やる気スイッチを探せ 作文虎の穴の挑戦
2021年7月4日、東京都板橋区の片隅でひっそりと作文教室が開校した。
小学生3人、高校生1人の4人からのスタートだった。
教室は自宅の一部を利用した簡素なスタートだった。
しかも、妻が講師を務めるECCジュニアと教室を分けあう、というより、ECCの予定が入っていない水曜と日曜に限って開かれる穴埋めみたいな教室だった。
教室に当てたのは、子供部屋だった場所で、娘はロフト(2階の屋根裏部屋)に移封となり、息子に至っては個室を失いリビングで勉強するという悲惨な状況となった。
家族に犠牲を強いての開校だった。
そこまでしてやりたかったことは何だったのか
もともと地元の小学生サッカークラブでお父さんコーチを務め、好きが高じてスポーツメンタルコーチになった自分なら、勉強においても今までの塾や教室とは全く違うことができるに違いない、という確信があったからだ。
それを聞きつけて、サッカークラブの卒業生たちの中にもコーチが教えてくれるなら通いたい!という声もあったし、講師がメンタルコーチなら「やる気スイッチ」を入れてくれるに違いないという期待感が高まっていた。
当初は、
「うちの子やる気がなくて」
ぜひ「やる気スイッチを入れてください」といってこられる親御さんには、
真面目な顔で、
「【やる気スイッチ】といった押せば突然勉強がしたくなるようなスイッチはないんですよ!」
と答えていた。
しかし、スクールIEという個別指導を売りにした学習塾のテレビCMがあまりに当を得ていて、子を持つ親の間では【やる気スイッチ】という言葉は瞬く間に広がっていった。
親御さんたちが求めていたのは、
「心理学的に正しい答え」ではなく
「期待に応えてくれる専門家」だった。
それに気がついて以降、
「お任せください!得意分野です」
と答えるように方向転換をした。
実際に「子供がやる気になった!」
そういう結果でお返しすれば、嘘をついたことにはならないと思ったからだ。
その自信はあった。
(続く)