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アーティスト活動で成功する方法#6

第1章 アーティスト活動のレベル

第2章 Lv.0の初心者が成功する方法

第3章 Lv.1の初心者が成功する方法

第4章 Lv.2の初心者が成功する方法

第5章 Lv.3-1の中堅が成功する方法

第6章 Lv.3-2の中堅が成功する方法

Lv.3-2:もっと上に行きたい!黒字の中堅ガチ勢
【実力】★★★【収益力】★★☆【充実度】★★☆

「YouTubeの再生数やチャンネル登録者数は4桁以上!」「ライブをすればたくさんお客が来てくれる!」→黒字で活動できている状態の人です。
①安い給与でも関連業界で働き、それすら糧にして活動を頑張る!②フリーターや派遣社員等、自分の時間を作りやすい環境で働きつつ、プロを目指している!③無名なりにメジャーデビューして、事務所やレーベルから給与やバックアップを得ているけれど、それだけじゃ食べていけないからアルバイトもしている……という3パターンが中心でしょうか。

Lv.2では「アーティスト活動単体の黒字化」を成功目標としました。今回は、それを超え、「アーティスト活動で生計を立てる」ことを目指します。

「生計を立てる」とは具体的にどういうことか。何万円を稼げばいいのか。

具体的に、目標金額を考えることから始めましょう。


家賃・光熱費・食費・通信費・衣服代・その他もろもろ。贅沢をしようと思わなくとも、日本社会において、社会人として、最低限度以上の健康で文化的な生活をするためには、それなりのお金が必要です。

ちなみに「実家に住めば生活費を節約できる」というような考え方は、この記事では採用しません。自分の稼いだお金で生活すべてまかなってこそ、自立した大人、社会人だと考えるからです。

大人を名乗るなら、一人暮らしをするなり、友人や恋人と暮らすなり、なんであれ自らのお金で家を借りて、買って、生活すべきです。事情があって実家に暮らすなら、相応の金額を、家主である両親に支払うべきでしょう。


話を本題に戻します。

不動産情報サービス・HOME’Sの「平均初任給はいくら? 新卒・社会人1年目向けの理想の家賃&部屋の探し方」によれば、社会人の一般的な生活費は一ヶ月につき17万円です。ここでは地域差等も考慮して、毎月20万円を生活費と考えることにします。


では、アーティスト活動にかかる支出は、どのくらいでしょうか?

たとえばバンドのボーカルなら、ボイストレーニングの月謝が15,000円。ノルマ5,000円のライブに週1回出るなら、一ヶ月で合計20,000円。ライブのためにスタジオでリハーサルをするなら、毎回1,000円~3,000円として、合計15,000円くらい。まとめると、月に50,000円はかかりそうです。

それらに加えて、ときには衣装や機材を新調したり、新曲のレコーディングをしたり、MVを撮ったりしたいですよね。

となれば、月に50,000~100,000円。活動の種類や規模にもよりますが、一年間で約100万円が、アーティストがアーティストであるために必要なギリギリの金額と言えるでしょう。


大人が大人として最低限度以上の健康で文化的な生活をするためには、年間240万円が必要です。アーティストがアーティストであるためには、最低でも年間100万円かかります。これらの合計は、340万円です。

さらに、アーティストは個人事業主です。一般的なサラリーマンが享受できる福利厚生がないのですから、多めに稼いでおかないと不安です。

以上をふまえると、アーティストが目指すべき年収は「400万円以上」と言えるでしょう。


さて。一般的に、400万円の年収を得ることは難しいのでしょうか?

転職Hacksの「年収400万円は世間的に低いのか|手取り315万生活のリアル」には、下記のように書かれています。

男性に限って見ると、年収400万円程度の人は下位から数えて40%前後の位置にいます。平均年収も545万円であることから、男性の場合、年収400万円は平均を大きく下回る給与水準と言えるでしょう。
一方で女性の場合、年収400万円台の人は上位から数えて30%以内。女性の中ではかなり高収入な層にあたることが分かります。

たしかに、求人情報サービス・dodaの「平均年収ランキング」によれば、平均年収400万円のラインを超える年齢は、男性が27歳、女性が41歳です。

さらに年収400万円の職業・仕事・企業ランキングや、年収400万円台の職業ランキングなど、調べるほどに具体像が見えてきます。

ざっくりまとめると、年収400万円は「大卒でそこそこの企業に入り、事務職や営業職で働いているアラサー男性の給与くらい」といえそうです。


さて。あなたは男性ですか、女性ですか?今、何歳ですか?

男性であれば、大学を卒業してそれなりに勤めていけば27歳で年収400万円に達するわけですから、「アーティスト活動でも年収400万円ぐらい稼ぐのは当然だな!」という勢いでまいりましょう。

女性なら、大学を卒業して40歳すぎまで勤めても年収400万円を得るのは大変です。結婚・出産・育児などでキャリアが途切れていれば、絶望的です。「なんなの日本社会バカなの?それならアーティスト活動で一獲千金を狙ってやるわよ!」という勢いでまいりましょう。


……前置きが長くなってしまいました。

ここから先は「アーティスト活動で生計を立てる」ため、すなわち「アーティスト活動のみで年収400万円以上を稼いでいく」ために、幾つかのアドバイスをお伝えします。

(1)これまでやってきた努力を続ける

Lv.3-2にいらっしゃる皆さんは、自分のアーティスト活動を黒字にするために、色々な工夫をしてきたと思います。

がんばってファンを集めて、グッズを販売して、他のアーティストのサポートをして、投げ銭を募って、クラウドファンディングを活用して。

それらによって、年間100万円程度を稼げるようになったのは、素晴らしいことです。ぜひ、そのまま努力を続けてください。

今後、新たな取り組みを始めて、どれだけ忙しくなっても、けっして投げ出さないでください。とりいそぎ年収400万円を超えるまでは。

(1)のまとめ

これまでアーティスト活動を黒字化するために行ってきた努力を継続し、年収100万円を確保しましょう。

(2)法人または資産家のクライアントを得る

(1)で「これまでの努力を継続してください」と述べました。

しかし、それだけでは年収400万円には届きません。

何故ならば、今のグッズ販売の規模を4倍にして、他のアーティストのサポートをする回数を4倍に増やして、投げ銭を募る機会を4倍にして、クラウドファンディングの目標金額を4倍にすることは、不可能だからです。

そんな無茶をすれば、あなたの心も体も壊れてしまいます。


あなた自身の問題だけではありません。

冷静に考えてください。あなたが販売するグッズの数を4倍にすれば、購入数も4倍になるでしょうか?あなたが「サポートする回数を4倍にしたい」と言えば、頼まれて報酬をもらえる回数が4倍になるでしょうか?

きっと、無理ですよね。

ファンの数も、仲間の数も、急に増やせるわけではありません。相手が持っているお金にも限りがあります。

年収400万円を目指すなら、新しい取引先を開拓する必要があります。

ずばり、法人または資産家と取引できるようになりましょう。


法人から依頼を受けて、曲を書いて、買い取ってもらう。それなりの企業が運営するボイストレーニングスクールで、講師として雇ってもらう。資産家が経営するお店で定期的に演奏させてもらう。どんな形でも構いません。1件につき10万円以上の案件を受けられるようになると、よりよいですね。

アーティストとして実力があることは当然として、自分を売り込む営業力やプロデュース力も求められます。

大変ですが、ここを超えられないと始まりません。

ここまで頑張ってきたあなたなら、それなりの業界人や企業、資産家と繋がっているはずです。最初は細い糸でも、金脈に辿り着く可能性を信じて、優良なクライアントを探しましょう。


いっそのこと自分が起業して、法人としてライブバーを開業する、芸能事務所を開設するといった方法もアリです。


とにかく、お金のないアーティストと、お金のない一般人が、少ないお金をやりとりしていても、大きな発展は見込めません。

お金は、たくさんお金を持っている企業や人から、たくさん貰いましょう。

(2)のまとめ

法人または資産家のクライアントを獲得し、高額な案件を引き受けて、一年に100万円以上稼げるようになりましょう。

(3)過去の自分と作品に稼いでもらう

株、FX、積み立てNISA。世の中には、様々な資産運用方法があります。お金をただ貯めるのではなく、お金にも働いてもらう。素晴らしい考え方です。真似をしない手はありません。


現代のアーティストにこの考え方を適用してみましょう。

まずは、ありがちですが、YouTubeへの動画投稿が挙げられます。

PRESIDENT ONLINEの「10万回再生で「やっと1万円」の現実」を参照するまでもなく、動画の広告収入で稼ぐのは大変です。YouTubeという一企業の経営戦略に振り回される部分もあります。

しかし、アップロードした動画は、固定資産になります。

たまたま最新の動画を見た人が、あなたのファンになって、過去の動画を遡って見てくれるかもしれません。一年前にアップロードした動画が、とある企業の広報担当の目に留まって、PR案件の依頼に繋がるかもしれません。

最初は微々たる稼ぎでも、続けていくことで、大きなお金を生み出す可能性があります。YouTubeに限らず、広告をつけられる投稿サービスは、活用すべきです。

Audiostockのようなサービスに、クリエイターとして参加するのもいいですね。自分の作品を載せておき、売れれば、数%が手元に入ります。登録料や年会費が安ければ安いほどいいですね。


とにかく、自分は一人しかおらず、今は今しかありません。過去の自分や作品に、何度でも、何年でも働いてもらいましょう。

(3)のまとめ

過去の自分や作品が自動的に稼いでくれるシステムを構築し、一年に100万円以上稼げるようになりましょう。

(4)時給1300円以上の仕事をする

「アーティスト活動で生計を立てる」ことを目標にしている今のあなたは、まだしばらくの間、アルバイトやパートや派遣社員などで、収入を補填する必要があると思います。

具体的に、どんな仕事を探すべきか?

ここでは、ふたつの視点から「時給1300円以上の仕事」をお勧めします。


まず、最終的な目標年収から逆算してみます。

年収400万円÷12ヶ月=月収約33万円です。これを時給換算するために、月の労働時間を考えます。一日8時間・完全週休2日制であれば、月平均所定労働時間数は約160時間です。人事のバックオフィスを応援するメディア・jinjerBlogにも「月の労働時間は160時間を目安にしよう」とあります。

つまり、月収33万円÷160時間=約2000円。年収400万円を稼ぐためには、時給2000円以上で働く必要があるということです。

もちろん、あなたはアーティストですから、アーティスト活動で生み出すお金=価値より、アルバイトで生み出す価値が低くなるのは当然でしょう。

アーティスト活動で時給2700円、アルバイトで時給1300円くらい稼げたらいいんじゃないかな!…という、ざっくりまとめです。


次に、必要な金額と時間から逆算してみます。

ここまで私は「(1)~(3)の取り組みを実施して、合計300万円以上を稼げるようになりましょう」と述べてきました。目標400万円には、まだ100万円足りません。これをアルバイトで補うのです。

100万円÷12ヶ月=約8万円です。1ヶ月に約8万円を、あくまでアーティスト活動を優先しながら稼ぐことを目指します。

月の労働時間を160時間として、そのうち、アーティスト活動にかかる時間はどのくらいでしょうか?

たとえばバンドのボーカルなら、一回60分のボイストレーニングが月4回。本番30分のブッキングライブに週1回出るなら、リハーサルから営業終了までライブハウスに滞在するとして、毎週6時間、合計24時間。ライブのためにスタジオでリハーサルをするなら、毎回2時間として、合計8時間くらい。まとめると、最低でも月に36時間はかかりそうです。

それらに加えて、作詞作曲したり、衣装を買ったり、機材を新調したり、ときには新曲のレコーディングをしたり、MVを撮ったりもしたいですよね。

となれば、活動の種類や規模にもよりますが、月に50~100時間が、アーティストがアーティストであるために必要な時間と言えるでしょう。

もちろん、あなたはアーティストですから、アーティスト活動をしている時間の方が、アルバイトをする時間より長くなるべきです。

よって、月の労働時間160時間のうち、100時間をアーティスト活動に、60時間をアルバイトに使うことにしましょう。

8万円÷60時間=約1300円。やはり時給1300円以上の仕事をするべきです。


時給1300円以上のアルバイトには、どんなものがあるでしょうか。地域差もありますが、ざっと検索したところ、塾講師、コールセンター、夜間警備員などが見つかりました。

いつかはアーティスト活動だけで生計を立てることが目標としても、過程の現在も楽しみたいですよね。ぜひ、納得のいく仕事を見つけてください。

(4)のまとめ

アーティストとしての活動時間、人間らしい健康的な生活なども考えつつ、時給1300円以上の仕事に就き、年収100万円を確保しましょう。

(5)やりたいことをやる

(1)~(4)を実践するのは大変だと思います。

何事も、机上の計算のように上手くいきません。特に最初は「月の労働時間を160時間にしよう」なんて言っていられないはずです。日常を可能な限り削って時間を捻出し、体力の限界に挑戦しなければならないでしょう。

何より、やりたくないことをやらなければならない場面が多いはずです。


ここでいう「やりたくないこと」とは、興味のないこと、つまらないこと、という意味です。

たとえば、自分はバリバリのハードコア・パンクがやりたいのに、クライアントから舞い込む仕事は、爽やかJ-POPのアレンジばっかりとか。本当はずっと家で絵を描いていたいのに、大事な取引先との会食を断れず、苦手な料理を食べながらニコニコしてなきゃいけないとか。

しんどいですよね。

受け入れて、耐えて、頑張るあなたは素敵です。


……ただ、人間としてあり得ないレベルのセクハラ、パワハラ、暴力などは我慢しないでくださいね。逃げるなり、法的に戦うなり、正しく抵抗してください。あなたの心や体が壊れたら、意味がないですから。


そして、そこまでいかなくとも。

あなたがやりたいことをやれないのは、問題です。


あなたは、アーティスト活動で生計を立てられれば、何でもよいですか?

肉体的にも精神的にもボロボロで、本当はやりたくないことばかりやっていても、「アーティスト活動で生計を立てている」という状況だけあれば満足できますか?


それもそれでいいとは思うんです。そういう方は、そのままで。


でも、そうじゃないなら、忘れないでください。

あなたが元々やりたかったことを。


最初は難しいかもしれません。人間、全てをなげうって一つのことに集中しなければならない時期はあります。そうしないと身に着けられない、築き上げられないものがあります。

ただ、どれだけ忙しくとも、心の片隅には残しておいてください。

本来の目標と、目的を。

そして、なんとか時間をつくって、実行してください。


他者から仕事の依頼を受け、自分のセンスを生かして制作を請け負うデザイナーという職業も、楽しいですが。

あなたはアーティストですよね。

アーティストとは、表現したいものをもち、表現する人間です。あなたがやりたくてやること、作りたくて作るものが、きっと、最も魅力的です。

(5)のまとめ

アーティスト活動で生計を立てつつも、あなたがやりたいことを忘れないでください。やりたいことをやる余裕を、捻出し続けてください。

***

上記5点に注意しながら努力を重ねていけば、徐々にアーティスト活動の収入が増え、アルバイト等の比重が減るはずです。アーティスト活動のみで年収400万円を超えられれば、Lv.3-2はクリアです。おめでとうございます!


個人的な考えですが、「アーティスト活動で生計を立てること」は、おそらく、世間で言われているほど難しくありません。

大した才能がなくても……歌が下手で、楽器が弾けなくて、作曲センスがない人でも、なんとかなると思います。

コミュニケーション能力、笑顔、気合い、根性があれば。現状を正しく認識し、足りないものを補い、いらないものを切り捨てる判断力があれば。

覚悟をもって、死ぬ気で、全力でやれば。

本当に必要不可欠なものは、健康な体と精神だけじゃないかなって。


アーティストとして身を立て、名を上げることを志したあなたが、あなたの望むあなたでいられることを願います。

ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。

第7章 「平凡なアーティスト」が溢れる時代へ

おまけ

ここから先は、私が知る限りで、アーティスト活動で生計を立てている方々をご紹介します。

実例を知ることで、より理解を深めていただけると思います。

また、この記事を面白いと思っていただけたら、投げ銭感覚で読者登録していただけると嬉しいです(初月無料です)。

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382字
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