は、
大きな器を造り、そこで生命を育むことにした。
まず女神は円形の平らな器を造られた。
そこには土と水と炎があった。
そして、土を捏(こ)ねて第一の生命を造られた。
しかし、それらはすぐに崩れて死んでしまい、繁栄することはなかった。
次に、水を混ぜて第二の生命を造られた。
しかし、それらはたちまち溶けて死んでしまい、繁栄することはなかった。
さらに、炎で炙り第三の生命が造られた。
しかし、それらはすぐに燃え尽きて死んでしまい、繁栄することはなかった。
そうして女神は気づいた。
生命は生命そのものからしか生まれないのだと。
女神は器の中にそっとうずくまり、
自身の身体を数多の生命へと変えた。
肉の一部は海となり、
骨の一部は大きな島となった。
金の髪は空へと舞い上がり、
美しい星になった。
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