
短編小説 : 消えた証拠
『消えた証拠』
第1章:謎の死
黒沢大輔は、名門探偵事務所で数々の難解な事件を解決してきた。今、彼の元に依頼が舞い込んできた。それは、高柳産業の社長・高柳啓一の死に関する調査だった。
啓一は、突如として心筋梗塞で命を落としたとされていた。しかし、その死の前に、彼が最後に残したという手紙が消え、警察もその証拠を掴むことができなかったという。依頼人は、啓一の親しい友人であり、同じ会社の経理部長を務める池田康介だった。
池田は黒沢に言った。「社長が亡くなる前日に、『消せ、すべて』という言葉を残した手紙があったんです。あれを見たのは私だけです。でも、警察もその手紙を見つけることができなかった。」
黒沢は黙って頷き、池田から渡された資料を手に取った。その中には、社長が書いたと思われるメモが一枚あった。「消せ、すべて」。その言葉が何を意味するのか、黒沢は理解しようと試みた。
第2章:不可解な証拠
黒沢は、まず高柳啓一が亡くなった自宅を訪れた。家は静寂に包まれ、どこか不気味な空気が漂っていた。黒沢は慎重に室内を調べたが、社長の手紙らしきものは見つからなかった。ただし、一枚の写真が目に留まった。それは、池田と啓一が一緒に写っている写真で、その背後に不自然に見える影が写っていた。
「この写真は…何かおかしい。」黒沢はその写真を手に取り、詳細に調べた。その影はまるで誰かが背後に隠れているように見えたが、写真自体は明確に何も写っていなかった。黒沢は直感的に、池田が何かを隠していると感じた。
その後、黒沢は啓一が最後に立ち寄った会社のオフィスを訪れ、社内資料を調べた。すると、啓一の死後に突然大量の書類が整理され、財務データが変更されていたことが判明した。重要な契約書や取引先の情報が不明瞭になっていたのだ。
「これはただの偶然ではない。」黒沢は心の中で確信を深めた。
第3章:池田の秘密
黒沢は池田の過去を調べ始めた。池田は、高柳産業に長年勤め、経理部門のトップを務めていた。しかし、彼には暗い過去があった。数年前、会社の資金を私的に流用した疑いが持たれ、内部調査が行われたが、証拠が不十分で何事もなかったことにされていた。
黒沢は池田の自宅を訪れ、そこで衝撃的な事実を掴む。池田の家の地下室には、過去に高柳産業で発生した不正取引に関する証拠書類が保管されていた。しかも、その書類の中には、啓一が発覚を恐れていた取引先との不正契約が記されていた。
池田は黒沢の目を見て言った。「社長は、あの日、私がやったことをすべて暴露しようとしていた。手紙を残したのも、私に警告するためだったんだ。私は、それを消さなければならなかった。」
第4章:手紙の真実
黒沢は池田に対して、さらなる証拠を突きつける。「池田さん、あなたが消した手紙は実は、社長の命を救う鍵だった。手紙には、あなたが隠していた不正を暴露する内容が記されていた。だが、それはただの始まりに過ぎない。」
池田は苦悩に満ちた表情で顔を伏せた。「そうだ…でも、あれが公になれば、会社も俺も終わりだと思った。だから、手紙を隠したんだ。」
黒沢はさらに追い詰めた。「池田さん、実はその手紙は消されてはいなかった。手紙は、社長が意図的にあなたに見せるためにわざと残した。そして、それを私に渡すつもりだったんだ。」
黒沢は、自分が調査した内容と突き合わせながら、池田の言動に潜む矛盾点を明らかにしていった。池田がその証拠を隠蔽したのは、単に自分の利益を守るためではなく、背後にもっと深い動機があったからだ。
第5章:決定的証拠
黒沢は、最後の決定的な証拠を見つけた。それは、池田が会社の財務を操作していた証拠であり、その不正は高柳啓一の命を脅かすほどの規模にまで膨れ上がっていた。啓一がそのことに気づき、池田を追い詰めようとしたことで、池田は恐怖に駆られ、社長の死を仕組んだのであった。
黒沢は、池田が恐れていた手紙を見つけ出した。その手紙は、黒沢がすべての証拠を集める過程で、池田が隠した場所にあった。手紙には、池田が啓一に迫られていた財務問題の詳細が記されていた。だが、手紙にはもう一つ、決定的な一文があった。「もしこれが私の死後に発見されることがあれば、池田はすべての責任を負うべきだ。」
啓一の死は、決して偶然ではなかった。池田は、証拠を消し去るために動き、啓一の死後、すべてを隠蔽しようとしたが、黒沢の鋭い推理によってその真実は明らかにされていった。
エピローグ:暴かれた真実
事件が解決し、池田は逮捕された。高柳産業は再び正しい経営に戻り、黒沢は静かにその事件を振り返った。証拠を消すことができても、真実を隠すことはできなかった。そして、黒沢は思った。「消えた証拠は、必ず誰かが見つけ出す。」
その言葉が、彼の心に深く刻まれていた。
いかがでしたでしょうか?
また小説、短編小説などを上げていこうと思うので、ぜひ他の小説、短編小説も見てみてください!
フォロー、スキよろしくお願いします🙇🙏
最後にダジャレを1つ
クッションにくしゃみをしてハックション!(、、、、、)