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アーティスト活動で成功する方法#7

第1章 アーティスト活動のレベル

第2章 Lv.0の初心者が成功する方法

第3章 Lv.1の初心者が成功する方法

第4章 Lv.2の初心者が成功する方法

第5章 Lv.3-1の中堅が成功する方法

第6章 Lv.3-2の中堅が成功する方法

第7章 「平凡なアーティスト」が溢れる時代へ

この連載では、私の独断と偏見に基づいて「アーティスト」のレベルを7段階に分け、それぞれの『成功する方法』をお伝えしてきました。

すべて読んでくださった方は、「え?なんでまとめに入ってるの?まだふたつ残ってるよね」と思われるかもしれません。

ご指摘の通り、下記のレベルについての記事を書いておりません。

Lv.4:アーティスト活動一本で食べていけてるマイナープロ勢
Lv.5:アーティストとして影響力をもつメジャープロ勢

書いていないというより、書けないのです。

私は誰もが知るような成功を収めたアーティストではなく、何かをきわめた専門家でもありません。友人知人には、マイナープロと呼べるアーティストや、メジャープロにさしかかっている人もいますが、私はあくまで傍観者です。いつか彼ら自身が語るであろう話を、今ここに書く権利はありません。


それに、私が書きたかったのは、Lv.0~Lv.3-2のアーティストについての話でした。だから、本編は第6章までで終わりです。ここから先は、まとめというか、あとがきになります。


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この記事を書いている2021年8月6日現在、連載のなかで最も多くの反響をいただいたのは「第4章 Lv.2の初心者が成功する方法」でした。

様々な理由が考えられますが、やっぱり、この層でもがいているアーティストのたまごが多いのでしょう。自分や友人や誰かのために、もしくは、そういう人たちのことが知りたくて、読んでくださった方が多いと思います。

ありがとうございます。


ところで、あなたにとってアーティストとは「特別な存在」ですか?


私にとっては、そうではありません。


もちろん「特別な存在」もいます。名もなき一人の若者が、ある日突然スカウトされて大きな事務所に所属して、あるいは有名なコンクールで優勝して、スターへの階段を駆け上っていく。素敵ですね。

ドームツアーをして、グラミー賞にノミネートされて、街頭のテレビジョンから楽曲が流れまくり、道行く人がみんな「あっ!〇〇だ」と気づき、「あの人の曲、いいよなぁ」と感動する。そうした華やかな経歴を持つ人々は、間違いなく「アーティスト」です。


しかし、そのような、100万人に一人の才能を持ち、幸運に恵まれた人でなければ「アーティスト」ではないのでしょうか?

今まさに表舞台で輝いている大スターにしか、許されない肩書でしょうか?


私は違うと思います。

今、表舞台で輝いている人のなかにも、長く続く階段を、一歩ずつ地道に上った時間があったはずです。今まさに、その階段を上っている途中の人もたくさんいます。すべての人々が、立派な「アーティスト」です。

階段をがむしゃらに上ることを望まず、表舞台に立つことを目標とせず、ひそやかに才能を発揮する人もいます。無名でも、小規模でも、素晴らしいアーティストは存在します。


分かりやすくゲームで例えるなら……Lv.5のピカチュウを連れてマサラタウンを旅立ったばかりの少年も、Lv.81のピカチュウ達を連れてシロガネ山に立っている青年も、ポケモントレーナーであることに違いはありませんよね。


これが、本連載の根本的な思想です。

ですから、誰にも見向きされないような、Lv.0の初心者向けの記事から書き始めました。


ただ、いっぱしのポケモントレーナーを名乗りたいなら。メタ的に「私、ポケモンの最新作をクリアしたよ」と言いたいなら、せめてストーリーを終わらせて、エンディングを見たいですよね。ポケモンリーグを制してチャンピオンになりたいですよね。

これがLv.2で初心者を卒業できるラインとして掲げた『アーティスト活動単体での黒字化』でした。


しかし、ポケットモンスターというゲームは奥深いものです。ストーリーをクリアして、チャンピオンになって、エンディングを見ても、まだ楽しめる要素が残っています。

図鑑のコンプリートを目指す。お気に入りのポケモンの可愛い姿を最高のアングルで撮影することを目指す。バトル施設の完全攻略を目指す。オンラインのランクマッチバトルで上位を目指す。色々と考えられます。


アーティスト活動も同じですね。ただ細分化すると大変なので、Lv.3-1で示した『死ぬまでアーティスト活動を続けること』、LV.3-2以降の『アーティスト活動だけで生計を立てること』の2方向にわけて記事を書きました。

いずれにしても「自分が表現したいものを表現する」「それによって誰かに影響を与える」のは同じです。それがアーティストの本質だと思います。どれだけ、どこまでいけるかは、努力と才能次第だとして。


私は、「アーティスト」は、とても平凡でありふれた存在たりえると考えています。それこそ「サラリーマン」と同じくらい。


最近の小学生の「将来の夢」ランキングでは、「YouTuber」が上位に来ているようです。YouTuberは、動画制作者・タレントとして、アーティストの一種と言えますね。

その夢は、今すぐ叶えられます。

手元にあるスマートフォンで自分や何かを撮影して、YouTubeのアカウントを作って、アップロードするだけでいい。

小学生でも、今すぐなれます。夢を見てから叶えるまでに1時間、うまくいけば、30分もかからないでしょう。

え?「子どもだから親にYouTubeの使用を制限されている」?

それはあなたのご家庭の問題です。親を説得するなり、制限を無視するなり、許されるまで待つなり、がんばってください。


「アーティスト」より、「専業主婦」「野球選手」「パティシエ」「医師」などのほうが、よっぽど専門技術が必要で、なることが難しい存在です。


何故なら専業主婦であるためには、永遠の愛を誓ったパートナーに、完全に養ってもらう必要があります。プロ野球選手であるためには、厳しい練習やテストを耐えて球団に選ばれた上に、試合で活躍してファンを増やさないといけません。パティシエであるためには、素材選びからケーキ作り、店舗運営から接客まで、幅広いスキルを身に着けることが求められます。医師であるためには幼いころから勉強を続け、大学に行って国家試験を突破し、研修を受け、本格的に働き出してからも研鑽を積み続けなくてはいけません。


しかしアーティストは、息を吸って、歌うだけでいい。鉛筆一本と紙一枚あればいい。スマホひとつあればいい。何も学ばなくても、誰に認められなくても、作品はつくれる。そして自分しかつくれないものがあれば、「アーティスト」を名乗れます。

とっても簡単です。

あなたも私も、アーティストです。


良い時代だな、と思います。


もちろん、どんな時代でも、本当に優れた才能を発揮できるのは一握りでしょう。一部のプロにしか持ちえない輝きは、そのまま存在するでしょう。

それはそれとして、凡百の、つまらない、ありふれたアーティストが、当たり前のように溢れる世界になればいい。

表現したいものが一つもない人は、鑑賞者になればいい。

そんな世界は、きっと楽しいと思います。


今、たいていの子どもは、大人になれば、そこそこのサラリーマンをやれます。同じように、どんな人でも、そこそこのアーティストをやれると私は思っています。


この連載の本当のタイトルは、「平凡なアーティストがアーティスト活動で成功する方法」でした。長すぎるのと、キャッチ―にしたかったのとで、無理やり縮めましたが。

お楽しみいただけたなら幸いです。

今後とも文筆業を続けていきますので、よかったら、また私の書いたものを読んでくださると嬉しいです。ちなみに来月からは『ライターとエディターの違い』を蓮頼する予定です。


長い間お付き合いいただき、ありがとうございました。


おまけ

ここから先は、マイナープロやメジャープロに関する、ちょっとした思い出話を書きます。

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