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▶︎Vol.4 オフィスが得意なコト・苦手なコト

オフィス以外のワークプレイスが数多く登場することによって、「オフィスにあって当たり前」だった多くのモノやコトが「オフィスにある必要があるのか?」「オフィス以外にあった方が良いのではないか?」と見直されることになりました。

同時に、『ハンコ問題』に代表されるような「慣例的に行われてきた業務フロー」に対する議論や制度改革も進んでいます。

改めて、、
「オフィスの機能や得意なコトって何だろう?」と思い、オフィス以外のワークプレイスやワークスタイルの変化と合わせて考えたいと思います。


もともとオフィスに備わっていた機能は、以下の2つに分かれます。

 ① 社外向けの信用やブランド力
 ② 社内向けの各種インフラ

社外向けの機能は、今も変わっていませんし当面は変わらないと思います。
しかし、社内向けインフラの部分が様々な要因で変化し代替されようとしています。その要因は主に以下の通りです。

 ▶︎ 少子高齢化による就労人口の減少
 ▶︎ ライフスタイルの多様化
 ▶︎ 上記2点によるワークスタイルの変化
   
「年功序列と終身雇用」から「働き方を選択する時代」へ
 ▶︎ テクノロジーの急激な進化

高度経済成長期には、働けば働くだけ収入が増え生活が豊かになり、某ドリンク剤のCM『24時間戦えますか?』や『5時から男』に代表される「朝から晩まで働く企業戦士」がワーカーの形容詞でした。
つまり、ワーカーは朝9時から夕方5時(それ以降)まで『出勤』するのが当たり前の時代です。

しかし、現在は女性の社会進出による子育てや、高齢化による親族の介護など「規則によって固定された就業時間で働くことが困難なワーカー」が増加しています。
『ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方』へのニーズが急激に高まり、就労人口の減少と重なったことによって、企業側もワーカーの希望するワークスタイルに柔軟に対応することで人材の確保を優位に進めようという風潮になってきました。

これらの背景から「在宅勤務」や「ノマドワーク」などが徐々に民主化し、関連する様々なインフラやツールが市場に投入されます。
特にモバイル関連ツールの低価格高性能化が進んだことで、ワーカーのオフィス外ワークの生産性は飛躍的に向上しますが、逆に情報セキュリティの問題が大きく顕在化し、企業側からすると『オフィス外ワーク=セキュリティリスク=コスト』というような印象を持ったのではないでしょうか?

また、オフィス不動産業界もリーマンショックによる急激な空室増加をきっかけに、空きテナントの収益化を目的としたレンタル会議室やレンタルオフィス(インキュベーション施設)への参入が活発になったことが、よりオフィス外ワークプレイスの拡充を加速させました。


さて、長々とオフィス外ワークプレイスの背景を書いてしまいましたが、本題である「オフィスは何が得意なのか?」を考えます。
下の図は、私の事業案内に掲載している図を今回のnote連載用に加筆編集した『各種ワークプレイスの相関図』です。

BTE事業案内Ver.2(図表保存用)210927.002


昨年、政府からの要請による感染症対策として半強制的に行われた在宅ワークによって非常に顕著になりましたが、代替が困難なオフィスの機能として主に以下の4つが挙げられます。

 ① 対面コミュニケーション
 ② ファシリティ(オフィス環境設備)
 ③ リクルーティングにおけるブランド力
 ④ 社外向け信用証明とブランド力

① 対面コミュケーションについては、在宅勤務への半強制移行により「空間を共有することで生まれていたコミュニケーションのきっかけ」が失われたことで大きな課題を生みました。
これらの影響は、組織マネジメント・人材教育・ワーカー同士の実務および精神的な相互補完にまで及び、ワークエンゲージメントの急激な低下というリスクに発展しました。特に新卒を含めた社会人経験の浅いワーカーや社歴の浅いワーカーへのケアは多くの企業が苦慮したことと思います。
これらは、オフィスという『場』の持つコミュニケーション機能がいかに大きいかを示しています。

② フィシリティについては、ワーカーが働きやすいように用意されたオフィス家具や備品などです。
在宅勤務によって、ニトリやIKEAにデスクやチェアを買い求めるワーカーが殺到し、ノートPC用に大きな画面のサブディスプレイを購入するワーカーも数多くいました。これらはオフィスに行けば備品として用意されている企業が一般的で、恐らくワーカーが在宅勤務用に購入するモノよりもハイスペックなのではないでしょうか。
また、オフィスに行けば書類の印刷やスキャンも気軽に高速で行え、文房具や書類の保管にも困りません。
最近では、福利厚生の一環でドリンクやスナック菓子などが無料で提供されているオフィスも増えていますので、これらもワーカーには嬉しい設備です。

③と④については、立地やビルグレードによる社会的信用に加え、「ゲストを招く」ことで生まれるプレゼンテーション効果です。
やはり立地はステータスツールであり、「ヒトを集める、ヒトを呼び込む」機能を備えています。
今春以降、緊急事態宣言下での在宅勤務継続中にも関わらずオフィスを拡大する決断をしたベンチャーが非常に多かったことや、新卒をはじめとする若いワーカーの多くが「一等地のオシャレなオフィスを持つ企業に就職したい!」という根強いニーズを持っていること、同様に社会的信用を得やすい状況は簡単には変わらないでしょうし代替することは容易ではないと考えます。


では次に、「オフィスが苦手なこと」は何か?
もうこれは非常に簡単です。

 ❶ コストが高い
 ❷ 通勤が伴う

❶のコストは、企業の販管費の中で大きな割合を占めているオフィス賃料ですが、入居契約時の保証金や内装工事費、オフィス家具や備品の購入など初期投資も非常に高額です。
また、事業が拡大し従業員が増えると相応のスペースに拡大する必要があるため企業成長に「オフィス移転」は付き物ですが、オフィスの賃貸借契約には6ヶ月前解約予告や原状回復義務などの条項(※契約物件によって異なります)が設定されるため解約にもコストが発生し、移転先物件の保証金や内装工事などの設備投資と合わせると移転費用は非常に大きな金額になります。
賃料だけでなく、スイッチングコストも大きいため事業におけるコスト負担は小さくありません。

❷の通勤については、従来であれば「雇用される立場である以上は『当たり前』のこと」でしたが、現在は感染症対策という点で大きなリスクとなっており、BCPやワーカーの安心安全の確保において大きな課題です。
また、多くのワーカーが在宅勤務を経験したことで「通勤によるストレス」の大きさを再認識したことも、オフィスにとってはネガティブな要素と言えます。


改めて、まとめてみましょう。

オフィスの「得意なコト」
 ① 対面コミュニケーション
 ② ファシリティ(オフィス環境設備)
 ③ リクルーティングにおけるブランド力
 ④ 社外向けの信用証明とブランド力

オフィスの「苦手なコト」
 ❶ コストが高い
 ❷ 通勤が伴う

つまり、、
オフィスをツールとして最大限に有効活用するために必要なことは、

『最小限のコストと通勤(時間・回数)で、
 オフィスが得意とする4つの要素を最大化する』

ということになります。

そのために、私が提案したいキーワードは2つ。
『Saas活用』『職住近接』です。

次回、これらのキーワードを掘り下げていきたいと思います。


今回も最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。
一部でも皆様の参考になれば幸いです。


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