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▶︎番外編:強制出社は回復か?リバウンドか?

今回は番外編です。
本来は、Vol.6として「職住近接」についての記事をアップする予定だったのですが、ちょっと無視できないトレンドワードが出てきたので急遽記事を書きます。

10月に入り、緊急事態宣言が解除されると同時にリモートワークを終了し出社に切り替える企業が続出しました。
SNSでは「強制出社」というワードがトレンド入りし、通勤電車(というワーカー最大のストレス)からの悲鳴が話題になります。

でもまあ、、
「そりゃそうだよね。。」というのが正直な感想です。

テレワーク中、経営者やマネージメント層の皆様は「不慣れな手法」で「何が正解か?わからない状態」の中でのミッション遂行を余儀なくされた訳ですから、『元の状態に戻せるなら、今すぐにでも戻したい!』と考えていた筈です。
「人の居ないオフィス」の維持費、テレワークの導入コストや管理コスト、何よりマネジメント層に掛かる労務コストは非常に大きな負担だったと思います。

「コストも掛かり、マネジメント(組織運営)効率も下がる。。」

そんな状況を歓迎する経営者は、普通に考えてゼロではないでしょうか?
ワクチンの接種率が上がっていく中での緊急事態宣言解除は、そうした状況から脱却する絶好の機会だったと容易に想像がつきます。

企業は経営者の選択(決断)の上に成り立っているので、「今日でテレワークは終わりです。明日から出社してください!」と指示が出れば従うのは当然のことです。言葉を選ばずに書けば、雇用関係とはそういうものです。


そして、ここからが本題です。

今回、なぜ「強制出社」という言葉がここまで表に出てきたのか?

もちろん、「通勤に対するストレス」と「通勤電車という密空間に対する不安」への強烈な拒絶反応と、「在宅ワークが快適だと感じるワーカー」と「在宅マネジメントが不快だと感じる経営層」の乖離が顕在化したという事なのですが。。

私は、『働く環境についてワーカーが大きな声を上げたこと』は非常に重要であり注目すべきことだと感じています。

本来は「出社するのは当然」であり、「去年の春までは、みんな普通に出社してたでしょ?」というのが正論です。
また、ワーカー全員が出社への切り替えを拒んでいるか?と言えば、必ずしもそうではない筈です。もしかすると、出社を歓迎しているワーカーの方が多いかもしれません。オフィスで空間を共有することで同僚と相互補完しながら業務を遂行していたワーカーにとっては、在宅ワークは孤独と不安を抱えながらの勤務だった筈です。

前回の記事で、東京23区の中小企業の70%が「一度も在宅勤務を実施していない」というデータをご紹介しました。パソナ総合研究所さんのデータでも20%以上のワーカーが在宅勤務を行なっていない事が示されていました。

つまり、まだまだ在宅ワークは「ワーカーの選択肢の範疇ではない」ということなんだと感じます。選択できるのは、ごく一部の限られたワーカーであると。

しかしワーカーは、たった1年強の短い期間で「在宅勤務には、どんな可能性があるか?」を知ってしまった訳です。
デパ地下で試食をするかのように知ったのです。『在宅の味』を。

そして先日、突然言われたのです。「もうそれは食べちゃダメね!」と。

ちょっと笑ってしまったのですが、「在宅勤務の生産性を向上します!」というプロモーションでユーザー獲得を展開していた某Saasベンチャーが今回のタイミングで全員出社に切り替えたという話。
毎日が勝負のスタートアップなら、強いリーダーシップとコミュニケーションを中心としたマネジメント強化のため分からなくもない話なのですが、そこで働くワーカーの方々からすると「???」という感じではないでしょうか?


なので、ここから先に起こると予想されることは以下のパターンです。

① はい、わかりました。もう食べません。
② はい、わかりました。(じゃ、隠れて食べよ。)
③ え!なんとか週1回でも食べられるようになりませんか?
④ そうですか、では食べられる環境に移ります。お世話になりました。

結局②〜④のパターンに該当するワーカーへのリテンション(人材定着)マネジメントが重要になってくるので、人事的な観点から見れば施策ポイントが増えることになりそうな予感がします。
ただでさえ人材の流出が盛んになっている状況の中で、大丈夫なんでしょうか?

例えば、「オフィス出社なら給与満額支給、在宅勤務希望者は10%前後カット」のような給与規定にしてワーカー自身に選んでもらうようにすれば、コストの問題が軽減しますし、ワーカーも堂々としていれば良いのでWin-Winではないか?と思うのですが。。
(昇進に伴う転勤の可否などで、同様の施策を行なっている企業もある気がします。)


まだまだ非常に長い道のりの「脱オフィスなワークプレイス実現」ですが、おそらく今回のようなことを経て「再在宅移行⇄再オフィスワーク」を何回か繰り返しながら徐々に実現していくのではないかと思います。
何回も繰り返す間にツールやマネジメント手法が確立されていきながら、ワーカー自身が自由に働く環境を選択できるようになるのが理想です。

過去、世界的パンデミックのひとつである「ペスト」が流行した約300年前。
その頃、日本のワーカーの殆どは『農民』で、増税に反発した一揆が頻発していたため、徳川吉宗が「目安箱」を設置した時期に当たるそうです。
良くも悪くも、歴史は繰り返しながらテクノロジーと文化を進化させていくんですね。


今回のトレンドワード「強制出社」で肩を落としたワーカーに皆さん、おそらく『生涯出社』という事でもないと思います(確証はありませんが)ので頑張って乗り越えましょう!

また、これまで1度も在宅勤務に挑戦できていない企業の経営者の皆様、近い将来「優秀な人材を確保できない」という厳しい状況が訪れる可能性もゼロではありませんので、シミュレーションやトライアル程度からでも始められることをお勧めします。
(こちらは、お手伝いできますので是非お声がけください!)


今回は番外編でしたが、最後まで読んでいただき本当にありがとうございます。
一部でも皆様の参考になれば幸いです。


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