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世界の美しい瞬間 29

29 ふつう、ということ

感激したので、勢いに任せて書く。

日本でも5本の指に入る、とある大好きな企業が京都にある。

経営者の方が路上で店舗商売をすることから始め、一代で築いて、端から見れば何種類かの部署を立ち上げて、あっちもこっちも一見関わりのないように見える。

そして、ああ、そういう風な企業さんなんですね、と思っていたら、今度は「??!!!」というようなジャンルのことを立ち上げて、しかも必ず成功させている。

だが、よくよく知ると、彼の軸が一本通っているので、企業理念に掲げているものが何かが見えてくる。素晴らしい会社だと思う。
もう、ただただその経営者の方を尊敬し、わたしもあやかりたいと思うばかりだ。

そして、何より「ケチではない」ことがポイントなのだ。ギリギリのところを必ず知っていて、お客様に値引きやポイント還元として返す。

だから、余計にコアなリピーターが付く。わたしもその一人だ。

たまにホームページなどで拝見する限り、日本にいるかどうかすら怪しいくらい、もんのすごいお忙しいだろうという方なので、同じ京都にいながらにして、遠すぎる存在だ。

今日はその会社の店舗に行った。何度か足を運んでいるので、すでに店員さんとは顔見知りである。

が、なんだか今日は店舗内の様子がちがう。
陳列棚の向こう側から、熱心に酵素の話を延々とされている男性の声が聞こえて来た。

色んな品物があるので、今日はメーカーさんから誰か店舗内営業にでも来ているらしい。

わたしは別の品物を選り、レジ前に行った。
すると、今度はその営業の男性がハーブなどを発酵させたお酢の試飲を勧めて下さった。(ん?さっき説明している商品とはちがう。と思った。)

「これね、最近販売始めたんですよ」

という男性を見ると、なんとメーカーの営業さんではなく、いつも写真でお見かけしている、
この会社の経営者である社長さんだった!

しかし、なんという普通なかんじなんだろう。

こんなにすごいことを数々してきていらっしゃるのに、どこにも力が入っていなくて、

初対面のどこの馬の骨とも分からないわたしとも、フツーに話す。

どこかで聞いたことがある、
一流の人間にはオーラがある。
けれど、超一流の人間は、
逆にオーラがない(消す)のだと。

わたしは、体感として、
この人は超一流なんだと感じた。

なぜなら、フツーの人と話しても、
わたしはフツーを順行するだけだ。

だが、彼と話すと、フツーのやり取りなのに、
どんどんパワーが沸いてくる。

その人の周りは、どんどん笑顔になっていって、
どんどん皆がやる気の方向へ変わって行ったからだ。

特に彼は啓発系の話をしたわけではない。
フツーにあの商品はどうで、あれはこうでという話。しかも、経営者故に色々あるんですよ~という弱い部分も見せてくれた。
ただ、知識が豊富すぎるので、一生懸命なのだ。
しかも、ほんの一人の人に対して。
そして、根はいつも、店舗に立つ商売人なのだ。
路上でやっていたときと同じように。

しかも、その勧めて下さったお酢が、最近わたしが「水に薄めて飲むタイプの、ギリこのくらいのコスパで、あれとかこれとかそれとかが入っている酵素系の何か、ないかなぁ~」と思っていたのと、ほぼほぼ同じ(というかむしろ期待をかなり越えて来た)ものだったのだ。

会ってみたかった社長の直接講義(笑)、しかも商品内容は探していたものとドンピシャとあって、わたしは「買います」と即決した。

レジに持って行くと、社長さんがさらりと言った。

「あ、じゃあ僕の話聞いてくれたから15%値引きしてあげて~」

なんと。

なんと、である。

タイミング絶妙で、社長さんの笑顔がライトパンチとなり、みぞおちに軽く入った。

わたしは感謝を伝え、嬉しいやら幸せやら、とにかく色んな意味でその商品とともに、ふらふらになって店を出た。

ちがう。

ものがちがう。

そんじょそこらではない。

色々越えて来ている人の佇まいなのだ。

もう、ただただ、わけが分からないけれど、
この人に任せておけば、付いて行けば、間違いないと思わせる何かがあるのだ。

フツーというのは、その人がその人のままでいることなのだ。

周りの全ての人々に、そうしているお前はカッコ悪いし成功しないよ、と言い続けられても、

「いや、僕は僕です。これが僕です。」

ということを、信念として示し続け、とうとう周りの人々を変えてしまった。

そういう人なのだ。

たった10分くらいだったけれど、ずっと、何年も会ってみたくて、不可能に近いと思っていたが、ひょんなことで会えた。(ほんとに、たまたま店舗に来たらしい。)

わたしは、まだまだ延びしろしかないけれど、
そういうフツーの人になりたい。

どこにも力の入っていない、でも、周りを明るくできるような。

文字だけじゃ、写真だけじゃ、動画だけじゃ伝わらない何かが「同じ時空間に身を置く」ということにはある。

わたしも、わたしに会ってみたい、一度でいいから、と思われるような人生を構築して行く、それに尽きる。

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