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フランケンシュタイン:メアリー・シェリー (読了)

『フランケンシュタイン』を読んで

メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』は、フランケンシュタイン博士の辛い物語ではあるんだけど、どうしても博士が生み出した怪物の方に感情移入してしまいます。

誰から見ても恐ろしい怪物の姿で作り出され、孤独と戦い、誰からも教わる事なく必死の努力で言葉や文字、この世界の社会を勉強して、知識と知恵を付け、どうにか人間と仲良くしようと頑張って見るも、残念な結果に終わり、最終的に頼れる人は博士しか居なくなり、結局は裏切られてしまう怪物が可哀想に思えました。

この物語は現代のテクノロジーともリンクできるお話にも見えて来ます。フランケンシュタイン博士が怪物を生み出した過程が、人類か新たな技術や人工物を開発する行為に重なるからです。たとえば、核兵器やAGI(人工汎用知能)といった、人類が科学技術の力で生み出した「制御が難しい存在」が、私たち自身に影響を及ぼす可能性を考えてしまいます。

博士と怪物の関係は、人類とその創造物との関係を象徴しているようにも見えます。博士は自分が生み出した存在を受け入れられず、責任を果たさないまま怪物を放置してしまった。それが結局のところ、全ての悲劇の原因になっているように感じました。この点は、私たちが新しい技術を生み出すときに、その結果に対してどのように責任を持つべきかを深く考えさせられます。

『フランケンシュタイン』は、技術の可能性と危険性、創造することの責任というテーマが現代にも通じる、非常に考えさせられる作品だと思いました。

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