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短編小説 : 光の中で
こんにちは!ごましおです!
今回は有料の短編小説を書いてみました!
よかったら見ていってください!
タイトル: 『光の中で』
第一章: 交差する夢
春の風が吹く、桜の花びらが舞い散る季節。高校生活最後の一年を迎えた僕、白石悠介は、どこか気だるげな日々を送っていた。教室の窓から見える桜並木の景色は、確かに美しいけれど、僕の心には何の響きもなかった。
「悠介、どうしたの? 今日は元気ないね」
クラスメートの田辺涼子が心配そうに声をかけてくる。涼子はクラスで一番明るくて、誰とでもすぐに打ち解けるタイプだった。しかし、どこか遠くを見る目を持っていた僕とは、正反対の存在。そう思っていた。
「うーん、ちょっとね…」と答えた僕は、内心で自分の気持ちに蓋をしていた。
「卒業後、何かやりたいことあるの?」涼子が続けて聞く。彼女はいつも周囲の人々に興味津々で、心から人を気にかけるタイプだ。
僕は一瞬、答えを考えた。自分の夢、希望、将来のビジョン。それらは全て、どこか遠くに置き去りにしてきたような気がする。
「別に、特に何も。普通に大学行って、普通に就職するんじゃないかな」
言葉にした瞬間、僕はその「普通」という言葉が、まるで自分を閉じ込める鎖のように感じた。
涼子は少し考え込んだ後、ニコッと笑って言った。
「そんな悠介が面白いな。私ね、実は音楽を本気でやりたくて。ずっとバンドを組みたかったんだ」
その言葉に僕は驚いた。涼子がそんなことを考えていたなんて、全く予想していなかった。
「本気で?」と僕はつい言ってしまう。
「うん、でもどうしても踏み出せなくて。今さらって思うと怖いけど…でも、やりたいことはやらないと後悔しちゃうよね」
その言葉が、僕の心に強く響いた。涼子の目は真剣で、迷いがなかった。彼女は今、この瞬間を生きている。僕にはその力が足りなかった。
ここからは有料です。
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