自分に向き合い自己変容を続けることで、人の可能性を引き出す組織を創る。それが、社員・顧客・社会への圧倒的価値にもつながると信じている
対談企画としてリープラの投資先の皆さんにお話を伺うシリーズ、「起業家の声」の第5弾として、スローガン株式会社(以下「スローガン」)の仁平理斗さんに、リープラで起業に至るまでの経緯やその中での葛藤、そしてこれからの展望についてお聞きしました。
岡内:まずは自己紹介をお願いできますか?
仁平:スローガンの仁平と申します。弊社のミッションは「人の可能性を引き出し 才能を最適に配置することで 新産業を創出し続ける」ことであり、具体的には「新産業領域×人的資本投資」の領域で採用支援を中心に複数の事業を行っています。2005年創業で、2023年3月に代表に就任しました。
💡なぜスローガンを選んだのか
岡内:スローガンとの出会いについて教えてください。
仁平:私は学生時代のアメリカ留学の経験や、自身のバックグラウンドを振り返っていく中で、当時から日本社会に何か恩返しをしていきたいという思いが強くありました。
その中で、2007年頃にスローガンに出会い、今後の日本社会における新産業の創出とその担い手となる人材の重要性を再認識しました。当時は創業間もない時期で社員は一人もいませんでしたが、大学3年生の時に”ここで働くのは面白い”と感じました。毎日出社して、ほぼ社員のような働き方でしたが、その中で、起業家という存在や、取引先のベンチャー・スタートアップの想いや事業内容など、今まで知らなかった世界が広がり、自分のキャリア観や人生観に刺激を受けました。
就職活動を経てDeNAに新卒で入社しました。その後、DeNAでの役割がひと段落したタイミングで、2016年にスローガンに戻りました。
岡内:代表になろうと決めたきっかけは何ですか?
仁平:学生時代からスローガンで自分の可能性を引き出してもらった経験が大きいです。加えて、リープラの協力にも感謝しています。特に、私が事業運営をリードしている際に、失敗や葛藤があり、自己変容の必然性に直面していました。そういったときに、リープラとの対話や支援を通じて自身が変容、拡張していった感覚があります。
そういった自己喪失や葛藤を乗り越えていく中で、自身や組織の可能性が再度大きく引き出されていったと思います。スローガンを社会で存在感を持たせ、広めていくことが私の想いと繋がると感じて、最後は決断するに至りました。
💡何を目指しているのか。現在、何に取り組んでいるのか?
岡内:ありがとうございます。次の質問ですが、今スローガンは何を目指していて、そのためにどのような取り組みを行っているのでしょうか?
仁平:まず、これまでのスローガンは、少子高齢化・労働人口減少という長期的な日本の社会課題に着目し、ベンチャー・スタートアップ企業×挑戦思考・成長意欲のある若手人材の領域における採用支援事業、特に新卒採用の領域においては、外部環境の後押しもあり一定の成果を上げてきました。しかしながら、ミッション実現のためには、まだまだ課題や伸びしろがあり、そのため、経営体制を見直し、再スタートを切ったのが2023年でした。
最終的に目指していることは、ミッションの実現です。そのために、新産業領域における労働市場の歪み(ひずみ)の解消に向けて事業を展開していますが、まずは高い付加価値を持続的に社会に提供し、その利益を社内への還元や次の投資に回せる高収益・高成長な事業の構築が重要だと考えています。
また同時に、私たちスローガンが人の可能性を引き出す組織であることを体現し、社会に示していくこともミッションそのものでもあり、そのための組織文化や制度のアップデートにも取り組んでいます。
💡これまでの成長や学びは?
岡内:ありがとうございます。最後に、これまでの学びや成長、特に自己変容を伴う成長について教えてください。
仁平:自己変容や自己成長は、他者から見るとストイックに映るかもしれません。確かに、そういう瞬間ももちろんあると思いますが、見えないものが見えるようになったり、包容できないものができるようになったり、日々の彩りが広がる体感もあります。
私の大きな自己変容の経験は、2019年から2020年にかけて、自分の弱さを認め、組織のメンバーに開示したことです。自身の生い立ちからくる生存戦略として、できないことを晒すことに対して恐怖感がありました。
人から見ると強く見えたりとか、怖がられたりすることもあったのですが、本当は助けてほしい、弱さも含んでありのままの自分でいることへの葛藤がありました。そういった自身の至らなさが、組織運営の歪みに繋がり、当時の事業部としてもギスギスした状況に陥ってしまいました。
そのときに、創業者の伊藤さんや諸藤さんに色々アドバイスをいただき、自分の弱さを全体会でスローガンのみんなに曝け出してみたんですよね。それはすごく怖かったですし、勇気のいることでした。しかし、それを聞いてくれていた全メンバーが立ち上がって拍手をしてくれて、「仁平さん、話してくれてありがとうございます!」と言ってくれました。これまでそんなことしたら愛されないし認められないし、頼りにされないと勝手に考えてたことが、むしろ受け入れられ賞賛されたので、嬉しさや感謝と同時に混乱したことを覚えています(笑)。これはある種、大きな自己喪失の経験でした。
岡内:この喪失を経て代表に就任されましたが、直近ではどのような気づきがありましたか?
仁平:より直近のことについて言うと、これはまさにFLP(初期学習実践:圧倒的成果を起業家自身の学習変容を伴いながら、目指すことで、自らの学び方を見直していく行為)の共同学習の中で気づいたことです。
現在、人の可能性を引き出す組織を目指して、一人ひとりの自律性や内発性を引き出すことに取り組んでいます。みんなが自律的に、主体的に働ける方が、彩りやイキイキ・ワクワクに繋がると考え、そうありたいと思っていました。また、そういった組織の方が顧客にも高い付加価値を持続的に提供することができるはずです。しかし、事業のダッシュボードを作る際や数字を見ていく際には、自分で考え、自分でやらなければならないと無意識に狭い視野で考えてしまっていました。
そのため、FLPのメンバーと共に話し合い、皆の意思やインサイト、動機を巻き込みながら作業するというアプローチをとっていませんでした。無意識のうちに「自分でやらなければ」とか、「皆は忙しいだろう」とか、「その方が効率的なのではないか」という前提で、自分で作業を進めていたのです。しかし、その結果、トップダウン的な進め方になり、FLP的な「皆で作り上げる」というアプローチに矛盾する形になっていました。
この気づきは私にとって大きなものであり、自分がそのようにしていると、当然責任者や現場でも同じようになってしまいます。この気づきをすぐに全社で共有し、ダッシュボードを一度壊して、ゼロから作り直すというプロセスをこの1か月間取り組んできました。
岡内:お聞きして、仁平さんがご自身のみで進めてしまうと、同じように下のメンバーも、似たような形になってしまう、という自分らしさが組織に影響することへの気づきが印象的でした。そのような気づきはどう育まれたのですか?
仁平:そうですね、やっぱり組織って、リーダーとか責任者とか、経営者の投影を受ける部分ってすごくあるなといろんな側面で感じていました。経営者自身が体現できてる以上に組織が体現していく可能性は低いのかな、と思って注意深く自ら実践しているのかもですね。
岡内:今後、仁平さん自身は、どのようなことを学習していきたいとか、変容していきたいと考えていますか?自身の学習課題についてお聞かせください。
仁平:これは今期から掲げている「感情と探索」です。自分はどちらかというと、自律しようとする自分らしさに執着してしまい、感情を排して成果を出すという学習の癖があります。ですので、自分や他人の感情をどう活用し、育んでいくかという点が弱いです。人間は思考よりも感情が大きな部分を占めており、自分も例外ではありません。その感情を活用するために、うまくそれらを捕まえて収益や価値に変えていくことが一つの学習命題です。
もう一つは「探索」です。具体的に言うと、誰に何を提供するかということを、トップダウンの視点も含んで定義し、そこで圧倒的な付加価値を出すことです。現在はボトムアップでの積み上げに偏っており、これがダッシュボードに繋がってきます。しかし、トップダウンでのアプローチも必要であり、それを自分が体現しないと組織として成り立ちません。これはビジネスパーソンとして貴重な力であり、スローガンのメンバーの可能性を引き出すためにも、顧客に価値を届けるためにも重要です。この部分を広げていけると良いと思っています。
岡内:誰に何を提供するかというミッションをトップダウンで定義することと、ダッシュボードまでトップダウンではなく、ボトムアップで一緒に作っていく、この両方をうまく統合していくというあり方なのかなと思いました。貴重なお話ありがとうございました!
編集後記
仁平さんのお話で「感情と探索」についての考え方が非常に興味深く感じました。一般的には、リーダーシップとは感情を排除し、トップダウンで意思決定を行うことが求められると考えられがちですが、仁平さんは感情を活用し、トップダウンとボトムアップのバランスを取るアプローチを実践しています。リープラの考え方の一つである、情動の機微を捉え、それを日々の実践に活かすアプローチを体現していると感じました。このようなアプローチは、リープラの起業家たちの特徴でもあります。リープラの独自の起業アプローチに興味を持たれた方は、ぜひこちらのフォームまでご連絡ください。
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文責:杉本奈穂