後悔しないために言いたい事は言っておく
自分の生い立ちについてはマガジンにもまとめたが親とは語り尽くせぬほど色々な事があった。私のアイデンティティなんてあったもんじゃなかったしそんな物全部無視されていた。
とにかく親は「いわゆる良い子」を育てるのに必死で人からどう見られるかが判断基準だったし私の個性なんて発揮する場所はなかった。
「その時代の人はだいたいそんなもんよ」と言ってしまえばそれまでだが地位、名誉、世間体、職業、家柄、財産などが人の判断基準だった。男尊女卑は当たり前、職業差別も当たり前。人種差別も当たり前。人の悪口や近所の噂話は日常。
本当に家にいる時間はつまらなかった。
つまらなかったんじゃない、地獄だった。
どうでもいい意味のない話を延々と聞かされ人を下に見る事で自分が上にいるような優越感を感じているのか、そうでもしないと自己肯定が出来ないのかどちらにしても私とは住む世界が違う人達だなと幼心にはっきりと認識していた。
家族の話は何日書いても書ききれないボリュームなので割愛するがそんなこんなで色々自分の中で消化し、理解し、納得して過ごしてきた数十年だった。今は特に親を恨んでいるとかもない。復讐してやるとも思わない。早く死ねばいいとかも思わない。謝罪してほしいとかも思わない。
でも最近ふと思うのが遅かれ早かれこのまま親はどんどん年老いてそのうち痴呆も始まって記憶は曖昧になり、私の顔も名前も忘れあの世へ行く。私がこんな辛い気持ちで何十年も過ごした事も知らずに。
ちょっと待って。
「私がこんな辛い気持ちで何十年も過ごした事も知らずに。」
ここの部分がなんか引っかかる。
親には親の人生があるだろう。親は親で私との関わりがストレスだっただろう。例えそれを人生の目的として設定してきたとしても。でもこちらも計り知れないストレスを抱えて生きてきた事実を親に伝えてもいいはずだ。
なんかそう思った。
もちろん何も伝えずに親が亡くなってもそれはある種の優しさかもしれない。
ではなぜ今までそれを伝えてこなかったか。
それは「言っても無駄だから、伝わらないから。」小さい頃から正論を言う私に親はイラっとしていたに違いない。歳の割には大人びた事を言うしその都度嫌な顔をされた。
何を言ってもねじ伏せられたし聞いてもらえなかった。そんな事があったので話すのも無駄だし今更言って何になると思っていたのである。
ただ、年月は過ぎた。
今なら冷静にこの気持ちを伝えれるし親が死ぬ前に言いたい事は全部言おうと決めた。
これは復讐でも嫌がらせでも仕返しでもない。
単純にこのモヤモヤを成仏させてあげたいと思ったのだ。このまま私が何も言わずに親が死んでしまったら言わなかった事を後悔しそうだなと。
親にとっては辛い時間とも言えようがそこは自分が蒔いた種という側面もあるのであまり同情はしない。
ある日チャンスがやってきた。
なんとなく話の流れがそんな感じになったのですかさず
家にいるのが地獄だった事
家族の誰からも理解してもらえなかった事
一刻も早く家から出たかった事
家に私の居場所はなかった事
を伝えた。
親はそれを聞いて固まった、、、、、、、、
沈黙だった。
相当ショックだったのだろう。
その後も親は何も言えなかった。
でも明らかにお互いの魂は次のステップに進んだ感じがした。
言って良かった。
1回の会話で全てのモヤモヤがなくなるわけではないのであと数回or数十回はこの凍りつく時間を体験しなければならないが後悔は無いししばらくやってみようと思う。
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