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▶︎Vol.6 「職住近接」 と "Work as Life" 【前編】

職住近接という言葉は、文字通り「職場と住居が近い」という意味です。
国土交通省が推奨しており、長時間通勤から開放されることによってゆとりある生活を実現することを指しています。

「首都圏ワーカー一極集中」によって、首都圏3県(神奈川県、千葉県、埼玉県)の平均通勤時間は片道50分を越え、住宅メーカーと鉄道会社による都市計画によって更に遠方から通勤するワーカーも増えています。

「首都圏に移住し、低金利の住宅ローンでマンションを購入して毎日往復2時間近くかけて通勤する」

こうしたライフスタイルが首都圏のワーカーに一般化しているのは、『職場』『住宅』『移動(通勤≒鉄道)』に関わる産業が構築したエコシステムによるものが大きいですね。
(比較になるか分かりませんが、首都圏の大学に進学して往復2時間かけて通学する学生って、どの位いるんでしょうか??)

しかし、、
『移動』に関してはテクノロジーの進化によって様相が変わって来ており、「移動するのは、人ではなく物やサービス」という時代になっています。
AmazonなどのEC(インターネット通販など)が実店舗を凌駕していることや、Uber Eatsなどの台頭がわかりやすい例です。
(※この辺りの話については、ネットで「MaaS(Mobility as a service)」と検索してみてください。自動車の自動運転技術が何を目指しているのか?を含め、物流と『移動』の未来を感じていただけると思います。)


この記事を読んでくださっているワーカーの皆様の中にも「職住近接なら本当に嬉しい!」と感じられている方も多いと思います。
緊急事態宣言下での在宅勤務経験の中で、「通勤は嫌だけど、在宅勤務はパフォーマンスを発揮しにくい」と感じた方は多い筈です。

Vol.5「在宅勤務の生産性のナゾ」の中で、(私の思う)在宅勤務の向き不向きに触れましたが、実は「家からフラっと歩いて行ける仕事場」は最高の福利厚生なのではないか?とすら感じます。

職住近接とは「出社と在宅」の中間に位置するワークプレイス環境の選択肢をワーカーに用意する環境整備ということです。
これによって、ワーカーが通勤(移動)時間を最小限にコントロールすることが出来るということは、「オンとオフ」「集中と解放」「インプットとアウトプット」のような知的労働におけるタイムマネジメントを効率よく行えるようになります。また、育児や介護と仕事の両立における肉体的・精神的負担の軽減にも繋がります。
もちろん雇用条件や規定・制度との調整は必要ですが、人材育成も絡めて戦略的に活用できれば、組織全体での飛躍的な生産性向上が実現できます。

「家でも良いし、家の近くでも良いし、オフィスに来ても良い。でも、どこに居るのか?は教えてねっ!!」なんてワーカーには夢のような労働環境です。(←これが『マネジメント側の地獄』にならないようにするのが、ワークプレイス改革なんですよね。。)


そして毎回のことになりますが、、
このような話をすると、経営層の皆様から必ず出てくるのが「コミュニケーション」「マネジメント」「コスト(販管費)」に対する懸念です。

コミュニケーションとマネジメントは、組織運用の制度設計における前提条件が「毎日必ず1カ所に集まる」であれば、恐らく職住近接におけるプラス要因はありません。
「手間が掛かる、コストが掛かる。」で、議論は前に進まないと思います。

逆に、、
「分散型オフィス活用の中で、いかに集中型オフィス以上の組織的な価値を醸成できるか?」を真剣に模索している組織(企業)に、非常に大きな未来が待っていると感じます。
もう、オフィスインフラにおける効果的なツールは物理的な『モノ』だけではなくなっていますので。。


コストについても、試算と選択によって様々な可能性が生まれます。
例えば、渋谷の駅近ビル(坪単価:¥35,000〜¥40,000)を100坪借りるのであれば、渋谷のセンターオフィスを30坪にしてワーカーの居住エリア分析によって割り出した4カ所に20坪前後の小規模オフィス(坪単価:¥15,000〜¥20,000)を展開した方が、月々の賃料も解約時のスイッチングコストも下がり販管費としてのリスク分散も可能になります。

① 渋谷オフィス:@¥40,000 × 100坪 → ¥400万(計100坪)

② 渋谷オフィス:@¥40,000 × 30坪
  + 分散オフィス:@¥20,000 × 20坪 × 4カ所 → ¥280万(計110坪)

※ ②の場合、事業やワーカーの就労状況を見ながら、拠点数の増減等で固定費のリスク分散が可能。更に、契約時の保証金や解約時の解約予告期間などのスイッチングコストもコントロールしやすい。
※オフィスを分散すると、機能的に重複する面積の割合が増えるので、数字上は100坪と110坪でも実質的には100坪と90坪前後の比較になると思います。(在宅勤務を併用すれば十分過ぎるスペースですが。。)


また、リクルーティング(新卒採用)に強いオフィス戦略は「一等地のオシャレなオフィス」で間違いないのですが、優秀な人材(人材教育の成果で成長を遂げた人材を含む)のリテンション(離職対策)に関してはオフィスの立地や内装デザインではコントロールできない場合が殆どだと感じます。
『ライフステージの変化とキャリアのバランスへの選択肢』が求められる雇用要件のようにも感じます。

今後、終身雇用を前提とした就職活動をする優秀な人材は、首都圏では少数派だと考えるべきです。

就労人口減少は既に不可避な問題ですが、その中で企業(組織)として問われる課題を見据えた組織設計や施策への評価は、もはや軽視できません。


分散型オフィスの導入には賃貸ではなくサテライトオフィス向けレンタルオフィスを活用する方法もあります。

ザイマックスさんが展開する『ZXY(ジザイ)』は、従量課金制で完全に区画された個室がメインとなっており、セキュリティなどの心配もなく集中して業務を遂行できる環境を提供しています。
しかも、拠点展開のスピードが凄いっ!!(この記事を書いている時点で首都圏140拠点、全国190拠点??どんどん増えていて正確な数を追えません。。)

※ZXYは「職住近接の実現」において、本当にオススメなサービスです!!
 労務担当者の皆様は、一度見学など検討される事をお勧めします。
※野村不動産さんが展開する『H1T(エイチワンティー)』と併せて検討していただくと、価格帯やサービスメニューが近くてもコンセプトの違いや立地における活用シーンの違いを実感していただけると思います。
 「タッチダウンオフィス」としてのサテライト活用なら『ZXY』とと『H1T』両サービスともに検討対象ですが、「職住近接」としての活用となると『ZXY』の方が使いやすいと感じます。


実は、この職住近接を実現するソリューションは数年前から富士通さんやNECさんが実践されていて、WEBで事例も公開されています。
※大手企業様の事例を挙げると「大手さんだから出来るんだ」みたいな話ばかり来るので、リンクなどは貼りません。。
 ご興味あれば検索サイトで探してみてください。



突然ですが、、

この記事が誤解を生まないように書かせていただくと、、
「分散型オフィスが絶対的な正解である」と言いたい訳ではありません。
ただ、『働く場の進化』を知る事と『様々な場の活用』を真剣に検討していただきたいと考えています。

「オフィス出社か?在宅か?」とう二項対立論争は、もう思考停止以外の何者でもないと感じています。。

大切なことは、、

・ワーカーの声をしっかり集めること。
・「対面と集合前提のマネジメント」をしっかり見直すこと。
・『場』と『ツール』を有効活用できる制度設計を丁寧に検討すること。
・「トライアンドエラー」を恐れないこと。

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「出社したい」というワーカーは出社すれば良いですし、出社せずとも成果を出せるワーカーは更なるセルフマネジメントで「働き方と働く場」を極めれば良いと思います。

現代は『選べる』ということが最大のインセンティブになりつつある時代です。「出社なら給料¥25万、在宅なら¥20万」という規定でも、必ずしも全員が出社を選ばない時代です。

つまり、『場と制度』の設計を誤ると人材が集まりません。。

だからこそ、問題提起と情報発信としてこのnoteを書いています。


職住近接の可能性については、次回も書いていきたいと思います。
("Work as Life" に全く触れていないし。。)


今回も最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。
一部でも皆様の参考になれば幸いです。


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